メキシコ:給与に係るCFDIの改正

官報より2022年度の細則が発表され、税制改正に関連した給与に係るCFDIに関する各種の変更が行われることになりました。

官報より2022年度の細則が発表され、税制改正に関連した給与に係るCFDIに関する各種の変更が行われることになりました。

2021年12月27日に、連邦政府の官報(DOF:Diario Oficial de la Federación)より、2022年度の細則が発表され、22年税制改正に関連した、給与に係るCFDI(Comprobante Fiscal Digital por Internet)に関する各種の変更が行われることが明らかになりました。本ニューズレターでは、その概要について解説します。

なお、本トピックに関連してKPMGが発行しているスペイン語版のニューズレター(Flash)も、必要に応じてご参照ください。

1.2021年度の給与に係るCFDIの修正

記入誤りや漏れがある給与に係るCFDIについては、例年通りその修正が可能な期限が延長されます。2021年度に誤った当該CFDIを発行した納税者は、その修正が2022年2月28日までに行われる場合、一回限りでその修正が認められます。

その際には、次の手順を考慮する必要があります。

  • 修正の対象となる給与に係るCFDIのキャンセルを行う
  • 再発行するCFDIが2021年の支払に係る修正のものであることを明確にする

2.受領者の承認のない給与に係るCFDIのキャンセル

上述の通り、現在給与に係るCFDIのキャンセルは受領者側の承認に関わらず、年をまたいだ一定の期間(通常2月28日まで)行うことが可能でした。今回22年の細則により、今後、納税者(発行者)は、受領者側の承認がない場合、当該給与に係るCFDIのキャンセルは発行された年のみでしか行えなくなります。

3.改正の論点

この改正は、同じく税制改正で収益に係るCFDIの年をまたいだキャンセルに制限がかけられることと足並みを揃えたものと考えられます。そして当該改正によって、企業側の実務は大きな影響を受けることが予想されます。なぜなら現行実務においては、給与に係るCFDIの適切な修正を行うためのキャンセルは年をまたいでから行われるケースが多くありますが、受領者側(すなわち給料を受ける従業員側)のアクションが必要とされていませんでした。一方、今後同様の手続きを年をまたいで行うためには、受領者側の承認が必要となり、それは受領者側である従業員が個人としてSATに登録している納税者メールボックスに入り、その修正に対する承認手続きを行ったことによってはじめて可能となるからです

2021年の改正によって、給与所得者の場合でも、年間400,000MXN以上の給与所得がある個人は納税者メールボックスを開設する必要が生じています。

給与に係るCFDIの情報は、企業側が提出する年次税務申告の損金算入額の基礎となり、また、従業員の年次確定申告の基礎となる証憑であり、当該修正ができる限り年をまたいで行われないように、社内のチェック体制を改めて再構築する必要があると考えられます。一方、当局側に対してもこのような実務的な混乱を緩和する追加手当が将来的に公表されることが期待されます。

本ニューズレターは以下よりPDFにてダウンロードいただけます。

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