法務業務効率化に向けたテクノロジーの取組み

デジタル化への動きが加速するなかで、急ぎ検討が必要であるとされる「リーガルテック」と「レグテック」について解説します。

デジタル化への動きが加速するなかで、急ぎ検討が必要であるとされる「リーガルテック」と「レグテック」について解説します。

「新常態時代の企業法務」第4回。今回は、法務業務の効率化・高度化を目的とした「リーガルテック」と「レグテック」について解説します。
本連載は、日経産業新聞(2020年9月~10月)に連載された記事の転載となります。以下の文章は原則連載時のままとし、場合によって若干の補足を加えて掲載しています。

企業法務・コンプライアンス(法令順守)を取り巻く環境の大きな変化のなかで、テレワークと並ぶのがデジタル化の動きだ。IT(情報技術)を活用して法務を効率化する「リーガルテック」、規制に効果的に対応する「レグテック」の取組みが大きく広がっている。

リーガルテックが指す範囲は一様ではないものの、法務業務の効率化・高度化を意図したテクノロジーの活用を総称することが多い。人工知能(AI)による契約の確認や草稿作成、電子署名・電子サインが代表例である。
そのほか、この領域での投資が活発な欧米を見ると、契約審査・管理に関係するワークフローシステムや訴訟・紛争案件などの管理データベースシステムなど、法務業務について一通りカバーする形でリーガルテックの取組みが出揃っている。日本でも欧米と同様の環境が整備されつつある。

レグテックはさらに範囲が明瞭ではない。大きく分けて、マネーロンダリング(資金洗浄)規制などの金融系法規制に対応するテクノロジーの活用を中心に指す場合と、業界に関係なく法規制に対応するテクノロジーの活用を幅広く指す場合がある。なお、前者の場合、フィンテックと併称される、あるいはフィンテックの領域に内包されることも多い。
使用者・文脈によって定義が異なるレグテックだが、語弊を恐れずに言えば、法規制順守のためのテクノロジーの活用、すなわち「コンプライアンス(法令順守)テック」と整理することもできる。
レグテックはリーガルテックに比べると日本での認知・浸透が特に遅れているが、各種コンプライアンス業務でテクノロジー活用が進んでおり、実際に多くの企業が導入している。たとえば、顧客や委託先などビジネスパートナーのデューデリジェンス(価値・リスク評価)について、AIを使って膨大な情報を整理し、重要な情報を人間が理解しやすい形に変換してまとめることで業務効率を改善させるツールが普及し始めている。
ただ、日本企業では、こうしたテクノロジーの重要性は理解していても、試験的な使用を繰り返すのみで、なかなか本格導入に至らない例も多い。しかし、特にレグテックについては、着実に活用を進めている海外企業と比べると、コスト競争力・事業スピードで差が大きくつく要因ともなりつつあり、検討が急務であると考える。

レグテックのカバー範囲
デューデリジェンス(価値・リスク評価) リスク情報を収集・整理し、当該取引の適否を判断
リポート作成 リスク情報をとりまとめた適時性・網羅性ある報告書を作成
リスク分析 ビッグデータの活用などによる不正リスクの評価
法改正などへの対応 法規制と社内規程を紐付け、規程変更プロセスを自動化

執筆者

KPMGコンサルティング
ディレクター 水戸 貴之

日経産業新聞 2020年9月18日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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