国際会計基準審議会、討議資料「共通支配下の企業結合」を公表

ポイント解説速報ー2020年11月30日、国際会計基準審議会(審議会)は討議資料「共通支配下の企業結合」を公表しました。本討議資料のコメント期限は2021年9月1日です。

ポイント解説速報ー2020年11月30日、国際会計基準審議会(審議会)は討議資料「共通支配下の企業結合」を公表しました。本討議資料のコメント期限は2021年9月1日です。

ハイライト

ポイント

IASB審議会は2011年のアジェンダ・コンサルテーション以降、「共通支配下の企業結合」に関するリサーチプロジェクトにおいて審議を行ってきました。プロジェクトの目的は、IFRS第3号「企業結合」の適用対象外とされた共通支配下の企業又は事業の結合について、会計実務の多様性を低減し、比較可能性と報告の透明性を改善することにあります。

本討議資料には、以下のIASB審議会の予備的見解等が含まれています。

  1. 共通支配下の事業の移転を伴う取引における、移転先企業の財務報告を対象範囲とし、移転先企業の非支配株主等、共通支配下の企業結合に係る情報を要求できる立場になく、財務諸表に依存せざるをえない支配当事者以外の利害関係者の情報ニーズに焦点を当てる
  2. 共通支配下の企業結合のうち、移転先企業の非支配株主に影響を与える場合は原則として取得法を適用し、それ以外の取引には簿価法を適用する
  3. 取得法を適用する場合、原則としてIFRS第3号の規定通りに適用するが、支払対価の公正価値が、識別可能な取得資産及び負債の公正価値より低い場合には、資本の拠出として、資本の変動を認識する(純損益では認識しない)
  4. 移転先企業が簿価法を適用する場合、以下を提案している
    ・受領した資産及び負債の測定に用いる簿価は、被移転企業の簿価である(支配当事者の連結上の簿価は用いない)
    ・支払対価と受領した資産及び負債の簿価との差額を、資本で認識する(のれんを認識しない)
    ・結合日から被移転企業の資産、負債、収益及び費用を移転先企業の財務諸表に含める(結合前の最も早い時期に遡及的に含めることはしない)
  5. 開示要求について、IFRS第3号の開示要求(討議資料(DP/2020/1)「企業結合-開示、のれん及び減損」による改善を含む)と関連づけ、取得法及び簿価法それぞれについて提案している

IASB審議会は、予備的見解が導入された場合、実務の多様性を低減し、比較可能性と報告の透明性が改善されると考えています。

PDFの内容

I.背景

II.本討議資料の概要

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執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
マネジャー 柳澤 徹

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