金融庁、監査報告書の報酬関連等の記載に係る「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公表

2023年3月27日、金融庁は、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公表しました。

2023年3月27日、金融庁は、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公表しました。

1.改正の背景

2022年7月25日に改正された日本公認会計士協会の倫理規則において、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)による倫理規則の改訂を踏まえ、報酬関連事項(監査報酬、非監査報酬、報酬依存度)の開示に関する取扱い等が設けられました。

これを受けて、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令が改正され、金融商品取引法に準拠した監査に係る監査報告書の記載事項において、公認会計士又は監査法人が被監査会社から受領する報酬に関連する事項を記載することが新たに要求されています。

2.改正の内容

(1)監査報告書における報酬関連事項の開示

監査を実施した公認会計士又は監査法人が被監査会社等から受け取った、又は受け取るべき報酬に関する事項について、監査報告書に記載するものとされています。

上記のうち、「報酬」には、監査報酬のみならず非監査報酬も含まれます。また、「監査を実施した公認会計士又は監査法人」には、これらの者と同一のネットワークに属する者が被監査会社等から受け取った(又は、受け取るべき)報酬も含まれます。さらに、被監査会社等だけでなく、その連結子会社若しくは非連結子会社から受け取った(又は、受け取るべき)報酬も記載の対象に含まれます。

ただし、被監査会社等の非連結子会社から受け取った(又は、受け取るべき)報酬については、監査を実施した公認会計士又は監査法人の独立性の保持に影響を与えると認めるに足りる相当の理由があるものに限るとされています。

(2)監査報告書における報酬関連事項の記載が省略可能となる場合

次の有価証券届出書・有価証券報告書に係る監査報告書においては、報酬関連事項の記載は省略可能とされています。
 
  • 特定有価証券(投資信託受益証券など)に係るもの
  • 特定有価証券以外の有価証券(株券など)について有価証券報告書の提出義務を負う非上場会社(一定規模未満のものに限る。)が提出するもの

また、次の場合には、参照文言を記載すること等の要件を満たすことにより、報酬関連事項の記載を省略できることとしています。

  • 連結財務諸表に係る監査報告書に報酬関連事項が記載される場合
  • 完全親会社の連結財務諸表に係る監査報告書に報酬関連事項が記載される場合

3.適用時期

監査報告書における報酬関連事項の記載は、2023年4月1日以後に開始する事業年度又は連結会計年度に係る財務諸表等の監査証明から適用されます。

ただし、当該記載は、早期適用が可能(2023年4月1日以後に終了する事業年度又は連結会計年度に係る財務諸表等の監査証明において適用可能)とされています。

執筆者

あずさ監査法人
監査プラクティス部

お問合せ

参考情報へのリンク(外部サイト)

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。