きわめて重要な時期

12ヵ月に及ぶ前例のない混乱と不確実性は、見通しをどのように変えたのでしょうか。今年の見通しに関する注目すべき洞察は、業界に影響を与える問題が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前とほとんど変わらないということです。

鉱業界は、従業員、地域社会、サプライチェーンの安全を確保するために、COVID-19への対応を急がざるを得ませんでした。COVID-19の影響は続くものの、鉱業界は急速に調整を進めています。

KPMGの調査では、鉱業企業は新たな多くのオポチュニティを利用する上で有利な立場にあることが示唆されています。

コロナパンデミックの影響

COVID-19は、感染が重大な影響をもたらす遠隔地に住む人々にとって、労働者の健康と福祉が重要であることを浮き彫りにしました。2020年には、健康面に注意が向けられましたが、時を同じくして鉱業の安全統計データに改善が見られました。また、サプライチェーンの世界的な混乱が表面化したことにより、物流のさらなるデジタル化が進められています。

主な調査結果

今回の調査から、複雑で多様なリスクに対応する回復力のあるセクターが明らかになりました。2020年と同様、「コモディティ価格リスク」が1位でしたが、2位には「世界的なパンデミック」リスクが入りました。「景気の悪化、不確実性」と「環境リスク(新しい規制を含む)」が大きく順位を上げています。

変化は唯一確実なもの

世界的には不安定な状況ですが、鉱業企業のエグゼクティブたちは楽観的です。世界的なパンデミックの最中に調査は行われましたが、回答者の3分の2が自社の成長に自信を持っていると答えています。また、今後12ヵ月間の自社の見通しと成長について楽観している企業の割合は、産業界全体の見通しと成長に比べて、高いことも注目すべき点です。

事業戦略を方向付ける地域社会の期待と社会的な期待

あらゆる鉱業企業の役員室では、ESGの討議が中心となっていますが、企業文化の大きな変化、特に地域社会の期待に応えようとする傾向が調査に表れています。回答者の91%は、鉱業企業は明確で測定可能なESG戦略を備える必要があるとの考えに同意し、83%の回答者はESG目標に照らして成功を評価していると回答しています。

テクノロジーによる変化はオポチュニティと見なされている

回答者の82%は、テクノロジーによる破壊的変化を脅威と見なさず、オポチュニティになり得ると見ています。また、破壊的変化が従来の大手企業を弱体化させたり排除したりするかどうかについては、回答者の意見が分かれました。

イノベーションは、仕事を完全に置き換えるのではなく、仕事をシフトさせるものであるという認識が広まっています。57%はテクノロジーの採用とその破壊的変化は広範囲ではなく、状況によると考えています。

回復力のあるセクターの前向きな見通し

前年と比較した、自社の成長可能性の見通しに対する楽観的な見方については、前年の38%に対し、今年は49%が会社の前途により楽観的である、と回答しています。業界の先行きについても、前年の33%から37%に上昇し、楽観的な見方が強まっています。

上位の成長戦略

企業は内部に焦点を合わせることを優先しており、過半数の企業が有機的成長、イノベーション、生産性向上を最重要戦略としています。世界的に、政府の景気刺激策はエネルギー移行プロジェクトに向けられており、これらに伴う建設ブームが今後も、銅・ニッケルなどの原材料需要を押し上げるものと予想されます。石炭など一部のセクターは、引き続き強まる逆風に直面することになるでしょう。

結論

鉱業企業の前向きな見通しは、鉱業セクターが逆風にうまく適応していることを示唆しています。新しいビジネスモデルと戦略、ESGイニシアチブの導入と伝達、バランスシートの強化により、業界の回復力が高まっています。

2020年の世界的な激変は鉱業企業に試練を与えましたが、前途に大きな課題が残されてはいるものの、豊富なオポチュニティを提供するものと考えられます。
 

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