金融庁は、2020年12月18日、「コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保 (『スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議』意見書(5))」を公表しました。本意見書は、次回(来春)のコーポレートガバナンス・コードの改訂を見据えて、コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保について提言を行ったものです。
取締役会はコロナ後の事業環境の不連続性を踏まえた上で、経営者の迅速・果断なリスクテイクを支え重要な意思決定を行うとともに、実効性の高い監督を行うことが求められます。こうした観点から、取締役のスキル(知識・経験・能力)と就任年数に関する適切な組み合わせの確保と、スキルの構成の考え方の開示とともに投資家との対話を通じた共有が求められるとしています。
こうしたことから、東京証券取引所における新市場区分であるプライム市場(仮称)の上場企業に対し、独立社外取締役の3分の1以上の選任を求めるべきであるとしています。さらに、それぞれの経営環境や事業特性等を勘案して必要と考える企業には、独立社外取締役の過半数の選任を検討するよう促すべきであるとしています。
また、上場企業は、取締役の選任に当たり、事業戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル等を特定し、その上で、いわゆる「スキル・マトリックス」をはじめ経営環境や事業特性等に応じた適切な形で社内外の取締役の有するスキル等の組み合わせを公表するべきであるとしています。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含むよう求めるべきであるとしています。
加えて、コロナ後の企業の変革を主導するとの観点から、独立性の高い指名・報酬委員会の設置と機能向上、独立社外取締役の機能向上、取締役会の評価の充実等の論点について、今後検討を更に深めていくとしています。
2022年4月には東京証券取引所において新市場区分への移行が行われ、プライム市場(仮称)上場企業には一段高い水準のガバナンスが求められることになります。こうした制度変更を機会と捉え、早期に実効的なコーポレートガバナンスを構築することが期待されるとしています。
来春のコーポレートガバナンス・コードの改訂に向けては、以下のコロナ後の企業の変革に向けた諸課題につき、引き続き重点的に検討を進めていくとしています。
有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
シニア 渡部 瑞穂
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