決算業務の課題と対応方針(後編)

経理財務部門が抱えている決算業務の課題とその解消に向けた方針について説明していきます。

経理財務部門が抱えている決算業務の課題とその解消に向けた方針について説明していきます。

今回の解説では一般的に経理財務部門が抱えている決算業務の課題への対応方針について整理したいと思います。

前回ご紹介した決算業務の課題を有する企業は、どのようにその解消に向けて取組みを進めるべきでしょうか。その際、以下の点を変革テーマとして捉える必要があります。

決算業務の課題と対応方針―後編―

1.作業の透明性確保

複数の部門、担当者をまたぐ業務プロセスについて、以下を明確にします。

  • システムでカバーされない業務を含む全体像、および各業務のつながり(誰が・いつ・どのように行っているか)
  • 各業務のフロー・工数
  • 決算作業におけるクリティカルパスやボトルネックプロセス

2.プロセスの統合

自社内、および各グループ企業間で実施される決算業務プロセスの標準化、および自動化により、業務の効率化、生産性の向上を図ります。

3.ガバナンスと統制の強化

手作業による業務を削減、極小化し、人の判断やチェックを必要とする業務に可能な限り特化することにより、オペレーションリスクの軽減と品質向上の両立を図ります。

4.リソースの最適化

作業進捗を業務処理レベルで把握、管理し、作業の進捗に応じてリソースを機動的に配置することにより、決算業務全体の生産性向上を図ります。

正しい経理実務を行うためには、販売部門や購買部門といった上流にある部門から間違ったデータが流れてくるリスクを考慮する必要があります。これらの前方プロセスで発生するデータの正確性の担保も経理部門の課題に含めて検討する必要があります。これは今回紹介した変革テーマのうち、「作業の透明性確保」や「プロセスの統合」につながるものです。

次回は、会計システムの機能について解説していきます。

執筆者

あずさ監査法人
Digital Innovation部
経理DXチーム

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