IIRCとSASBが合併、企業価値報告を焦点とするバリューレポーティング財団を設立へ

企業報告の未来~財務・非財務の境界を越えて~第3回:国際統合報告評議会(IIRC)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)が合併し、新たな財団を設立すると発表しました。

企業報告の未来~財務・非財務の境界を越えて~第3回:国際統合報告評議会(IIRC)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)が合併し、新たな財団を設立すると発表しました。

2020年11月25日、統合報告フレームワークを策定する国際統合報告評議会(IIRC)と、セクター別のサステナビリティメトリクスを策定するサステナビリティ会計基準審議会(SASB)は、財務資本の提供者を主たるターゲットとした長期的な企業価値向上の報告の進展を目指し、2021年中に合併し、バリューレポーティング財団(VRF)を設立すると発表しました。

統合の目的と背景

両団体は、2020年9月に、GRI、CDSB、CDPと共に共同声明を公表し、グローバルな非財務報告に使用されるメトリクス一式を策定するための協働を表明していました。今回発表された両団体の合併は、この共同宣言で掲げたコンセプトを進展させるものであり、より包括的で一貫性のある、信頼性の高い企業報告の仕組み構築に寄与するとしています。

共同で発表したプレスリリースで両団体は、IIRCの国際統合報告フレームワークとSASB基準は、ともに企業の長期的な価値創造に関する報告に焦点を当てたものであり、財務資本の提供者を主たるターゲットとしていることから、既に密接に連携しており、今回の合併とバリューレポーティング財団の設立は、企業報告のエコシステムをシンプル化する上での自然なステップであると述べています。

統合のメリット

IIRCの国際統合報告フレームワークは、企業が報告する情報がどのように構成され、どのように準備され、どのような広範なトピックがカバーされるかについて、業界にとらわれない、原則に基づいたガイダンスを提供するものである一方、SASB基準は、何を報告すべきかについて、業界特有の要求事項を提供するものであることから、相互に補完性を有しており、企業報告のシンプル化に寄与するとしています。したがって、バリューレポーティング財団は、今後も国際統合報告フレームワークとSASB基準の双方を維持すると共に、統合的思考の提唱も引き続き行っていくと述べています。既に意見募集が行われた国際統合報告フレームワークの改訂も、予定通り2021年1月には公表するとしています。

また、両団体の相互補完性は、それぞれが開発してきたフレームワークや基準にとどまらず、強いネットワークを有するステークホルダーグループ(IIRCは企業、SASBは投資家)、認知度の高い地理的領域(IIRCはグローバル、SASBは米国)といった面においても高いため、グローバルに、報告の作成者、利用者の双方のニーズをサポートし、かつ効率の改善に貢献するだろうとしています。
 

今後の動き

両団体は2021年の中頃を目指して、統合を進めていきますが、最終的には他の団体の統合も視野に入れ、今後、数ヶ月のうちに、CDSBの統合を探索するための議論に入る可能性があることを示唆しています。

マルチステークホルダー・アプローチに基づき、企業の経済的、環境的、社会的影響に焦点を当てたサステナビリティ報告の基準を策定するGRIのエリック・ヘスペンハイド会長は、両団体の統合に際し、「バリューレポ-ティング財団と緊密に協力して、単一の首尾一貫した企業開示システムのビジョンに向けて前進を続けることを楽しみにしています」とコメントするにとどめていますが、SASBとGRIが2020年7月に発表した共同作業計画に基づく取組みは継続し、12月には、両者の基準を同時に適用するためのガイダンスを公表予定だとしています。

また、バリューレポ-ティング財団は、2020年9月30日に、IFRS財団トラスティが、国際的なサステナビリティ報告基準の設定にいかに貢献するかを問う協議文書への支持を表明しており、今後、IFRS財団が国際的なサステナビリティ報告基準の設定を担う組織を設立した場合に、実態的な役割を担う可能性もあると考えられます。

執筆者

KPMGジャパン
コーポレートガバナンスCoE

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