米国における金融包摂の課題と対応状況
コロナ禍は、米国でも金融取引のデジタル化を強く後押しました。デジタル化は、金融業の新たな成長の機会を生んでいます。他方、高齢者・障がい者・通信基盤がぜい弱な地域の住民等に金融包摂上の問題の悪化もみられます。本稿は、バイデン新政権が誕生し、消費者保護が改めて強調される米国の状況について、解説します。
(1)コロナ禍、(2)金融のデジタルトランスフォーメーション、(3)金融包摂、(4)バイデン新政権の消費者保護重視。これらのキーワードの相互作用について、米国の状況を解説します。
(原題の訳:金融包摂に向けたイノベーション:デジタルバンキング時代に求められる金融アクセス確保)
【要旨】
新型コロナは金融業に重大な混乱を与えました。
特に、以前から、高齢者や障がい者等、特定の人々にとって存在していた「金融サービスへのアクセスの難しさ」は、新型コロナ禍の拡大によって、さらに悪化してしまいました。
他方で、新型コロナに伴う混乱の中、外出禁止命令や密回避の要請は、「革新的バンキングソリューション」が、市場のシェアを高め、業界のリーダーになるチャンスをもたらしています。
各金融機関は、新型コロナがもたらした劇的な変化のプラス面を活かし、それぞれの戦略全体の中で、金融包摂拡大についても、いま一度、立ち止まって熟考すべき時期に来ています。
その戦略づくりは、
- 立法者が何を優先しているか、
- 利害関係者が金融業界にどのような期待を持っているか、そして
- それらに対応することにどのような経済的なメリットがあるか、
といった問に答える作業でもあると思われます。
このように一旦立ち止まって熟考することは、ESGの取組みに対する社会的な要請に応えることでもあるのです。
本レポートの全文は添付のPDFをご覧ください。
なお、本稿は、KPMG米国の同意を得て「Inclusive innovation:Expanding access in the age of digital banking」を全訳したものである。翻訳にあたっては、Andrew Barger、小関秀和、福島玲奈、川上千裕が貢献した。
執筆者
有限責任 あずさ監査法人
ディレクター 水口 毅
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