「単一資産企業が保有する資産のセール・アンド・リースバック取引(IFRS第10号及びIFRS第16号に関連)」 - IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース - 「単一資産企業における資産のセール・アンド・リースバック(IFRS第10号及びIFRS第16号に関連)」については、2021年2月のIFRS-IC会議において審議された内容を更新しています。

「単一資産企業における資産のセール・アンド・リースバック(IFRS第10号及びIFRS第16号に関連)」については、2021年2月のIFRS-IC会議において審議された内容を更新し

関連基準

IFRS第10号「連結財務諸表」、IFRS第16号「リース」

概要

セール・アンド・リースバック取引における資産の売却がIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の資産の売却の要件を満たす場合、IFRS第16号では特定の会計処理が定められており、売手/借手は売却による利得/損失について買手に移転された権利に係る部分しか認識できません。

では、以下の取引において、連結財務諸表上IFRS第16号の上記の要求事項が適用され、企業が売却により認識する損益は移転された権利に係る部分に限定されるのでしょうか。

前提条件

  • 企業は子会社持分の100%を所有する。
  • 当該子会社はこの取引が生じるより前に設立された。保有する資産は建物1点のみであり、負債はない。
  • 子会社が保有する建物は、IFRS第3号「企業結合」の事業の定義を満たさない。

取引の内容

  • 企業は、この子会社の株式をすべて第三者に売却する(支配の喪失)。
  • 譲渡した旧子会社が保有する建物を企業は市場賃料でリースバックする。
  • 建物の譲渡は、資産の売却として会計処理するためのIFRS第15号の要求事項を満たす。
  • 子会社株式の売却価格は建物の公正価値(>帳簿価額)と等しい。

ステータス

IFRS-ICの暫定的決定

IFRS-ICは、2020年9月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘しました。

  • IFRS第16号によれば、企業(売手/借手)が資産を他の企業(買手/貸手)に売却して当該資産を買手/貸手からリースバックする場合には、同基準書に定めるセール・アンド・リースバックの規定が適用される。
  • 本件取引においては、企業は、IFRS第10号を適用して、子会社に対する支配の喪失の会計処理を行う。そのうえで、建物の譲渡は、資産の売却として処理するためのIFRS第15号の要求事項を満たすため、IFRS第16号のセール・アンド・リースバックの会計処理を行う。即ち、IFRS第16号のセール・アンド・リースバックの規定にIFRS第15号の資産の売却として処理するための要求事項が適用されるということをもって、セール・アンド・リースバックの規定の対象となる取引がIFRS第15号の対象取引であるということにはならない。本件取引にはIFRS第16号のセール・アンド・リースバックの会計処理が適用される結果、企業は、(a)リースバックで生じる使用権資産を建物の従前の帳簿価額のうち企業が保有する使用権に係る部分で測定し、(b)利得については第三者に移転された権利に係る金額のみを認識し、(c)それらの処理の結果の見合いとして負債を認識する。

再審議の状況

IFRS-ICは、2021年2月のIFRS-IC会議で、暫定決定に対するフィードバックを検討し、この取引及び類似する取引に対応するため、狭い範囲の基準改訂をすることをIASB審議会に推奨しました。IASB審議会は今後本件について審議を行う予定です。

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