スマートシティファイナンス ~住みやすい街づくりのためのお金の話

スマートシティに関係するさまざまな取組みが実証段階で終わり、実装に結びつかないという事例の主な理由の1つは持続的に資金を確保できないことです。本冊子では、スマートシティプロジェクトを実装し、維持継続するための基本的な考え方、取るべき施策と、ファイナンスの手法について解説します。

本冊子では、スマートシティプロジェクトを実装し、維持継続するための基本的な考え方、取るべき施策と、ファイナンスの手法について解説します。

ハイライト

  1. 問題の所在
  2. スマートシティの類型化と参加者の整理
  3. 基本的な考え方
  4. 持続可能なスマートシティの適用モデル
  5. 提言

1.問題の所在

都市インフラ更新の必要性

わが国の都市インフラは疲弊し、大規模な修繕、再投資と近代化が課題となっています。都市インフラの老朽化は、市民と企業の生活を危険にさらすだけでなく、私たちのQOL(Quality of Life)と国際的な経済競争力にも影響を及ぼします。一方、多くの自治体にとって、資金調達やマネタイズが、スマートシティプロジェクトにおける最も重要な課題となっています。

スマートシティをブームで終わらせないために

近年、日本各地でスマートシティの実証実験や構想・計画が発表・推進され、2010年前後以来の第2次スマートシティブームの様相を呈しています。都市の持続的な機能向上のためには、どの課題のためにどのように資金を配分し、それを誰が負担するかということを、行政、民間、市民などすべての参加者が真剣に考える必要があるでしょう。

なぜスマートシティプロジェクトは持続しないのか

現在、多くの大企業やスタートアップがいわゆるスマートシティビジネスへの参入を試みていますが、ビジネス的に大きな成功を収めた事例はほとんど聞かれません。「持続可能=“儲かる”ビジネスモデル」を確立するにはどうすればよいのかという、根本的な問題に改めて向き合う局面にきています。

2.スマートシティの類型化と参加者の整理

都市に関与する参加者と資金負担方法の整理

スマートシティプロジェクト推進に十分な資金を確保するためには、都市のスマート化による利便性向上から得られるベネフィットと、コスト負担の透明化が重要です。

スマートシティの類型化

スマートシティはその地域や計画によって、立地条件(「Green Field(新規開発)」か「Brown Field(既存地域)」か)、規模、課題などはさまざまです。本冊子では、スマートシティをその導入目的から「課題解決型」、「機能向上型」、「需要創出型」に分類します。

わが国における「需要創出型」のスマートシティプロジェクト

日本で進行しているGreen Fieldにおける「需要創出型」のスマートシティプロジェクトの代表例として、グランフロント大阪プロジェクト、柏の葉プロジェクトを紹介します。

3.基本的な考え方

スマートシティを構築して維持継続するために、持続可能なファイナンシャルモデルにおける要点を7つ紹介します。

(1) 中長期的な視点でのベネフィットの最大化とコストの最小化

(2) 産業横断効果によるコスト削減の可能性

(3) 新たな収入源の検討:幅広い参加者のベネフィットを明らかに

(4) 最新の金融テクノロジーの活用

(5) 今後の課題:データの利活用のさらなる可能性

(6) 民間からの資金提供を促す税制の措置

(7) 参加者間の合意・信頼関係が重要

4.持続可能なスマートシティの適用モデル

さまざまな課題を抱える典型的な日本の地方都市を想定し、前述のようなファイナンシャルモデルの“考え方”を導入することによって、都市課題の解決を継続可能な形で進める適用モデルを検討します。

5.提言

スマートシティを構築するためには、これまで以上に幅広い資金調達方法を取り入れることが必要です。さらに、スマートシティを持続させていくためには、提供するサービスの需要と供給、収入と支出を考慮し、多様な資金源(既存の行政コスト効率化・低減、サービス収入)を検討することが有効で、これにより中長期的な経済合理性を確保することが必須です。

執筆者

KPMGモビリティ研究所

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