重要なポイント

  • 100年にわたるICEの支配の終焉
  • よりモザイク状の様相を呈する自動車業界
  • 参入者の多さに比べ、消費者が少なすぎる?
  • 巨大なICE製造の過剰生産能力
  • インフラに対する問いへの未回答
  • 全面的な構造の変化
  • これまでになく高まるリスク
  • モザイクにより、スマートな投資方法がわかる

モノリス(一様で巨大な一枚岩)からモザイク(多様な断片の集合体)へ

自動車業界は、1つの独占的な燃料・パワートレインの組合せとして築かれたモノリスの代わりに、今後10年から20年の間に、複数の燃料・パワートレインの組合せが共存し、モザイク状のマーケットとなっていくでしょう。

ICEのひび割れ:業界モデルの破壊

バッテリー式電気自動車(BEV)を軌道に乗せる突破口を開いたのはスタートアップ企業のTesla社でした。同社は最小限の機能で構成される低燃費車を作り、環境への意識が高い消費者にアピールしました。さらにユニークなカスタマーエクスペリエンスを提供し、伝統的な販売マーケティングモデルに強烈な影響を与えました。

投資の集中

グローバルな自動車メーカートップによるEVへの投資は2,000億ドル以上と試算されますが、これは月に人間を着陸させた米国のアポロ宇宙計画を超える額となっています。

Japanese alt text: 図1

参照元:OEMは、投資額はOEM企業間で直接比較できないと発表しています。例えば、公表されている投資額がR&Dのみを反映している場合もあれば、新しいEV製造工場に対する資本投入を含んでいる場合もあります。

リスクの高いビジネス

EVのマスマーケットがいつ実現するかについては、いまだに大きく意見が分かれています。自動車メーカーは、EVマーケットのシェア獲得を競いつつ、従来の自動車マーケットのシェア競争も行っていかなければならないでしょう。

図:EV導入に関する同意はない。

Japanese alt text: 図2

参照元:JPMorgan; UBS; RBC Capital Markets; Morgan Stanley, LMC; Bloomberg
注:統一性のため、2030年の台数は、アナリストによるBEVのシェア予測とLMC社の2030年予測台数に基づく。

BEVパワートレイン以外にも賭ける

既存のメーカー、スタートアップ企業は、顧客のニーズ・経済・インフラの革新・規制・投資のタイミングも含めた、さまざまな可能性を考慮する必要があります。

賢く投資する:モザイクを利用して可能性を評価する

モザイクフレームワークを使い、バッテリーのコスト曲線、充電用のインフラの構築といった変数を評価することで、戦略的な決定が行えます。

1.消費者の嗜好と自動車のミッション

自動車購買者を理解することが重要事案となっています。BEVは、パフォーマンスと環境上の懸念事項は内燃機関(ICE)に勝っていますが、コスト・利便性・走行距離・価値認識では劣っており、すべての顧客ニーズを満たしていません。

2.経済性および技術革新

ほとんどの消費者にとって、まだBEVは高い買い物です。走行コストがICEより低くなったとしても、店頭表示価格が潜在的なマーケットの妨げとなっています。

3.エコシステムの要件(インフラ)

EVが広く普及するには、再充電・燃料補給のためのインフラ整備のタイミング(時期)が鍵となるでしょう。

4.未知の要因:規制当局は何をするか

規制当局は、主要な炭素排出源としてICEを標的にしており、徹底的なICEの禁止へと施策を移行しています。バイデン政権は、EV販売に対する支援を含む2兆ドル超規模のインフラ法案を明らかにしましたが、米国はEV支援や環境施策に関して、政権交替に伴い、前進と後退を繰り返しており、次の選挙で後戻りする可能性もあります。

不確実な将来に向けた戦略

多様な可能性とリスクを併せ持つモザイク状の様相を呈する自動車業界は、戦略的な選択が増大しています。企業は、どのモデルを製造し、どのように設計し、どこで製造するか、製造を完全に外注するか否かについて再考する必要があります。

いつ投資するか:タイミングがすべて

戦略を成功させるには、タイミングが重要です。既存メーカーは自社のコアビジネスを持続させる必要があります。各企業は、いつ新しい技術にコミットし、どのようにICEキャパシティを調整していくのかを判断する必要があります。

新しい戦略的立場

企業はあらゆる戦略的立場を選択可能であり、どの選択肢に手が届くかを現実的に判断する必要があります。

  • 複数の選択肢を持つ
  • より厳しくなるマーケット
  • コストとリスクをシェアするための提携
  • 集中するための規模縮小
  • サプライヤー戦略

不確実性のなかで戦略的な決断をする方法

企業が大きな決断をするには、少数の妥当なシナリオを特定するために、モザイク状の構造的なアプローチを用いる必要があります。複数の代替シナリオを準備し、確率を用いたシミュレーションや分析ツールを使うことによって、最も可能性の高いシナリオが選択できるでしょう。

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