オペレーショナルレジリエンス - リスク管理における共通課題

オペレーショナルレジリエンス - リスク管理における共通課題

新型コロナウイルス感染症、社会的不安、深刻な市場の混乱といった最近の事象により、金融サービス業界は、複数のテールイベントが重なって発生する可能性と、それらがもたらすオペレーショナルレジリエンスへの影響を理解し、計画を立てる必要があります。本稿では、同業界のリスク管理におけるオペレーショナルレジリエンスの共通課題について解説しています。

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最近の事象により、金融サービス業界における伝統的な事業継続計画が、危機管理に対して相当な弱点を持っていることが明らかとなりました。特に新型コロナウイルス感染症の拡大によって、新型コロナウイルス感染症流行以前のテールシナリオを評価するための方針、基準、および方法論は、長期化したテールイベントによって高まったリスク水準を有効に低下させる修復活動の推進に役立たないことが分かりました。また、一般的なオペレーショナルリスク機能は、オペレーション危機からの回復といった一定成果を達成するためというよりも、非常に限定された市場の標準フレームワークを実行するために設計されてきたことが表面化しました。
今後、企業は、組織全体にわたるサービスベースのオペレーショナルレジリエンスのフレームワークを検討していかなければならないでしょう。

ポイント

  • いくつものテールイベントが重なり合うシナリオと、これらのシナリオの深刻さが相関作用により次第に増大することについて熟考していた企業は、ほとんどなかった。
  • 多くの組織がこれまでにパンデミックのシナリオ分析を実施したが、その大半が短期間における局地的影響の検討に留まった。
  • KPMGが定義した、企業が最近の事象への対応において検討すべき4段階は、「対応」、「レジリエンス」、「回復」、「リポジショニング」である。

リスク管理におけるオペレーショナルレジリエンスの共通課題:10項目の横断的テーマ

KPMGは2020年3月から6月にかけて、大規模および中規模のグローバルまたは米国を拠点とする金融サービス機関10社を対象に調査を実施しました。そして、以下の通り、金融サービス業界全体におけるオペレーショナルレジリエンスの共通課題10項目を特定しました。

  1. レジリエンスへの説明責任
  2. サービス管理と実行
  3. 影響許容度(impact tolerance)の把握
  4. レジリエンス評価の範囲
  5. 報告、投資、サービスの向上
  6. ツールとデータ要件
  7. 外部委託先の課題
  8. 規制当局の関心の増大
  9. 職場への復帰
  10. テストとシナリオ分析

より先進的な企業が実施している対策

10項目の横断的なテーマのうち、同業企業と比較してより先進的な企業が特に実施している対策は、以下の4項目となっています。

  1. レジリエンスへの説明責任
    ビジネスライン全体でサービスの担当者を決め、取締役会に透明性を提供するガバナンスプロトコルにレジリエンスの要素を組み込み、経営責任を明確化しています。
  2. 影響許容度の把握
    サービス水準の境界値が定められ、時間経過とともに修正されており、これによりサービスの属性、日時、および証拠の統合的リポジトリが可能となり、関係者の信頼およびガバナンスの向上につながっています。
  3. レジリエンス評価の範囲
    継続的統制の監視と確固たるリアルタイムのレジリエンス報告能力を、サービスと資産の両レベルで確立しています。
  4. 報告、投資、サービスの向上
    取締役会および経営陣は、事業のレジリエンス、最低サービス水準、およびレジリエンスの程度に関して、現場レベルで把握したことを明確に理解するための計数や知見に関する報告を受けています。

KPMGの見解

企業として課題を受け止め対応を始めるべきこと

  • KPMGは、報告サイクル全体で大幅かつ長期的な見直しよりも、影響許容度が大きいサービスに焦点を当てた漸進的なアプローチを推奨します。
  • オペレーショナルレジリエンスは、経営に関するすべての意思決定と事業活動全体で、重要な基準として組み込まれるべきです。エンド・トゥ・エンドでの一貫したサービスのレジリエンスの真の姿を把握するには、従来の機能および組織の縦割り構造を見直すことが必要です。

最近の事象から学んだ教訓

  • 長期間のリモートワーク環境に積極的に順応するために、監督によってモニタリングすべき範囲に関するガイダンスを改良します。情報障壁、取引許可、およびリスクテイクに関するリスク管理には、特に重点を置くべきです。
  • 新しいオペレーティング環境に特有でありながら、対処しなければ影響が甚大となる問題に初期段階で対応できる迅速なガバナンスを確立します。
  • オフィスの外で行われる取引に関する統制の有効性を監視するための一時的な処置を導入し、緊急事態管理と監視により迅速なガバナンスを確立します。

上記の見解は一部抜粋です。完全版については本稿をご覧ください。
 

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