レジリエンス経営

-不確実な時代を生き抜く力-

我々のライフスタイルを完全に変えてしまったコロナ・パンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻に代表される地政学リスク、地球規模での長期的な対応が求められるESG課題など、現在の日本企業にはさまざまな課題や不確実性に対して、レジリエンス(回復力)を備えた経営が求められている。そのためには、経済面だけではなく、政治、社会の動静を広くとらえた上で、漏れのないリスク察知と課題対応力の向上を目指す必要がある。今回は、注目が集まる「サプライチェーン」、「サードパーティリスク」、「事業ポートフォリオ管理」の3つの領域を特集する。

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特集:Close-up 1

ウクライナ侵攻によって、地政学リスクが顕在化すると、企業のサプライチェーンに甚大な影響を及ぼすことを思い知らされた。日ロ関係、米中対立やASEAN諸国の動向等日本固有の地政学リスクを本気で考える時代の到来である。加えて、経営に対する多様な要請や、刻々と変化する各国の税制・規制、これらに対応するためのサプライチェーンのレジリエンスが今まさに求められている。昨今、他国企業のサプライチェーンを見習う傾向の強かった日本企業だが、自らの事業戦略としてサプライチェーンを考え、よりスピーディーに取り組む必要がある。

特集:Close-up 2

企業のサードパーティリスク管理の重要性が高まっている。サードパーティの役割や機能は、ますます重要になってきており、多くの企業ではサードパーティ抜きには業務が成り立たない。サードパーティとの連携は、外部委託に限らずさまざまであり、また管理すべきリスク領域も多岐にわたることから、サードパーティリスクの管理は一筋縄ではいかない。サードパーティのディスラプションが自社の業務停止を引き起こす事象も発生する中、企業がサードパーティリスク管理にどのように取組むべきか考察する。

特集:Close-up 3

ここ20年、日本企業は事業の多角化を進めてきたが、その結果、収益性が低下するというケースが多発し、日本企業の事業ポートフォリオマネジメントは失敗に近い状況にある。こうした事態を打破するには、事業ポートフォリオの変革、いわゆるPX(ポートフォリオ・トランスフォーメーション)が不可欠である。PXには、ROICの活用と、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実践からなる取組みが有効であり、現在はESGの観点を踏まえたPXも求められる。日本企業はどのようにPX に取り組むべきなのか、PX 元年の到来を期待して、考察したい。

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