資本市場 変革の波への対応

持続可能な成長やステークホルダー資本主義への転換など、グローバル規模で社会や経済に新たな価値観が浸透するなか、企業もその対応を迫られている。
昨年から米国を中心に資本市場で一大ムーブメントとなっている特別買収目的会社(SPAC)、世界の投資マネーの3割を占め、今や金融市場において無視できない潮流となったESG投資家の視線、更には国内上場企業が直面するプライム市場創設を含む一連の東証市場改革。
これら内外の金融・資本市場における新たな動きが、企業の在り方やその活動の隅々にまで影響を与えている。新たな要件の下での企業のかじ取りに必要な視点、施策について特集する。

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特集:Close-up 1

昨年来、米国でSPAC(Special Purpose Acquisition Company、以下「SPAC」)上場が急増した。直近では急成長による懸念も指摘されるが、昨年来のIPOに占める割合でみると高い。ただ、US-GAAPでの監査済財務諸表の必要性や、上場後の継続開示義務に加え、SPACによる買収は大型案件が中心であるなど、日本企業にとってSPAC経由の上場は簡単ではない。しかしグローバルな事業展開を考える有力ベンチャーや、海外での出資先/買収先には資本政策の選択肢になりえる。優れた技術を持つがノンコアとなった事業部門の活用方法としても検討の余地があり、今後のSPACの動向には注目すべきである。

特集:Close-up 2

2015年の国連における「持続可能な開発目標(SDGs)」の採択や、透明性、独立性の高いガバナンス体制の下、環境・社会への配慮を重視する企業への投資が機関投資家を中心にグローバルで主流となりつつあるなか、金融市場のみならず社会全体において、企業を見る物差しが変わりつつある。

M&Aについても自社のESG戦略をどのようにM&A実行プロセスに落とし込んでいくか、整合的な対応が必要となる。今後、企業にはM&A実行において、ESG視点での非財務情報を見極める力が求められる。

特集:Close-up 3

東京証券取引所の市場改革へ向けた足もとの大きな動きとして、(1)市場区分の再編とこれに伴う上場基準の変更、(2)コーポレートガバナンス・コードの改訂が挙げられる。従来、日本の株式市場は、相対的に多数の親子上場企業が存在することが特徴の一つとされてきたが、今回の市場改革の動きは、これら親子上場企業の多くに何らかの対応を迫るものとなっている。

東証市場改革を契機として、親子上場企業において想定されるコーポレート・アクションについて考察するともに、これらの動きを第三者の立場から機会として活用しうる視点について解説したい。

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