新型コロナが会計処理に与える影響 - ようやく補助金もらったぞ!

IFRSのヒント - 新型コロナ対策として補助金をもらった場合、どう会計処理すればいいかご存知ですか?

新型コロナ対策として補助金をもらった場合、どう会計処理すればいいかご存知ですか?

IFRSのヒント

IFRSの適用現場から、実務のつれづれを語ります。

1.はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大は、ソーシャル・ディスタンスの確保や3密の回避、テレワークや時差出勤といった「新しい生活様式」への変化だけでなく、休業や外出自粛による消費の減少などビジネスにも大きな影響を与えています。

たとえば、新型コロナウイルス感染症に関連してこんな状況は生じていないでしょうか?

  • コロナに関連して、補助金をもらったけど、どのように会計処理すればよいだろうか(補助金の性質と認識)


上記のようなお悩みは、企業の会計及び開示に対して重要な影響を及ぼす可能性があります。この点、KPMGでは、IFRS適用企業の経営者及び経理担当者のみなさまに向けて、新型コロナウイルス感染症に係る論点別の解説記事を随時公表しています。
もしかすると、以下にみなさまのお悩みを解決するヒントがあるかもしれません。

2.補助金に係る会計処理

各国の政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、企業の救済や活性化を目的としたさまざまな対策(補助金、融資、税制優遇、保証など)を実施しています。これらの政府からの援助について、IFRS適用企業は、IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」の定義を満たす場合には、同基準に従って会計処理を検討する必要があります。
政府からもらったお金イコール政府補助金、とは限りません。IAS第20号は、企業の営業活動に関する一定の条件を過去に満たしたこと、または将来において満たすことの見返りとして、企業に資源を移転する形態によるものを「政府補助金」と定義しています。そのため、政府から援助を受けた場合、「XX助成金」等の名称にかかわらず、当該政府援助が「政府補助金」の定義を満たすかを検討する必要があります。なお、税金に係る政府援助(特定の所得に対する減税、追加の税額控除、軽減税率、繰越欠損金の使用延長など)は、IAS第20号ではなく、IAS第12号「法人所得税」に従って会計処理します。
企業は、関連する条件を満たし、補助金の受領について合理的な保証がある場合は、補助金で補填する費用の認識に対応して、当該政府補助金を損益として認識します。この点、既に発生した費用を補填する補助金か、将来発生する費用を補填する補助金か、によって補助金を認識する方法が異なる可能性があるため、当該補助金に関する条件を慎重に検討する必要があります。
また、政府補助金に関する開示は、IAS第20号又は政府補助金の会計処理に適用される会計基準における開示規定に加えて、IAS第1号「財務諸表の表示」に従って、政府援助の用途等について、財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を提供しているかを検討し、場合によっては追加的な開示が必要になる可能性があるため、留意する必要があります。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
シニアマネジャー 島田 謡子
マネジャー 北村 智子

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

IFRS基準のヒント

お問合せ