金融資産の決済として電子送金システムを介して受領した現金(IFRS第9号に関連) -IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース -「金融資産の決済として電子送金システムを介して受領した現金(IFRS第9号に関連)」については、2021年9月のIFRS-IC会議で新規に取り上げられました。

「金融資産の決済として電子送金システムを介して受領した現金(IFRS第9号に関連)」については、2021年9月のIFRS-IC会議で新規に取り上げられました。

関連基準

IFRS第9号「金融商品」

概要

IFRS-ICは、企業が金融資産(営業債権)の決済として電子送金システムを介して現金を受領する場合、着金日ではなく、送金手続が開始された日に営業債権の認識を中止し、現金を認識できるかという質問を受けました。

前提となる取引は以下の通りです。

  • 本件における電子送金システムは自動決済プロセスを有している。当該プロセスは、送金手続に3営業日を要する。つまり、システムを利用した送金は、支払人が支払手続を開始してから2営業日後に決済される。
  • 企業は、顧客に対する営業債権を保有している。企業の報告日時点において、顧客は営業債権を決済するために電子送金システムを利用して既に送金手続を開始しているが、企業の口座に振り込まれるのは報告日から2営業日後である。

ステータス

IFRS-ICの暫定的決定

営業債権及び企業が受領する現金は、いずれもIFRS第9号の範囲に含まれる金融資産に該当することから、企業は、営業債権の認識を中止する日を決定するためにIFRS第9号第3.2.3項を適用し、現金を認識する日を決定するためにIFRS第9号第3.1.1項を適用します。IFRS-ICは、本件は金融資産の購入でも売却でもないため、IFRS第9号第3.1.2項の「通常の方法による売買」の規定は使えないと指摘しました。

IFRS第9号第3.2.3項は、金融資産を譲渡した場合以外については、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合に、かつその場合にのみ、金融資産の認識を中止することを求めています。このため、企業は、営業債権から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した日に営業債権の認識を中止することになります。キャッシュ・フローに対する契約上の権利がいつ消滅するかは法律上の問題であり、関連する法律及び規制、電子送金システムの特徴を含む個別の事実及び状況に基づいて判断します。このため、顧客から現金を受領する契約上の権利が現金を受領した時点で初めて消滅するのであれば、企業は銀行口座への着金日に営業債権の認識を中止することになります。

また、IFRS第9号第3.1.1項は、企業が金融商品の契約条項の当事者になった場合に、かつその場合にのみ、金融資産を認識することを求めています。企業が銀行口座に振り込まれる現金について契約条項の当事者となるのは当該現金を獲得する契約上の権利を得たとき、即ち現金が振り込まれて以降となります。よって、企業は着金日に現金を金融資産として認識します。IFRS-ICは、営業債権からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が着金日より前に消滅した場合には、その同日に、企業は営業債権の決済として受領した何らかの金融資産(例えば顧客の取引金融機関に対する未収入金)を認識することになるであろうと指摘しました。しかしながら、営業債権の認識を中止する前に営業債権の決済として現金もしくは他の金融資産を企業が認識することはありません。

以上から、IFRS-ICは、営業債権から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時点で営業債権の認識を中止し、営業債権の決済として受領した現金もしくは他の金融資産を、営業債権の認識を中止する日と同じ日に認識すべきであると結論付けました。

2021年9月のIFRS-IC会議は、現状のIFRS®基準の原則及び要求事項が、本件質問で記載されている、電子送金システムを介して営業債権の決済を受けた場合に、いつ営業債権の認識を中止し、現金を認識すべきかを決定するための適切な基礎を提供していると判断し、基準設定プロジェクトに追加しないことを暫定的に決定しました。

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