経済産業省と特許庁が「デザイン経営」宣言 を発布して早5年が経過しました。同宣言では「革新的な技術を開発するだけではイノベーションは起きず、社会のニーズを利用者視点で見極めて新しい価値に結び付けることではじめてイノベーションが実現する」とし、「人々が気付かないニーズを掘り起こし、事業にしていく」ことの重要性を説いています。
また事業運営においては「顧客が企業と接点を持つあらゆる体験にその価値や意志を徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる」と述べています。

世界の先進事例を見つめ、どうすればそうした価値提供を実現できるか考察することで、向き合うべき経営課題が浮かび上がります。KPMGは「顧客体験は全社的な経営ごととして捉えることが肝要である」と提言します。

優れた顧客体験の事例紹介

スラム街にデジタルの力で住所を設定:仮想世界と現実の融合による社会課題の解決

個人の住所を持っていないスラム街の住民は、銀行口座の開設、電気水道の請求書やフードデリバリーの受取りに苦労していました。

A社は、地図アプリ上で該当する場所にアドレスを割り振ったデジタルアドレスを開発し、そのデジタルアドレスを記載した物理的な表札を配布しました。それにより、スラム街住民は従来難しかった郵便物の受取り等が可能となり、受けられる公共・民間サービスの幅が広がりました。これまで現実世界の取組みでは解決が難しかった社会課題は、仮想世界との融合により新たな解を見出すことになりました。

今後も現実と仮想世界を融合することで、現実の社会課題が解決され、新たなイノベーションが生み出されていくかもしれません。

PDFでは、下記コンテンツをすべてご覧いただけます。是非ご一読ください。

  • 優れた顧客体験の事例紹介(続き)
    • One to one productの実現:パーソナライズされた商品・サービスの提供
    • モノではなく価値観を売る、それを支えるエコシステムとともに:100%リサイクル商品のサブスクリプションサービス
    • 顧客を知り潜在ニーズへの働きかけ:視聴コンテンツ分析によるタイムリーな広告配信
    • 生活者への個人情報所有権の回帰:生活者自身が選択する個人情報の売買
  • 優れた顧客体験を実現するには