IFRS適用企業に対するCOVID-19の影響 - 収益サイクルの資産は回収可能か?

IFRS適用企業に対するCOVID-19の影響 - 収益サイクルの資産は回収可能か?

IFRS適用企業における、COVID-19が収益サイクルに関係する資産の回収可能性に及ぼす影響の解説記事です。

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論点は何か?

COVID-19コロナウイルスの感染拡大は、多くの企業の業務や収益サイクルに悪影響を与えています。顧客の需要は低下するかもしれず、そして支払期日が到来したときに、顧客は支払うべき金額を支払うのに苦労するかもしれません。企業はまた、財及びサービスを顧客に提供する際に、困難に直面しているかもしれません。例えば、サプライチェーンの混乱や、課せられている制限などによるものです。

企業は報告日において、収益サイクルに関係する資産が、これらの要因を適切に反映するように測定されているかどうかを評価する必要があります。例えば、企業は以下の事項を考慮する必要があるかもしれません。

  • 債権及び契約資産は減損していませんか?
  • 棚卸資産は正味実現可能価額まで評価減する必要がありますか?
  • 資産計上した契約コストは回収可能ですか?

前例のない水準での不確実性を踏まえると、これらの見積りには重要な判断が必要となるかもしれません。

収益サイクルに関係する資産(例えば債権、契約資産、棚卸資産及び資産計上した契約コストなど)は、COVID-19の感染拡大の結果、評価減が必要となる可能性があります。

詳細説明

収益サイクルの一部として、企業は債権、契約資産、棚卸資産及び資産計上した契約コストを認識するかもしれません。IFRSのもとでは、これらの資産に対する事後的な測定には、それぞれ異なる要求事項が適用されます。

債権及び契約資産

顧客は、販売契約の定める期日に支払を行うことに苦労するかもしれません。企業はIFRS第9号「金融商品」に基づき、すなわち予想信用損失モデルを使用して、債権及び契約資産の両方の減損について評価する必要があります。企業は顧客との契約からの収益とは区分して減損損失を表示し、その他の契約からの減損損失とは区分して開示します。[IFRS 15.107-108, 113]

企業はまた、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」における契約の存在の要件を、新規及び既存の契約が満たしているかどうかについても、慎重に検討する必要があります。これらは収益及び関係する債権又は契約資産を認識するかどうかの評価に影響を与えるかもしれません。

棚卸資産

棚卸資産はIAS第2号「棚卸資産」にもとづき、原価と正味実現可能価額のいずれか低い方で測定します。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価及び販売コストの見積額を控除した額をいいます。[IAS 2.6]

COVID-19の感染拡大はいくつかの点で、見積られた正味実現可能価額に影響するかもしれません。

  • 見積売価は、顧客の要求の変化により変動するかもしれません。
  • 完成に必要な見積原価は、原材料コストや労務費の変化により変動するかもしれません。

企業は見積りを行う時点でもっとも信頼性のある証拠に基づいて、正味実現可能価額を見積る必要があります。企業は報告期間後に発生した事象の影響を、期末時点で既に存在していた状況であると確認した範囲で、考慮に入れます。これらの見積りは、特に棚卸資産が長期間実現しないとき、重要な判断を要求する可能性があります。[IAS 2.30]

企業は、期中に費用に認識した棚卸資産の評価減の金額を開示します。[IAS 2.36]

資産計上した契約コスト

契約を獲得及び履行するためのコストは、IFRS第15号のもとで、回収されると見込まれる場合にのみ資産計上されます。企業は新しいコストを現在の環境で資産計上すべきか、及び資産計上されたコストが依然として回収可能であるかどうか慎重に検討する必要があります。[IFRS 15.91, 95]

償却期間
企業は、資産計上した契約コストを、資産に関連する財又はサービスの移転パターンに整合的で規則的な基礎で償却します。これには既存の契約にもとづく財及びサービスだけでなく、具体的に予想される契約(例えば、選択的な期間更新)も含まれます。[IFRS 15.99]

企業は、COVID-19の感染拡大が、顧客への財又はサービスの予想していた移転時期に影響を与えるかどうか、慎重に検討する必要があります。例えば、顧客の契約更新の予想や、長期プロジェクトの完了時期の予想について、変更はあるでしょうか?企業はIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」における会計上の見積りとして、すなわち将来に向かって、償却期間の変更を会計処理します。[IFRS 15.100]

減損
企業はIFRS第15号の具体的な減損の要求事項に基づいて、資産計上した契約コストを評価します。減損損失は、帳簿価額が回収可能価額を超過した範囲で認識します。回収可能価額は次の1.から2.を差し引いた金額となります。

  1. 当該資産が関連する財又はサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価の残りの金額
  2. 当該財又はサービスの提供に直接関連し、まだ費用として認識していないコスト

減損を評価するとき、予想される対価には、変動対価の「非制限」の見積り及び顧客の信用リスクの影響が含まれます。[IFRS 15.101-102]

COVID-19の感染拡大は、企業が受け取ることを予想していた対価の金額に影響を与えるかもしれません。それは例えば、変動対価の見積りの変更、顧客の信用リスクの増加、又は顧客が契約の更新や追加の財の購入を行うかどうかの予想が修正されることによるものです。企業は、現在の状況において財又はサービスを提供するために予想されるコストの見積りについても更新すべきです。

企業は、報告期間に認識した償却及び減損損失の金額を開示します。[IFRS 15.128]

経営者が今すべきこと

  • IFRS第9号にもとづき、契約資産と債権の両方について、減損を評価しましょう。
  • 棚卸資産の正味実現可能価額の見積りが、最新の販売価格及び完成までに予想されるコストを反映しているか確認しましょう。
  • 資産計上した契約コストの償却期間を更新する必要があるか検討しましょう。
  • IFRS第15号の要求事項にもとづき、予想した対価、及び財又はサービスを提供するための予想コストの変動を考慮して、資産計上した契約コストの減損の評価を行いましょう。
  • 収益に関係する資産の測定において行った判断及び見積りについて、明確で有意義な開示を提供しましょう。

英語コンテンツ(原文) 

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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