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現在の注目のニュース&トレンド情報:KPMG FAS Newsletter “Driver” Vol.10

現在の注目のニュース&トレンド情報:KPMG FAS Newsletter “Driver” Vol.10

M&A、事業再生、企業不正不祥事に関連するニュースや、業界のトレンドに着目した4つの記事を紹介

CASE時代における サイバーセキュリティ管理の重要性

CASE時代におけるサイバーセキュリティ管理の重要性

自動車がインターネットに接続され(Connected)、自動化され(Autonomous)、他者と共有され(Shared and Services)、電動化される(Electric)時代が到来しようとしている。しかし、攻撃者による自動車制御プログラムの改変やネットワーク経由の不正運転操作等で、個人の安全や生命が脅かされる可能性がある。今後、サイバーセキュリティはより重要となる。

こうした背景のもと、2020年に制定された国際基準であるWP29(自動車基準調和世界フォーラム)の「UN規則」においては、車両のライフサイクルやサプライチェーン全体に対して、継続的なサイバーセキュリティを運営および改善する「サイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)」の確立を自動車メーカーに要求している。日本でも2022年より順次義務付けられることから、既存のサイバーセキュリティ管理の見直しが急務となっている。

時価発行新株予約権信託 (信託型ストックオプション)

時価発行新株予約権信託(信託型ストックオプション)

「信託」を活用したストックオプション(SO)の導入事例が多くなってきた。SOは、将来的に一定の金額(権利行使価格)で新株の交付を受けられる権利であり、権利行使価格を上回る水準まで株価が上昇すればキャピタルゲインが得られる仕組みである。

「信託型ストックオプション」では、信託契約を活用して予め受託者に一括してSOを割り当てることにより、SOの権利行使価格を割当時点の時価に固定し、付与されるタイミングによって得られる利益に差が生じる不平等をなくすことにより、インセンティブプランとしての効果を高められる。また、信託型SOは信託設定時に有償にて対価を支払うため、受益者が交付を受けた時に改めて対価を支払う必要がなく、さらに権利行使時ではなく株式売却時にのみ課税される形となるため、税務面でも受益者の使い勝手が良い。経営者や従業員を企業価値向上に向けて意識付けるマネジメントツールの一つとして益々SOの活用が活発化しそうだ。

改めて、次世代の決済テクノロジーの重要性

改めて、次世代の決済テクノロジーの重要性

ロシアによるウクライナ侵攻が深刻化している。「欧州の一部の国や地域の問題が、アジアの商流・資金流全般にも大きな影響を与える」という構造が浮き彫りになり、ロシアと取引関係があるかの迅速な把握と、代替取引の検討が最重要課題となった。EC、仮想通貨、海外送金など、あらゆる決済手段において誰と取引したかをチェックするインフラが重要であることが再認識されたが、監視コストはユーザー負担である。

そこで、次世代の決済テクノロジーの一つであるBlock Chainトレードファイナンスが注目されている。今まではコスト削減視点で活用されてきたが、取引分析、不正取引のモニタリングの機能に期待がよせられている。今後、社会課題を解決する欠かせない技術になり、リプレースや技術開発がさらに進む可能性が高い。世界の7 割は単純独裁政権または選挙による独裁政権であり、「自由貿易圏」においてテクノロジーがどう立ち向かうか、改めて注目していきたい。

宇宙ビジネス最前線:地球を凝視

宇宙ビジネス最前線:地球を凝視

宇宙ビジネスは、輸送と観測の2つの形態が進展している。輸送ビジネスはスペースX、ブルーオリジン、ヴァージン・ギャラクティックなど海外勢が強い。日本では堀江貴文氏率いるインターステラテクノロジズと、IHIエアロスペース・清水建設・キャノン電子といった航空宇宙分野の伝統企業連合のスペースワンが参入しようとしている。

観測ビジネスは、小型軽量化が進みSARという電波を活用した撮像技術により多数の衛星で高頻度観測する「地球観測衛星コンストレーション」の構築が始まっている。これは、地表分布は勿論、地下水や地下鉱物の分布も把握できるもので、田畑の観測データから栽培作物の生育状況を監視する事業や、ショッピングモールの駐車台数の推移から景気動向や株価を予測する事業が登場している。日本からはシンスペクティブとQPS研究所が参入している。宇宙から地球を凝視し、見えなかったものを見る事業の登場が期待される。