KPMGコンサルティングとトムソン・ロイター、「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)を発表

企業における地政学・経済安全保障リスクへの対応と課題状況をまとめた「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」の速報版を発表しました。

企業における地政学・経済安全保障リスクへの対応と課題状況をまとめた「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」の速報版を発表しました。

KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、トムソン・ロイター株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ヨンソン・バン(Young Sun Bang)、以下、トムソン・ロイター)と共同で、企業における地政学・経済安全保障リスクへの対応と課題状況に関する調査を実施し、その調査レポート「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」の発刊に先立ち、速報版を本日発表しました。

近年、ロシア・ウクライナをはじめ、中東や台湾における情勢の不安定化など、経済安全保障・地政学リスク対応の重要性が増しています。このような情勢下、リスク管理体制の構築、サプライチェーンを含むリスク評価および対策の立案・実行は、多くの企業の重要課題となっています。

KPMGコンサルティングとトムソン・ロイターは共同で、日本企業の地政学・経済安全保障リスク対応の現状について、国内の上場企業および売上高400億円以上の未上場企業328社の経営企画、リスク管理部門を対象に独自調査を実施しました。

今回の調査からは、約6割の企業が台湾情勢の緊迫化や米中による規制強化を懸念する一方で、約4割の企業がサプライチェーンの可視化に課題を持ち、リスク分析に基づく有効な施策を打ち出し難いなど、日本企業の地政学・経済安全保障リスクへの対応における課題が浮き彫りになりました。

<注目すべき調査結果>

  •  企業が懸念する地政学・経済安全保障リスク、約6割の企業が台湾情勢の緊迫化や米中による規制強化を懸念:

特に影響が懸念される地政学・経済安全保障リスクとして、約6割の企業が台湾情勢の緊迫化・米中規制強化を懸念していると回答。

  • 約4割の企業がサプライチェーンの可視化に課題:

サプライチェーンリスク対応上の課題として「サプライチェーンの可視化」を挙げた企業が約4割で最多。

  •  1割弱の企業が経済安全保障の専門部署を設置、過半数が情報収集・リスク評価に課題:

回答企業の7.2%の企業が経済安全保障に関する専門部署を設置。また、56.1%の企業が経済安全保障に関する組織・業務全般における課題として、「情報収集・リスク評価」を挙げている。

  • 情報収集の利活用のPDCAサイクル(インテリジェンスサイクル)が機能している企業は2割以下:

情報収集にあたり、「提供先の関心・課題事項をヒアリング(15.5%)」、「現場からフィードバックを受け、活動を改善(11.3%)」と回答。情報収集の利活用のPDCAサイクル(インテリジェンスサイクル)が機能している企業は2割以下。

【約6割の企業が台湾情勢の緊迫化や米中による規制強化を懸念】

回答企業の64.3%が「台湾情勢の緊迫化」を特に影響が懸念される地政学・経済安全保障関連事象として挙げています。さらに、「中国による貿易管理規制強化」(58.2%)と「米国による対中規制強化」(57.3%)といった米中間の規制の応酬も過半数を占めました(図表1)。

【図表1:特に影響が懸念される地政学・経済安全保障リスク】

「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)を発表_図表1

【約4割の企業がサプライチェーンの可視化に課題】

サプライチェーンリスク対応上の課題として、地政学・経済安全保障の観点から「サプライチェーンの可視化」を挙げた企業が38.7%で最多となりました。また、その後の段階にあたる「リスクシナリオの策定」(35.1%)や「リスクシナリオに基づいた対応策の策定」(30.8%)に課題を抱える企業も比較的多く、サプライチェーンリスク対応はまだ道半ばであることがうかがえます(図表2)。

【図表2:サプライチェーンリスク対応上の課題】

「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)を発表_図表2

【1割弱の企業が経済安全保障の専門部署を設置、過半数が情報収集・リスク評価に課題】

専門部署の設置状況/組織・業務上の課題については、回答企業の7.2%の企業が経済安全保障に関する専門部署を設置していることがわかりました。一方で、54.5%の企業は所掌する部署を設けて、経済安全保障にかかわる業務を行っていると見られます(図表3)。

また、経済安全保障に関する組織・業務全般における課題として、56.1%の企業が「情報収集・リスク評価」を挙げています。今後、情報収集やリスク評価の取組みを強化していく企業が増えてくることも予想されます(図表4)。

【図表3:経済安全保障に関する専門部署の設置状況(設置していない場合、担当部署)】

「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)を発表_図表3

【図表4:経済安全保障に関する組織・業務全般における課題】

「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)を発表_図表4

【情報収集の利活用のPDCAサイクル(インテリジェンスサイクル)が機能している企業は2割以下】

企業のインテリジェンス機能において、4割弱の企業が収集した情報の共有や議論を実施していることがわかりました。一方で、情報収集にあたり、情報提供先の関心・課題事項をヒアリング(15.5%)したり、現場からフィードバックを受け収集活動を改善(11.3%)する企業は少なく、情報収集の利活用のPDCAサイクル(インテリジェンスサイクル)が回っていない状況がうかがえます(図表5)。

【図表5:リスク情報を共有・活用する取組み】

「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)を発表_図表5

本レポートの全文はこちらからダウンロードできます:「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」(速報版)

今後、「速報版」に解説などを加えた「地政学・経済安全保障リスクサーベイ2024」を発表する予定です。

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