カスタマイゼーションが常識となった世界において、データは企業が顧客を理解し、顧客の要求を満たす入口となります。また、データから得られるインサイトは、企業が市場開拓のために新たな戦略を策定し、さらなる収益機会を見出し、ライバル企業から市場シェアを奪う手だてとなります。テクノロジー、メディア、通信業界はデータ生成の最前線に位置するため、豊富なデータを入手することが可能です。しかし、これらの業界で包括的なデータ戦略を大規模に導入済みの企業はわずか29%であることが、今回実施した調査から明らかになりました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、この2年間は多くの企業が顧客に商品やサービスを提供し続けるためにデジタル変革に注力しました。しかし、データ活用は莫大な経済的リターンをもたらす可能性があり、今後2年間において、テクノロジー、メディア、通信企業はデータのアクセス、管理、分析業務・機能を大いに加速させることが予測されます。

ポイント

  • 11%の企業のみが、デジタル変革よりもデータ活用を優先し、データを大いに利用している。
  • 75%の企業は、企業データを有効利用すれば、事業モデルが根本から変わる可能性があると考えている。

企業はデータを重視すべき

コロナ禍により大きな変化に見舞われたこの2年間、テクノロジー、メディア、通信業界の企業は、デジタル変革とサービス提供(デリバリー)を掲げて推進してきました。46%の企業が「コロナ禍によって目の前の優先課題がデジタル変革の必須基盤であるクラウドの導入へと変化したために、データ活用の進展が妨げられた」と回答しました。また、80%以上がコロナ禍に伴う目の前のビジネス上の問題に追われ、自社の膨大なデータを競争優位性の構築に生かしきれていないとしています。

データの有効利用は、テクノロジー、メディア、通信企業にとっての必須課題です。効果的なデータ利活用を促す優れた戦略を導入することは、競合他社との真の差別化をもたらします。データ戦略の対象範囲と有効性は、デジタル変革への取組みと同程度かそれを上回ることが必要です。

デジタル変革の取組みとデータとの関係について、貴社の現状を最もよく表しているものは以下のシナリオのうちどれですか?

データの緊急課題_図表1

すべての企業が同じ条件ではない:データ利用の成熟度

調査では、変革の推進に企業データを有効に利用するために、データアーキテクチャーとデータ活用のどの分野が主要課題になるかを尋ねました。その結果、テクノロジー、メディア、通信企業は、構造化・非構造化データの利用と分析、分散するデータのアクセス、データのモダナイゼーションに取り組む中で課題に直面していることがわかりました。

自社のデータモダナイゼーション、データの管理とアーキテクチャー、データの質とガバナンスに関する世界クラスの戦略を定めていると回答した企業は10%未満でした。しかし、少なくとも30%の企業が、今後2年間に上記分野に関する世界クラスのデータ戦略を導入する予定としています。テクノロジー、メディア、通信企業のおよそ45%は、データを活用した収益化の成熟段階にあります。また、今後2年以内に51%の企業の成熟度が最適レベルとなる見込みです。

貴社の現在のデータ成熟度はどの程度だと思いますか?

データの緊急課題_図表2

データへの効果的な投資が大きなリターンを生む

テクノロジー、メディア、通信企業の半数以上が、データへの投資額を25%増加することで、カスタマーサービス、サイバーセキュリティ、人材管理、バックオフィス業務のパフォーマンス効率が4%以上改善するだろうと予測しています。これにより、以下のようなメリットが得られます。

  • バックオフィス業務のプロセス効率が向上する可能性がある。
  • カスタマーサービス部門が顧客をより深く理解することができ、エクスペリエンスを個別化することが可能になる。
  • ITオペレーション部門がリスクについて理解し、企業に被害が及ぶ前に防止策を講じることができる。

また、テクノロジー、メディア、通信企業の70%以上が、「幅広いデータを有効利用すれば事業モデルが根本から変わる可能性があり、社内の連係により業務効率が大幅に向上する」という予測に対し、可能性が非常に高い(5段階評価の4または5)と回答しています。さらには、データの効果的な利用は、今後2年間にROI、売上の創出、利益など、主に財務面のKPIを改善する重要な役割を果たすことが明らかになりました。

結論

テクノロジー、メディア、通信企業はデータ戦略を企業の必須機能とみなすことが出発点です。これらの企業がデータの有効利用に向けた方策を講じる中で、次の5つのイニシアティブが高いインパクトをもたらします。

  • データを資産とみなし、データの利用を競争上の差別化要因ととらえる。
  • 新製品・サービスを通じて、総売上高の最低10%をデータの収益化から得ることを目指す。
  • 「ハイパースケーラー」企業をグローバルに活用し、クラウドベースのデータアーキテクチャー構築のステップを見直す。
  • テクノロジー、メディア、通信業界内のコネクテッドエンタープライズを支える基盤として、プロセスその他とともにデータを活用する。
  • 顧客第一主義に着目したデータ利用を通じて変革を推進する。

英語コンテンツ(原文)

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