リースの定義-入替えの権利(IFRS第16号)-IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース -「リースの定義-入替えの権利(IFRS第16号)」については、2023年4月のIASBの会議を経て確定しました。

IFRS解釈指針委員会ニュース -「リースの定義-入替えの権利(IFRS第16号)」については、2023年4月のIASBの会議を経て確定しました。

概要

委員会は、サプライヤーが有する入替権の評価に関して以下の質問を受け取りました。

a. 契約が、類似した複数の資産(電動バスのバッテリー100個)の使用に関するものである場合、契約がリースを含んでいるかどうかの評価はどのレベルで行うべきか(各資産(個々のバッテリー)ごとか、契約の対象資産すべて(100個のバッテリー)を一体としてか)。

b. サプライヤーが、使用期間全体を通じて代替資産に入れ替える実質上の能力を有しているものの、入替権の行使により経済的便益を得られるのは使用期間の一部(契約期間のうち、少なくとも当初3年間は該当しない見込み)に限定される場合に、契約がリースを含んでいるかどうかをどのように評価するか。

ステータス

委員会は、以下の検討を行いました。

a. 契約がリースを含んでいるかどうかを評価するレベル

顧客は各資産(個々のバッテリー)を自らが容易に利用可能な他の資源(所有する、もしくはリースにより保有するバス)とともに使用することから便益を得ることができます。さらに、契約に含まれる100個のバッテリーは互いの依存性が高くなく相互関連性も高くありません。これらにより、各バッテリーが独立したリース構成要素であると考えられるため、契約がリースを含んでいるかどうかの評価も、各バッテリーのレベルで行う必要があると委員会は結論付けました(IFRS16.B12)。

b. 権利の行使による経済的便益の稼得が使用期間の一部に限定される入替権の評価

リースとは、特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約です。サプライヤーが使用期間の全体を通じて資産を入れ替える実質的な権利を有している場合、顧客は特定された資産を使用する権利を有しておらず、そのような取引はリースにあたらないと判断されます。

検討対象の取引においては、サプライヤーが使用期間全体を通じて代替資産に入れ替える実質上の能力(IFRS16.B14(a))を有しているものの、サプライヤーは少なくとも契約当初3年間はバッテリーを入れ替える権利の行使により、経済的便益を得るとは見込まれていません。このため、サプライヤーの入替権は使用期間の全体を通じては実質的ではなく、委員会は、各バッテリーは特定された資産に該当すると結論付けました。したがって、顧客が使用期間全体を通じて、各バッテリーの使用及び使用の指図からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利を有していると評価される(IFRS16.B21~B30)場合には、契約はリースを含んでいると結論づけられ、リース期間の決定(IFRS16.18~21)に進むことになります。

以上より、委員会は、IFRS®会計基準上の扱いは明らかであるとして、本件に対処するための基準設定プロジェクトを作業計画(アジェンダ)には追加しないことを決定しました。

本アジェンダ決定の内容は、2023年4月のIASBの会議を経て確定しました。アジェンダ決定の詳細についてはASBJのサイトに公開されているIFRIC Update(2023年3月)への補遺をご参照ください。

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