ビジネスにおいて生成AIがもたらす可能性は多岐にわたります。業務プロセスの効率化、カスタマーサポートの拡充、イノベーション創出など、幅広い領域や業務において生成AIの利活用による利点が期待されています。昨今、大手IT企業が積極的に生成AIの開発を進めており、企業・自治体等でも生成AIの導入を積極的に推進・検討されるなど、生成AIによるビジネスの変革が加速しています。

一方で、生成AIの利活用で生じるリスクもあります。倫理面、人権面、技術面等での様々な懸念から、生成AIの利活用に対する規制を求める声があがっており、各国・地域で生成AIに関する法規制やガイドラインが整備されています。企業における生成AIの導入・利活用を成功させるためには、生成AIに内在するリスクや関連法規制を確認したうえで、リスク管理態勢を整備することが重要です。

KPMGはデータ管理・セキュリティ管理・リスク管理・コンプライアンス対応等、生成AIへの対応に必要な様々な領域に関する豊富な知識や支援経験をもとに、生成AIに係るリスク管理態勢の構築・運用を支援します。

生成AI利活用の広がり

従来のAIは、与えられたデータを学習することで最適な回答を予測し、主に識別や分析など特定のタスクに活用されていました。生成AIはそれらに加えてテキスト、画像、音声といったコンテンツを自ら「生成」することを可能にしました。操作性の向上により一般ユーザーへの生成AIの普及が急速に進み、活用の幅が格段に広がっています。

【生成AIの活用例】

  適用業務 活用例
営業・事務 情報の整理
  • 担当している企業の情報(中期計画・決算資料)整理の効率化(要約)
  • 手続き(契約、取引)に関する応答業務の効率化、自動化 等
営業業務の効率化
  • メール作成、議事録作成、要約業務の効率化
  • プロジェクト、会議アジェンダの作成 等
書類作成業務
  • 稟議書など社内フォーマットの文書ひな形作成
  • 議事録、レポート作成の効率化 等
社内問合せ対応
  • 社内問合せへの対応の効率化 等
経理 IR業務
  • IR業務における提携フォーマットへのひな形作成
  • 株主総会における想定問答集の作成 等
申告業務
  • 月次や四半期ごとの財務報告書の作成の支援 等
社内問合せ対応
  • 社内問合せへの対応の効率化 等
マーケティング マーケティング業務
  • 自社サイト向けニュース、レポート作成の効率化
  • キャッチコピーの作成、アイデア出し 等
法務 契約関連
  • 契約書のドラフト作成、契約書内容のチェックの効率化 等
IT 情報検索
  • 社内技術文書、特許、技術情報のキーワード検索
  • 各種(技術・特許・社外状況)情報収集・分析の効率化 等
コードテスト
  • Python、SQLなどプログラムのコードテスト、修正業務の効率化 等
アイデア創出
  • 各種データ、情報の組み合わせによるアイデア創出
  • ファクトシート、マニュアル作成のひな形、アジェンダアイデア出し 等
システム 社内の各種問合せ
  • 社内からのシステム関連の各種問い合わせの自動化・効率化 等
システム開発/データ分析
  • エンジニアによる開発作業の効率化(プログラミング作業の効率化) 等

生成AIに内在するリスク

生成AIの利活用が活発になる一方で、人権面・倫理面・技術面等から懸念されるリスクも増大しています。各国・地域では生成AIの利活用を促進するとともに、生成AIの利活用から生じるリスクへ対応するために、生成AIに係る法規制やガイドラインの検討・作成が進められています。組織は、これらのリスクや法規制・ガイドライン等を認識・理解したうえで、生成AIの利活用促進と、生成AIの利活用から生じるリスク管理の両面に取り組むことが求められます。

【生成AIに内在するリスク例】

生成AIに係るリスク管理態勢構築・運用支援_図表1
  • バイアスの存在
    インターネット上にある大規模なデータをもとに学習されており、利用方法によっては、生成物に何らかのバイアスがある可能性は完全には否定できない。

例:学習データに人種やジェンダー等に関するバイアスが含まれており、結果に偏りが反映されてしまう。

  • ブラックボックス化
    ニュートラルネットワークをベースとするモデルで構築されたモデルの回答は、透明性に欠け、特定の応答や情報が提供される理由の解答が困難となる。

例:生成AIによる予測は高精度だが、予測の根拠について説明できない。

  • 倫理・社会受容性
    この処理をAIに委ねてよいのか、生成物をそのまま利用してよいのかなど、組織や個人の倫理観、社会受容性に関わる論点が内在している。

例:生成AIが不適切な判断を下すことで、生命や財産に深刻な損害を与えてしまう。

  • データ移転・流出
    個人情報の入力や自社内外の機密情報の入力が、学習データに利用されたり、外国に移転するなど、法規制に抵触する可能性がある。

例:プロンプトに個人情報や機密情報が入力され、生成AIからの出力を通じて流出してしまう。

  • 著作権・知財侵害
    生成物が既存著作物と酷似していたり、意図的に模倣した場合の権利侵害だけではなく、モデル提供者の学習データにも責任が及ぶことが考えられる。

例:許可なく、生成AIの学習データに著作物が使用されてしまう。

生成AIに係るリスク管理態勢の整備

生成AIの利点を最大に生かし、ビジネスへの利活用を推進するためには、生成AIに内在するリスクへの適切な対処を行うことが不可欠です。そのためには、組織ごとの固有の状況を考慮し、利用範囲や利用方法に応じてリスクを効果的に管理する態勢の整備を実施していく必要があります。

KPMGはデータ管理・セキュリティ管理・リスク管理・コンプライアンス対応等、生成AIへの対応に必要なさまざまな領域に関する豊富な知識や支援経験をもとに、生成AIに係るリスク管理態勢の構築や展開、さらに運用や見直しまでを支援します。

【生成AIに係るリスク管理態勢の整備・運用支援サービス例】

生成AI利用戦略(利用目的)の特定
  • 組織の生成AI利用方針・ポリシーの策定支援
  • 業務プロセスにおける生成AI導入の効果測定
  • 組織のAI技術成熟度診断・評価
  • 各国・地域の生成AI規制動向調査
生成AI利用に係る管理体制の整備
  • 生成AIガバナンス態勢の構築・運用支援
生成AI利用方針・ガイドラインの作成
  • 想定されるリスクを考慮した利用方針の策定
  • 各国の最新の規制動向を踏まえたガイドラインの作成
生成AI利用に係るリスク評価方法の整備
  • 組織の顕在/潜在リスクの洗い出しとアセスメント
生成AIで利用するデータ管理方法の整備
  • 生成AIの学習データ/出力データの管理方針策定
  • 生成AIの学習データ/出力データの管理態勢の整備
生成AI利用を踏まえたセキュリティの見直し
  • 外部脅威に対するセキュリティ対策の評価・見直し
  • 生成AIに係るシステムの脆弱性診断
  • セキュリティインシデント対応態勢の整備
生成AI利用に係る教育や周知方法の策定
  • 生成AIリスクに関する社員教育コンテンツの策定
  • 生成AIリスク理解促進の研修支援

お問合せ

生成AIの関連サービス

生成AIに関するコンサルティングサービスを紹介します。
下記にないものもお気軽にお問い合わせください。