タイ:退職給付会計における数理計算上の差異の会計処理の変更

タイ会計士協会(TFAC)が「Q&A TFRS for NPAEs」を公表しました。TFRS for NPAEsに基づいてタイの法定監査財務諸表を作成し、TAS19(従業員給付)を任意適用している場合、数理計算上の差異の会計処理を変更する必要があります。

退職給付会計における数理計算上の差異の会計処理の変更について解説いたします。

退職給付会計における数理計算上の差異の会計処理の変更について

IFRS及び日本基準(連結財務諸表のみ)の下では、退職給付債務の計算は原則として数理計算に基づく必要があります。これにより、期末に、数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により数理計算上の差異が発生します。この数理計算上の差異は、その他包括利益を通じて純資産の部に計上されます。

TFRS for NPAEsに基づいてタイの財務諸表を作成する場合で、TAS19を任意適用している場合、上記と同様に数理計算を行うため、数理計算上の差異が発生します。しかし、TFRS for NPAEsに基づく財務諸表の純資産の部にはその他包括利益の区分が存在しないため、発生した数理計算上の差異は当期純利益に含めて処理されていました。

しかし、Q&A TFRS for NPAEsに基づき、今後提出する上記の場合の財務諸表は、発生した数理計算上の差異を当期純利益に含めることなく、株主資本等変動計算書を通じて純資産(利益剰余金)に計上することとなりました。この変更は、今後監査報告書を提出する全ての会社に適用されますので、財務諸表の表示等については監査人と速やかに協議を行ってください。なお、TAS19を任意適用せずに、退職給付債務を数理計算に基づいて計算している場合は、引き続き、発生した数理計算上の差異は当期純利益に含めて処理することとなります。

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