監査委員会の実効性向上のために

KPMGが発行した『Audit Committee Guide 2021 Edition』から、「監査委員会の実効性」に関するセクションを抜粋して翻訳し、コーポレートガバナンスにおける監査機能の継続的な改善を志す日本企業の参考となるよう、日本の実務に関する参考情報も加えてご紹介します。

KPMGが発行した『Audit Committee Guide 2021 Edition』から、「監査委員会の実効性」に関するセクションを抜粋して翻訳しました。

はじめに

2021年は、2022年4月からの東京証券取引所における市場区分改革とともに、さらなるガバナンス改善への取組みが進められており、監査に関しても信頼性確保を目的とした改訂が行われています。
監査役等は取締役の職務の執行を監督するにあたり、独立し客観的な立場での判断を必要とされ、一方で中長期リスクへの配慮も求められています。監査役等が実効性を維持しつつ、効率的・効果的な責務を遂行するには、責務の明確化と、適切な計画策定をしたうえで、その遂行状況を評価・改善につなげることが重要です。
本冊子で紹介するインサイトやサンプルは、米国企業が遵守すべき法律や上場基準に基づき作成されており、日本企業が適用する場合、日本の法律やルールに基づくカスタマイズが必要ですが、米国で推奨される実務のレベルや問題意識を理解することは日本における実務においても有用であると考えます。

監査委員会の実効性向上のために

監査委員会は、中核業務が多岐にわたり、加えて複雑で困難なリスクに対する監督責任をも担っています。業務の優先順位付けが監査委員会の課題となっており、課題解決には監査委員会のアジェンダと監督プロセスの改善、およびスキルと人員構成の再評価が重要となっています。
課題解決のポイントとして、次の5点が挙げられています。

  • 影響が大きい課題に絞り、それにフォーカスする
  • データのみならず、ビジネス部門や管理部門のリーダー、内部監査人、外部監査人からも情報を得る
  • 効率を改善し、会議を最大限に活用できる方策を検討する
  • 正式な委員会の会議だけですべてに対応できないことを理解し、次の会議までの期間を有効に使う
  • 監査委員会が有すべき文化とダイナミクスを強化する

監査委員会のメカニズムと実務的な検討事項

・アジェンダの設定
監査委員会の集中力、効率性維持を目的とした、委員会の責務に関するチェックリスト、年間カレンダー、各会議で議論するアジェンダ試案を、次年度に向けて準備しておきましょう。

・ミーティングを最大限に活用する
会議の効率性と実効性は、委員による準備とエンゲージメント、および委員や他の参加者が創出するダイナミクスに依存します。監査委員会の膨大なアジェンダに対するプレッシャー軽減のために、一部の監査委員がインフォーマルに経営者や監査人と連絡を取り合い、特定の課題や進展状況について、理解を深めておくとよいでしょう。

エグゼクティブセッション

エグゼクティブセッションは、監査人や経営者、また監査委員に、十分かつプライベートに意見共有を行う重要な機会を提供します。

・主要なマネジメント等と触れる機会を得る
監査委員会の会議は、CFOのチームや、情報やテクノロジーおよびセキュリティの責任者などが実際に稼働している状況を確認できる貴重な機会です。しかし、「監査委員会の会議を不要に拡大することなく、監査委員会に多くの個人と対話する機会を提供すること」や「会議への出席に明確な目的を持たせること」という課題があるため、監査委員長はCFOや内部監査責任者などと協力し、意味のあるスケジュールと頻度を考慮した上で会議の計画を策定する必要があります。

・取締役会への報告
取締役会全体への報告は、監査委員会の活動を取締役会が評価するための方法であり、監査委員会の活動と取締役会の他の委員会との調整を確実にする重要な役割を果たしています。

・議事録と文書化
議事録は、委員会による監督責任の遂行プロセスを文書化するために不可欠です。監査委員会は、議事録の内容と詳細さのレベルについて、弁護士に助言を求めておくとよいでしょう。

各種サンプル

本冊子では、Audit Committee Guide 2021 Editionに掲載されたサンプルうち、米国における監査委員会の実効性評価の前提となる委員会規則、ミーティングプランナー、そして実効性評価フォームを、参考として掲載しています。

  • サンプルA 監査委員会規則
  • サンプルB 監査委員会ミーティングプランナー
  • サンプルC 監査委員会評価フォーム

これらのサンプルは、米国企業が遵守すべき法律や上場基準に基づいて作成されており、日本企業が適用する場合は、日本の法律やルールに基づくカスタマイズが必要になります。しかし、米国において推奨される実務のレベルや問題意識を理解することは、日本企業が監査機能の継続的な改善を目指すにあたって有用であると考え、ご紹介しています。

英語コンテンツ(原文)

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