魅力ある顧客体験(CX)により顧客に選ばれ続けるには、複数のタッチポイントと、カスタマージャーニー全体での一貫した顧客体験の創出が必要です。企業においても、そのために求められる能力を組織全体で構築することが重要な経営課題となっています。
KPMGは、ISO 23592(サービスエクセレンス-原則及びモデル)規格の枠組みを活用した成熟度診断モデルを設計し、戦略・計画・施策検討の前提となる全社的な組織能力の現状把握を支援します。

優れた顧客体験の創出を阻むサイロ化の壁

顧客に支持されなければ、どのような企業も生き残れない時代において、企業は顧客にとっての価値を理解し、さまざまなタッチポイントで一貫して優れた顧客体験を提供し続けることで、長期的に良質な顧客との関係を維持していく必要があります。しかし、企業は自社目線で役割を組織に割り振るため、タッチポイントごとに異なる顧客体験を提供している例が数多く見受けられます。
企業側の論理によってサイロ化され、個別最適化が図られたカスタマージャーニーには限界があり、顧客ロイヤルティを高める卓越した顧客体験の提供はできません。サイロ化の壁を克服するためには、組織全体で顧客体験を創出する全社的組織能力の構築が必要です。

【CX施策への経営資源投下量と顧客体験価値の関係性】

サービスエクセレンス成熟度診断_図表1

組織全体でのCXの取組みに向けた国際規格の発行

競争が激しい市場で企業が持続的に成長するには、顧客および顧客体験を中心に据えた組織全体の体系的マネジメントが不可欠との考え方から、2021年に新しい国際規格「サービスエクセレンス-原則及びモデル」がISOにより発行されました。
同国際規格では、顧客ロイヤルティ向上のためには単なる顧客満足を超えて、パーソナライズされ顧客期待を上回る「卓越したサービス」による「カスタマーデライト(=顧客の喜び・感動)」の創出が必要としています。そのようなサービス提供に不可欠な全社的組織能力を、「サービスエクセレンス」として“リーダーシップ及び戦略”“文化及び従業員エンゲージメント”“卓越した顧客体験の創出”“運用面でのサービスエクセレンス”の4要素で定義しています。

サービスエクセレンス成熟度診断_図表2

出所:「ISO 23592(サービスエクセレンス-原則及びモデル)図3」を基に KPMGが作成

KPMGのサービスエクセレンス成熟度診断モデルの開発とその特長

KPMGでは前述のISOの規格に対して、組織のプロセス管理能力を体系化したCMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合)などの業界標準と、KPMGの知見を組み合わせて成熟度診断モデルを開発し、サービスエクセレンスの各要素の成熟度を5段階で診断します。
経営層へのインタビューや、フォーム形式等での実務担当者へのサーベイにより、全社的な組織能力の現状を簡便かつ迅速に評価することが可能です。
成熟度診断により可視化された評価結果、および抽出された課題を基に打つべき施策を明確化したうえで、CX改善の観点での重要度や実行の難易度を踏まえて優先度をつけることで、効率的な対応が可能となります。

【左:アセスメントツールイメージ、右:評価結果】

サービスエクセレンス成熟度診断_図表3

KPMGによる支援

KPMGは、サービスエクセレンス成熟度診断により、企業が経営戦略・中期経営計画策定、業務改革、マーケティング活動強化等を検討するにあたり、全社共通認識を確立したうえで、各分野・機能別の方針、施策検討とその優先順位付けを組織全体で整合的に推進できるよう支援します。

  適用場面の例 成熟度診断モデル利用の目的 成熟度診断モデル利用の支援例
1 経営戦略・中期経営計画策定
・組織の全社的CX能力の多角的評価による経営課題把握・共通認識化
・計画目標の設定と戦略的重点領域の選定
・多角的に組織の現状を評価し、CX能力の実態や能力が不十分な領域に関する経営層の共通認識化を図る。
・あるべき姿に基づく中長期的成熟度目標を設定し、現状とのギャップを戦略的重点領域として選定する。
2 業務改革施策の策定
・業務推進に必要な全社的組織能力に対する、CX観点での評価による要改善能力の特定
・業務実態に基づき、CX観点で効果的に業務を遂行するために必要な全社的組織能力を評価し、CXを高めるうえで不十分な能力を特定する。
3 マーケティング活動強化策の検討
・マーケティング活動推進に必要な全社的組織能力に対する、CX観点での評価による要改善能力の特定
・新サービス導入等の活動実態に基づき、CX観点で効果的なマーケティング活動推進に必要な全社的組織能力を評価し、CXを高めるうえで不十分な能力を特定する。

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