本連載は、日刊工業新聞(2022年5月~8月)に連載された記事の転載となります。以下の文章は原則連載時のままとし、場合によって若干の補足を加えて掲載しています。

スマートシティにおけるインフルエンサーマーケティングの活用

スマートシティとは、データを活用して「町づくり」や「町おこし」を行い、地域の発展につなげるものでもあり、暮らしにかかわるさまざまな分野でのデータ活用が期待されます。たとえば、観光による地域活性化などの観点で映画やアニメ、ゲームなどのコンテンツから得られるデータを活用することなどが挙げられます。
コンテンツ産業ではアフターコロナにおいて「デジタルにおける消費」が重要な領域と考えられています。海外ではコンテンツの一部を動画配信サービスなどで配信することが重要な収益源になっているようです。また、ユーザーが自身で動画を作成して配信するサービスも増えています。こうしたデジタル配信への転換の流れを地域の発展に生かせるのではないでしょうか。

町おこしにコンテンツを活用する事例は、映画やアニメのモチーフになった土地で“聖地巡礼”やそのキャラクターなどを活用した取組みがすでに存在します。こうした施策をさらに発展させ、地域が独自に作成したコンテンツを動画配信サービスで配信することも新たな取組みの1つとして考えられます。
多くの動画配信サービスでは、視聴者の年齢や性別といった属性などのアクセス解析も可能で、国内、海外を問わずどの地域から視聴しているのかも確認できます。さらに、地域の特産品のマーケティングも兼ねた電子商取引(EC)サイトに誘導するコンテンツを作成することで、どういう購買層が興味を持っているのかといった、より詳しい情報を得ることも可能になります。最近ではユーザー投稿型の一般的な動画コンテンツ以外にも、若い世代の間で15秒程度の短尺型コンテンツが成長を見せるなど、多様化してきています。

近年、若者を中心に数十万~数百万回の再生回数を獲得する著名なインフルエンサーを企業がマーケティングに活用した、いわゆるインフルエンサーマーケティングも増えています。地方にとっては若者をファンとして確保し、地域の魅力を知ってもらい、繰り返しの訪問や特産品の購買に繋げることは重要と言えるでしょう。
さらに、クラウドファンディングや非代替性トークン(NFT)などを活用した資金調達にも、コンテンツは活用できます。インフルエンサーを囲い込むスタートアップ企業と連携し、地域の特産品や名所にまつわるコンテンツを作成するのも1つのアイデアです。
「良い反応があったかどうか」というデータが取得しやすく、試行錯誤ができるのがデジタルの特徴と言えます。また、若年層の取り込みにも有効に活用できるでしょう。スマートシティの実現により、地域活性化にデジタルコンテンツを活用する流れが一層加速するのではないでしょうか。

【動画配信サービスにおけるコンテンツの潮流】

ユーザー投稿型コンテンツ 短尺型コンテンツ
インフルエンサーや有名人によるマーケティング活用が進行 若年層ユーザーのインフルエンサー化が進行

日刊工業新聞 2022年6月3日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日刊工業新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

執筆者

KPMGコンサルティング
シニアマネジャー 渡邊 崇之

進化するスマートシティ

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