デジタルを活用して持続可能な地域社会を構築する「地域DX」の取組みが進んでいます。
日本では、「デジタル田園都市国家構想」や「スーパーシティ構想」をはじめとした地域社会システムの構築が政府主導で進められています。一方、さまざまな社会システムの“社会実装”は一筋縄ではいきません。
KPMGは、市場形成から企業の市場参入、社会実装後の収益化に至るまでの異業種を跨いだモビリティエコシステム形成を支援します。

地域DXとは

KPMGでは、地域DXを、「デジタルを活用して地域の社会システムを持続可能な形に再構築していくこと」と捉えています。地域DXの実現には、自治体業務のデジタル化や地域住民の利便性向上等に加え、地域企業のDXも欠かせない要素であり、これらを一体的に推進していくことが必要です。

求められる地域DXの進め方とは

地域DXにおいてよくある“躓き”ポイントは大きく3つあります。特に、手段が目的化している例として、異業種連携や大企業・スタートアップのオープンイノベーション等、コンソーシアムによる活動があります。活発ではあるものの、目的を見失い、惰性で進んでいるようなケースはよく見受けられます。このように“やっているつもり”にならないためには、都市の将来像を定義し、それを実現するための要素を洗い出し、ニーズ検証や技術検証を通じた市場形成に加え、事業性を定量的に評価しながら企業の市場参入を促すことが必要です。
地域DXを進めるには、「市場形成」と「企業の市場参入」の両輪を回していくことが重要となります。

地域DX推進における“躓き”ポイントと対応の方向性

モビリティエコシステム形成に向けた事業設計アドバイザリー 図表1

地域DXの中心はモビリティ起点のエコシステム形成

持続可能な地域社会を構築するために考えられる方向性は、商業施設の多様化、観光産業の高度化、文化・芸術関連施設の充実化等、さまざま挙げられます。これらの取組みに共通して必要となるのはモビリティです。
KPMGは、モビリティを単なる移動手段ではなく、「ヒト・モノ・サービス移動の最適化」と定義付けています。人口減少を背景とした地方の公共交通機関の利用減少による衰退等、需要と供給がともに減少する負のスパイラルに陥っている現状を打破する必要があります。また、地域社会が持続可能となるために最適なヒト・モノ・サービス移動へと“コントロール”することが求められます。社会・産業・住民が“Win-Win-Win”になる最適解は何かを模索することが、地域DXの中心となるモビリティ起点のエコシステム形成と言えます。

モビリティエコシステム形成に向けた事業設計アドバイザリー 図表2

モビリティ起点のエコシステム形成の方向性

モビリティ起点のエコシステム形成は、特に欧州やASEAN、中国で進んでいます。現在の取組み動向を踏まえると、都市における持続可能性の高め方は大きく5つのパターンに分類されます。
なお、これらのどれか1つの取組みで地域DXが進められるわけではなく、あくまで収益化のフレームワークであることに注意が必要です。つまり、地域DXのモデルとして日本の都市に適用するのではなく、異業種連携によるビジネスモデルとして捉えるということです。
ユーザーニーズを考える消費者目線(BtoC)に加え、消費者への提供価値を支える企業目線(BtoB)は根幹にありますが、一方で「持続可能なエコシステム」を形成するためには、サービスを支える企業が収益を上げることが必要になります。
KPMGでは、エコシステム形成の必要性は、「異なる業種のプレーヤー同士が連携することで、新たな“原資”を生む」ことにあると考えています。一見、事業性が低く見える事業をどのように社会実装するのか、ポイントは「新たな“原資”の探索」にあります。

モデル名

利便性追求型 産業・企業
発展型
医療・福祉
充実型
ツーリズム
起点型
サーキュラー
エコノミー起点型
構築モデル概要 IoTやMaaS等のテクノロジーを活用した住民中心の都市設計により、住民の周遊性を高め、消費活動を活発化させる 企業間の事業開発とともに新たな就業の機会を創出し、経済成長を促す 予防医療・福祉中心のエリア開発により、高齢者の身体的・精神的健康寿命の長期化を図る 都市の観光資源を活用し、観光客の周遊性を高め、消費活動を活発化させる 物流効率化および廃棄物回収業者に対するインセンティブ設計等により、持続的な資源循環の仕組みを産業として形成する
モビリティの位置付け
  • 移動目的創出の手段
  • 周遊性向上の手段
  • 新たな経済圏構築の手段(配車プラットフォームの“スーパーアプリ”化)
  • マイクロファイナンスの手段
  • 高齢者の身体的・精神的健康増進に最適な移動空間設計の手段
  • 観光コンテンツ創出の手段
  • 周遊性向上の手段
  • 新たなサプライチェーン構築の手段
  • 廃棄物回収事業者のインセンティブ創出の手段(カーボンクレジット等)
新たな
“原資”
  • 送客先店舗の売上
  • 移動中の物販売上
  • 企業のテナント料
  • プラットフォーム上のコンテンツ売上(EC等)
  • 金融サービス売上   
    等    
  • 社会保険料
  • 医療・介護費用
  • 企業の福利厚生費
  • 送客先店舗の売上
    等 
      
  • 手荷物輸送売上
  • 宿泊・飲食・観光サービス売上
  • 企業の福利厚生費 
    等      
  • バッテリー等再利用売上
  • カーボンクレジット売上 等

KPMGによる支援

KPMGは、グローバルで培ってきた豊富なビジネスソリューションやさまざまな業界に対するインサイトを有しています。また、日本企業の市場参入戦略立案・収益化や異業種企業間のアライアンス構築に精通したMobility Ecosystem Strategyチームが、モビリティ、スマートシティ等の専門チームと連携し、実践的なアドバイザリーサービスを提供します。

【具体的なサービス】
事業方針・事業戦略・実行計画策定等の事業設計支援を進めるとともに、3つのアドバイザリーサービスも提供します。

  1. エコシステム設計支援
    都市計画や各産業政策の方向性を踏まえた都市の将来像の構成要素を分解することにより、必要な「事業機能(エコシステム像)」を定義します。そして、事業機能ごとのビジネスプロセスを確定し「事業機会」および「自社ケイパビリティでは埋められない領域(=ミッシングピース)」を特定します。
  2.  事業成立要件定義支援(複数事業者間)
    エコシステム設計支援において定義した事業機能に関して、事業としての成立性を収益構造に基づき定義します。具体的には、事業の採算性を試算し、成立させるための要件を抽出します。これをPoC(概念実証)において検証するとともに、事業者の参画条件の明確化にも活用します。
  3. ビジネスモデル構築支援
    複数事業者・複数地域間のビジネスモデル構築を支援します。(事業者や自治体への提案シナリオ作成、提案の場づくり、提案・交渉、運営事業体の設立等)
モビリティエコシステム形成に向けた事業設計アドバイザリー 図表3

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