メキシコ:COVID-19下で一時避難を行う日本人駐在員給与の個人所得税の取扱い

COVID-19の感染拡大の影響を受けメキシコから日本へ一時帰国されている日本人駐在員の個人所得税の留意事項を解説します。

COVID-19の感染拡大の影響を受けメキシコから日本へ一時帰国されている日本人駐在員の個人所得税の留意事項を解説します。

前回の個人所得税関連のニューズレターをベースとして、今回は、現在COVID-19の感染拡大の影響を受けメキシコから日本へ一時帰国されている日本人駐在員の個人所得税の観点からの留意事項を解説させていただきます。一時避難という形でメキシコを離れ日本に戻られている駐在員の方々については、現在のところ、引き続きメキシコ駐在のステータスのままリモートでメキシコ勤務を継続、給与は引き続き日本給与とメキシコ給与をそれぞれ継続して受け取り、ほとんどのケースでは日本給与を支払う日本親会社からメキシコ子会社へ会社間請求を行って精算されているものと思われます。(前回のニューズレターのミラーペイロールの論点)

メキシコにおいてCOVID-19の影響が重大なものとなったのは4月以降であり、メキシコ駐在員の一時帰国はおそらく早いケースでも4月後半くらいから始まったと思いますので、日本親会社の視点で見た場合、世界中に送り込んでいる駐在員の本国への一時退避としては後発組に位置されるものと思います。また現在のメキシコでのCOVID-19の感染状況に改善が見られないこともあり、一時帰国を受け入れている本国親会社側としてもメキシコへ再度送り出すタイミングを見通すことは非常に難しく、当該一時避難の状況が年内いっぱい、あるいは翌年にまたいで継続する事態もありえなくはないと考えられます。

このような異常な状況下において、一時避難をしている日本人駐在員についてはすでに細かい点も含めてさまざまな論点がでてきております。例えば、日本でリモート勤務をしている間にメキシコでの就労VISAの期限が来てしまいVISA更新を行うことができない場合、その駐在員の駐在ステータスをリモート勤務の状態のまま今後も継続させるかどうかという日本およびメキシコにおける人事面・Operation面での検討、あるいは、いつメキシコに戻れるのかわからない状態でメキシコペソで給料の一部をもらい続けることの意味がなくなっていることから日本給与とメキシコ給与の配分を大幅に変えて日本給与ポーションを増やしたい(あるいは全額日本円にしたい)という駐在員側の要望、リモート下でも従来通り駐在員の給与や住居保持等各種コストを負担し続けるメキシコ子会社側の財務面での問題など、この状態が継続することで、駐在員の一時避難を導入している企業グループにおいてこのような悩み、懸念点は今後ますます増えてくるものと思われます。

今回のニューズレターではその中の重要な論点として、リモート駐在(所在は日本、所属はメキシコ)が継続する状況でその駐在員が受け取る給与に対して、メキシコと日本それぞれの国においてどのような形で個人所得税が発生することになるのか、従来とどのように取扱いが異なってくるのか、についてを皆様に共有させていただければと思います。

目次

  1. OECDによる見解
  2. 駐在員の日本、メキシコでの居住者ポジション(通常のケース)
  3. 駐在員の日本、メキシコでの居住者ポジション(今回のリモートワークの場合)


本ニューズレターは以下よりPDFにてダウンロードいただけます。

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