非金融資産の為替リスクの公正価値ヘッジ(IFRS第9号に関連) - IFRICニュース2019年9月 - アジェンダ却下確定

非金融資産の為替リスクの公正価値ヘッジ(IFRS第9号に関連)

IFRS解釈指針委員会ニュース(2019年9月) - 非金融資産の為替リスクの公正価値ヘッジ(IFRS第9号に関連)については、2019年9月のIASB会議で審議された内容を更新しています。

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IFRS第9号「金融商品」

概要

企業が自己使用目的で保有する非金融資産の為替リスクは、公正価値ヘッジ関係において分離して識別可能で信頼性をもって測定可能なリスク要素としてヘッジ対象リスクに指定可能かどうか。

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2019年9月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

1.IFRS第9号におけるヘッジ会計の要求事項

  • リスク要素は、特定の市場構造の状況における評価に基づいて、当該リスク要素が分離して識別可能で信頼性をもって測定可能である場合には、ヘッジ対象として指定することができる。

2.自己使用目的で保有する非金融資産に、純損益に影響しうる為替リスクエクスポージャーは存在し得るか?

  • 公正価値ヘッジは、「・・・の公正価値の変動のうち、特定のリスクに起因し、純損益に影響を与える可能性があるものに対するエクスポージャーのヘッジ」とされている(IFRS第9号第6.5.2項)。
  • したがって、公正価値ヘッジの観点からは、為替レートの変動がヘッジ対象に公正価値変動を生じさせ、これが純損益に影響を及ぼす可能性がある場合に為替リスクは生じる。
  • 例えば、ある非金融資産の公正価値が外貨ベースで決定される場合、外貨ベースでの公正価値が一定のままであっても、為替レートの変動の結果として、機能通貨換算後の値は変動することとなる。このような状況においては、当該資産を保有する企業は、為替リスクに晒されているといえる。なぜなら、その為替リスクは、例えば、当該資産を耐用年数終了前に売却するとした時点で、純損益に影響を与える可能性があるからであり、IFRS第9号は、純損益への影響が見込まれることを要求してはいない。
  • したがって、具体的な事実と状況に応じて、自己使用目的で保有する非金融資産について純損益に影響を及ぼす可能性のある為替リスクのエクスポージャーに企業がさらされているということが、可能性として考えられると結論付けた。これは、非金融資産の公正価値が国際的にある1つの通貨でのみ決定され、当該通貨が企業の機能通貨ではない場合に当てはまる。

3.非金融資産の為替リスクは、分離して識別可能で信頼性をもって測定可能なリスク要素か?

  • 為替リスクは、分離して識別可能で信頼性をもって測定可能な非金融資産のリスク要素となり得る。当該リスク要素となるかどうかは、特定の市場構造の状況における具体的な事実と状況の評価に依存する。
  • ヘッジしようとするリスクが、特定の市場構造の状況において国際的にある1つの通貨でのみ決定され、当該通貨が企業の機能通貨ではない場合において、機能通貨への換算から生じる公正価値の変動に関連するものである場合、当該為替リスクは分離して識別可能で信頼性をもって測定可能といえる。ただし、市場取引において決済が一般的に特定の通貨で行われるということをもって、当該通貨が、非金融資産の公正価値が決定される通貨であるといえるわけではない。

4.自己使用目的で保有する非金融資産について為替リスクを指定することは、企業のリスク管理活動と整合し得るか?

  • ヘッジ会計の適格要件を満たすには、ヘッジ関係の開始時に、ヘッジ関係並びにヘッジの実行に関する企業のリスク管理目的及び戦略の公式な指定と文書化が必要とされている(IFRS第9号第6.4.1項(b))。
  • したがって、自己使用目的で保有する非金融資産に係る為替リスクにヘッジ会計を適用できるのは、エクスポージャーの管理に関する企業のリスク管理目的及び戦略と整合的である場合のみである。したがって、財政状態計算書で異なる方法で測定されるが同種のリスクの対象となっている項目を識別しているという根拠のみでは、ヘッジ会計を適用することができない。
  • 企業が非金融資産を売却するのではなく、自己使用することを意図している限り、当該非金融資産の公正価値の変動は、企業にとって重大なリスクとは識別されない可能性がある。そのような場合、企業は当該非金融資産に係るリスク・エクスポージャーを管理し、また、そのリスク・エクスポージャーをヘッジする目的でヘッジ手段を使用している可能性が低く、その場合、ヘッジ会計を適用することはできない。
  • 企業が自己使用目的で保有する非金融資産の公正価値にかかる為替リスクを管理しヘッジするような状況は極めて限定的であると予想される。そのような状況では、ヘッジ手段を用いて企業が為替リスク・エクスポージャーをヘッジするのは、その為替リスク・エクスポージャーが純損益に影響すると予想する場合のみと考えられ、具体的には、例えば、以下のような状況が考えられる。
    (1)企業が非金融資産を経済的耐用年数が到来する前に売却することを予想している;
    (2)予想売却時点における予想残存価値が重要である;かつ
    (3)企業は当該非金融資産の残存価値のみから生じる為替リスクを管理対象としており、その為替リスクをヘッジする目的でヘッジ手段を使用している。
  • 外貨建金融負債にIAS第21号を適用することから生じる為替の変動を低減することだけを目的とするリスク管理活動は、非金融資産の為替リスクを公正価値ヘッジ関係においてヘッジ指定することと整合的ではない。そのような状況では、企業は非金融資産から生じる為替リスク・エクスポージャーを管理しているのではなく、金融負債から生じる為替リスク・エクスポージャーを管理していることとなる。

5.その他の考慮事項

  • 公正価値ヘッジ会計を適用できるかどうかを決定するにあたり、IFRS第9号の他のすべての要求事項を満たす必要がある。
  • これにはヘッジ対象とヘッジ手段の指定、ならびにヘッジの有効性に関する要求事項が含まれる。例えば、ヘッジ対象とヘッジ手段との間での、金額的規模、減価償却パターン及び予想売却日・満期日の相違にどのように対処するかを考慮することとなる。
  • 企業は、ヘッジ会計を適用するリスク・エクスポージャーについて、IFRS第7号「金融商品:開示」で要求しているヘッジ会計に関する開示も行う必要がある。特に、IFRS第7号第22A項~22C項に基づき、企業のリスク管理戦略及びその適用状況に関する情報を開示する必要がある。

IFRS-ICは、2019年9月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の原則及び要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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