決算業務の課題と対応方針(前編)

経理財務部門が抱えている決算業務の課題とその解消に向けた方針について説明していきます。今回の解説では一般的に経理財務部門が抱えている決算業務の課題について整理したいと思います。

経理財務部門が抱えている決算業務の課題とその解消に向けた方針について説明していきます。今回の解説では一般的に経理財務部門が抱えている決算業務の課題について整理したいと思います。

一般的な企業では、経理財務部門が、年次、四半期次、月次等のサイクルで決算業務を実施しています。通常は決算の対象となる期間の終了後、数日間~数週間をかけて実施しますが、この決算・財務報告プロセスは、システム的なサポートが希薄な領域であり、多くの企業において、手作業主体の業務が残っています。しかし、国内外を問わず、一般的な会計システムは、決算業務そのものをサポートするための機能に乏しいのが実態です。

昨今、会計システムを含む基幹システムの刷新に取り組む企業が増えてきたものの、経理財務部門の決算業務そのものの合理化改善や改革に焦点が当たることは多くありません。

これが、多くの企業における決算作業が手作業を駆使した属人的な業務の集合体となっており、未だに労働集約型の業務構造から抜け出せずにいる一因だと考えられます。

そうした経理財務部門が実施する決算業務においては、以下のような課題が生じています。

課題 内容
業務手順の属人化 業務の手順が担当者個人に依存しているため、業務品質の維持や担当者交代時の引継ぎに懸念がある
Excelスプレッドシートの多様化 多種多様なスプレッドシートの活用により、作業結果の検証やシートのメンテナンスに懸念がある
情報の分散 作業のための情報収集、作業過程での作成情報が担当者管理となっているため、最適な情報収集・管理が出来ていない
責任・権限ルールの曖昧化 各作業担当者の責任・権限が曖昧になっているため、作業アウトプットに対する責任の所在が不明確になっている
作業計画・進捗マネジメントの不足 作業タスク間の前後関係整理や進捗管理が不足しているため、手待ち、作業ピーク時の負荷が増大する懸念がある

上記の課題を有する企業は、どのようにその解消に向けて取組みを進めるべきでしょうか。次回は、その解消に向けた取組みについて、説明をしていきます。
 

執筆者

あずさ監査法人
Digital Innovation部
経理DXチーム

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