ステークホルダーエンゲージメントとインテリジェンス経営

サステナブル経営を大きく揺るがすものは何か。その一つには、企業活動に対して直接的・間接的に影響を及ぼすことができるステークホルダーの存在がある。特に、昨今のステークホルダーは、企業の法規制対応のみでは到底満足せず、サステナブル思考によって企業活動を評価する立場にある。つまり、企業は資本効率を重視する株主だけではなく、全てのステークホルダーの要求を同時に満たすべきである。

そのため、企業はどのような経営状態であっても、周囲の事業環境を全て見渡した上で、将来発生する事象を予測し対応すること、もしくは、発生し得る事象に対して受容可能な体制を整えることが求められている。欧米諸国では、あらゆる変化への耐性を高めるべく、過去よりインテリジェンス経営の導入が進んでいる。戦略的にインテリジェンスを駆使し、迅速かつ効果的な経営判断を下せる体制を組み込むことで、変化に弾力的な組織を構築しているのである。

本号では、企業の特定の成長ステージ(成熟局面、下降局面)における代表的なステークホルダーエンゲージメントの要諦を押さえた上で、それらを包含する社会全体のリスクと立ち向かうための処方箋としてのインテリジェンス経営の在り方について解説していきたい。

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特集:Close-up 1

対象当事者の事前同意を得ないまま対外公表に踏み切る敵対的買収提案が耳目を集めるようになって久しいが、時代の流れとともに顔ぶれも提案内容も変化し、実際に成立する事例も増加している。その背景には、ステークホルダーとしての株主の多様化・成熟化によりM&A局面における株主の影響力がますます高まっていることが挙げられる。敵対的買収提案の変遷からM&Aにおける主要なステークホルダーである株主動向の変化を捉え、平時・有事のM&Aリテラシーについて考える。

特集:Close-up 2

業績下降局面での企業経営( 以下、「ターンアラウンド経営」)のポイントは、「早期着手・迅速再生」に尽きる。財務に余裕がありステークホルダーの理解を得られるうちに、大胆に、そして十分かつ適切な改革施策を講じることが肝要である。一方で、経営・財務状況が悪化し、資金調達や借入金の返済リスケジュール、さらにはより深刻な債権放棄等の金融調整が必要となれば、状況に応じて私的整理、法的整理といった再生手続により「金融調整」を図ることが極めて重要となる。本章では、このようなターンアラウンド経営について、特に再生手続の私的整理の代表格である「事業再生ADR」にフォーカスして論じる。

特集:Close-up 3

VUCA時代において、様々な環境変化に対し、迅速かつ効果的に対応できた例は残念ながら日本企業には少ない。一方、欧米では、いかなる状況であっても、そのような経営判断を可能にするインテリジェンスチームが存在する。彼らはたとえ平時であっても、断片的な情報を定常的かつ積極的に収集し、仮説構築、追加調査を常に繰り返している。いわゆるインテリジェンス経営の実践である。これからの時代、社会全体をステークホルダーとして捉える必要性に迫られる経営環境下において、コーナーを曲がった先を読むインテリジェンス経営の価値を、改めて見直してみたい。

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Driver Vol.11 Contents

Event Report - KPMG FAS Forum
「新・価値創造の経営」社会を支える企業の成長戦略とイノベーション

Close-up特集:ステークホルダーエンゲージメントとインテリジェンス経営

Close-up 1:広義の敵対的買収提案から読み解く株主視点のステークホルダーエンゲージメント

Close-up 2:下降局面におけるターンアラウンド経営とステークホルダー

Close-up 3:改めて注目されるインテリジェンス経営~コーナーを曲がった先を読む~

Market Check !:セクター別EV/ EBITDA倍率トレンド

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