経理DXを推進していくために―経営の意思決定サポート業務とITの関係(1)―

今回は経理財務部門の業務変革において、今後大きな役割を果たす経営の意思決定サポート業務とITの関係について解説します。

今回は経理財務部門の業務変革において、今後大きな役割を果たす経営の意思決定サポート業務とITの関係について解説します。

1.意思決定サポート業務の重要性

意思決定サポート業務は、経営層が意思決定を行う局面において、CFOが自身の専門分野である経理財務の知識に基づいて支援すること、および、支援を実施するための業務全般を指しています。

KPMGが実施している「グローバルCEO調査」においても、CEOは、企業を取り巻く経営環境が激変する中で、自らの企業が生き残れるか、業界を超えて模索する時代に入っていると認識 している様子が見て取れます。また、そのような状況において、CEOは自身の片腕として、CFOに高い期待を抱いていることは言うまでもありません。そのことからも、経理・財務面から意思決定をサポートする業務は、今後さらに重要性を増していくものと考えられます。

2.意思決定サポート業務の概要

経理財務面からの意思決定サポート業務には、以下の3つの領域が含まれます。

(1)事業戦略関連
グループ全体における、事業ポートフォリオ、中期経営計画策定、事業計画策定、M&A、リストラクチャリング等の事業戦略に関する意思決定のサポート

(2)財務戦略関連
グループ全体における、キャッシュマネジメント、投資含む財務マネジメント等の財務戦略に関する意思決定のサポート

(3)GRC(Governance・Risk・Compliance)・人材関連
グループ全体における、ガバナンス、統合リスク管理、内部統制、タレントマネジメント等のGRCおよび人材管理に関する意思決定のサポート

上記の3つの領域それぞれにおいて、意思決定サポート業務がCFOや経理財務部門によって実行されます。

この3つの領域に存在する業務は、いずれもその企業の命運を握る非常に重要な経営判断を行うための業務であるということです。その判断には重い責任が伴うことになるため、判断の根拠に正確性や客観性、具体性も求められることになります。

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次回は、意思決定サポート業務におけるITの役割を見ていきたいと思います。

執筆者

あずさ監査法人
Digital Innovation本部
経理DXチーム

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