大手企業グループ傘下におけるホテル事業の組織再編 ~運営力高度化への挑戦~

本稿では、系列ホテル会社の組織再編では、短期的な視点からではなく、長期的な戦略的視点に基づいて、運営力の高度化を企図すべきである理由について解説します。

系列ホテル会社の組織再編では、短期的な視点からではなく、長期的な戦略的視点に基づいて、運営力の高度化を企図すべきである理由について解説します。

1.組織再編の背景

業績好調な不動産会社などを親会社に持つ系列ホテル会社の組織再編では、戦略的な意図が強く反映されている一方、業績が厳しい事業会社などを親会社に持つ系列ホテル会社では、キャッシュフロー改善の意図が強く反映されています。組織再編においてホテル運営力の強化が求められる背景には、こうした市場環境面と事業戦略面の変化が挙げられます。

2.組織再編による運営力の高度化

系列ホテル会社の中核運営会社には、機能や役割の組織間での重複などの共通の課題が見られます。ホテル単位の特性や強みを重視するが故に、チェーンオペレーションの根幹である中央集権型(本部主導)の役割分担やPDCAサイクルが機能不全に陥ってしまっているためです。均一的なチェーンオペレーションを機能させ、その機能を本部に集約させることが必要です。

3.系列ホテル会社が目指すべき方向性とは?

大企業グループに属さない外部不動産オーナーの視点を踏まえても、大企業グループの系列ホテル会社においての組織再編を含む運営能力の強化は不可欠です。今後の成長戦略を進めるためにも、独立系専業ホテル運営会社や外資系ホテル運営会社と対峙できる運営力を備え、外部不動産オーナーから信頼(=MC契約の締結)を勝ち取れるほどの、独自の存在価値を模索することが重要です。

執筆者

KPMG FAS シニアマネジャー
石井 秀樹

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