コロナ禍がもたらす不正リスクの対応法

コロナ禍がもたらす不正リスクの対応法

旬刊経理情報(中央経済社発行)2020年10月1日号にKPMG FAS著、特集「ニューノーマル時代で何が求められるのか~コロナ禍がもたらす不正リスクの対応法」が掲載されました。

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本稿は、「旬刊経理情報 2020年10月1日号」に掲載された特集「ニューノーマル時代で何が求められるのか~コロナ禍がもたらす不正リスクの対応法」(KPMG FAS著)の各章のエッセンスを掲載しております。
発行元である中央経済社の許可を得て、KPMG FASがウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

はじめに

「不正」は古くて新しい課題ではあるが、特に現下のコロナ禍によって、そのリスクが高まっているとの指摘が多く見受けられる。本特集では、不正をめぐるコロナ禍の影響と、起こり得る不正リスクシナリオを5つ挙げたうえで、具体的な対応法を解説。転ばぬ先の杖として、あるいは、不正による損失拡大を早期に食い止めるためにご活用いただきたい。

第1章のエッセンス

  • 新型コロナウイルス感染症の影響で、不正リスクが高まる一方で不正発見力の低下が懸念される。
  • このような状況下では、不正の見逃しによる「想定外」の損失を被るリスクに注意が必要である。
  • 「想定外」の損失拡大を防止するために、COVID-19の影響下でも有効に機能するニューノーマル時代に見合った不正リスク対策を講じていく必要がある。

第2章のエッセンス

  • COVID-19による「景気低迷」、「社会構造の変化」は、「不正発生の3要素」を生じさせるため、不正リスクが高まると考えられる。
  • 「組織的不正」は、個人不正よりも損失額が大きくなる傾向にあるが、どのような組織でも生じ得るリスクだと認識し、積極的な不正リスク管理を行うべきである。

第3章のエッセンス

  • COVID-19の影響によって、会計不正、横領・キックバック、贈賄、カルテル、品質偽装などの不正リスクが高まると想定される。
  • 会計不正・品質偽装は、リーマンショックによる景気低迷が原因で発生した日本企業の事例が複数あるため、今後の不正リスクを把握するうえで参考にすべきである。
  • 贈賄・カルテルは、各国当局が強い摘発姿勢を示しているため注意が必要である。

第4章のエッセンス

  • 不正リスクの高まりに対処していくために、COVID-19の影響下でも有効に機能する不正リスク・コンプライアンス体制を再構築していく必要がある。
  • まず自社グループの現状を把握するために、重大不正リスクの洗出しや、「ひとり仕事」の洗出しを行うことが有用である。
  • 検討すべき強化ポイントはさまざまあるが、特にデータを積極活用したモニタリングや内部監査については有効な不正リスク対策だといえる。

第5章のエッセンス

  • 不正検知は、不正の早期発見により損失を最小限に食い止めるだけでなく、牽制効果による不正防止効果が期待できるため、有効な不正対策である。
  • 不正検知を効率的に実施するには相応のノウハウが必要であるため、多くの日本企業では、さまざまな理由により子会社の財務分析を十分に実施できていない現状があるが、子会社分析ツールを活用することが有効な解決策になると考えられる。

執筆者

株式会社 KPMG FAS フォレンジック部門
マネージングディレクター 林 稔
ディレクター 佐野 智康
マネージャー 津崎 祥子
マネージャー 増本 有希

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