フランスの年金改革法 - 会計上の留意点

フランスの年金改革法は、2023年4月15日に官報に掲載され、9月1日から施行されることとなりました。企業は、4月15日以後を報告日とする財務諸表(期中財務報告を含む)において当該年金改革法による影響を考慮する必要があります。

フランスの年金改革法は9月1日から施行されることとなりました。企業は財務諸表において影響を考慮する必要があります。

フランスの年金改革法は2023年4月14日に公布され(翌4月15日に官報に掲載)、2023年9月1日から施行されることとなりました。企業は、4月15日以後を報告日とする財務諸表(期中財務報告を含む)において当該年金改革法による影響を考慮する必要があります。

当該年金改革法によってもたらされる主な変更点は以下のとおりです。

  • 法定定年年齢の62歳から64歳への段階的引き上げ
  • 2014年の「トゥーレーヌ法」により、満額支給に必要な拠出期間42年を43年に延長することを2035年までに実施予定としていたが、これを2027年へ前倒しして実施
  • 一部の特別制度の廃止
  • 若くに就労を開始した労働者の長期キャリアに関する制度の設定

年金改革法による定年年齢の64歳への引き上げは、従業員の権利および従業員に付与される給付に変更をもたらすことから、IAS(国際会計基準)第19号「従業員給付」における「制度変更」に該当すると考えられます(IAS第19号第104項)。このため、当該年金改革法による影響は、単に数理計算上の仮定の変更として包括利益に計上されるのではなく、「過去勤務費用」として損益計算書を通じてただちに認識されることとなります(IAS第19号第8、103項)。

在仏日本企業におかれては、年金数理人とできる限り早いタイミングで協議し、当該年金改革法による潜在的な論点の特定および考慮すべき影響の詳細を把握することが必要となります。

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