テクノロジー企業は総じて時代の先端を行く組織だと思われていますが、その53%は、依然として脱炭素化の戦略や目標を定めていません。脱炭素化に向けた行動で後れを取ることは、資本コスト、人材獲得競争、必要な原材料の入手、消費者の信頼獲得にますます悪影響を及ぼします。そのため、テクノロジー企業のリーダーとサステナビリティ担当者は、今こそ真剣に脱炭素化の計画策定に着手する必要があります。

ポイント

  • 環境・社会・ガバナンス(ESG)問題への取組みを表明していても、ほとんどのテクノロジー企業がビジネス上の決定を気候変動対策と関連付けていない。
  • 気候問題が大いに注目される状況にあって、テクノロジー企業の脱炭素化への取組みが遅れている理由として、取締役会、経営陣、投資家が気候問題に力を入れていないことが考えられる。

テクノロジー企業は脱炭素化に苦慮

回答者の過半数を占める53%の経営幹部が、脱炭素化の戦略や目標を定めていないと述べました。また、半分弱(45%)が脱炭素化のイニシアティブをまったく設けていないと答えました。そして、脱炭素化の戦略を策定済みと答えた企業の具体的な取組みは、再生エネルギー調達、エネルギー効率、そしてカーボンオフセットに集中しています。すでに脱炭素化に取り組み始めたテクノロジー企業は、エネルギー消費量の低減などの分野を重視する傾向にあり、CO2排出量の数値改善は取組みの副産物であって、主たる目標ではないのです。

気候変動を優先課題に

多くのテクノロジー企業がプロジェクトへの資金配分にあたって、気候変動問題を最優先すべきだとはまったく考えていません。資金配分の決定において気候変動を重視すると答えたテクノロジー企業の割合はわずか24%で、42%が考慮に入れないと答えました。また、テクノロジー企業の経営陣の大多数(64%)が、気候関連リスクの財務上の潜在的なインパクトを計算していないと答えました。さらに、取締役に脱炭素化の目標達成を促す報酬インセンティブを設けているテクノロジー企業はわずか13%です。上記の結果は、テクノロジー企業がいまだに気候関連戦略をコストとみなし、実際問題、脱炭素化によってどのように収益を生み出せるのか判断しかねていることを示しています。

脱炭素化への障害

自社の脱炭素化における障害は何かを尋ねたところ、「取締役会と経営陣による熱意が不十分」、「投資家が短期的目標を重視/脱炭素化の要求がない」が他の選択肢をわずかに上回り、両方で全体の35%を占めました。この調査結果は、テクノロジー企業が脱炭素化の取組みに後れを取っていることを示していますが、新たな規制や市場の需要が契機となって、企業が総合的なグリーン戦略を今よりも積極的に進めなければならなくなる可能性があります。

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