新型コロナウイルス感染症を超えて:中国から学ぶ小売業界の回復シナリオ

新型コロナウイルスからの小売市場の回復に向けて、中国の小売業者の経験から何を学ぶことができるかについて解説しています。

新型コロナウイルスからの小売市場の回復に向けて、中国の小売業者の経験から何を学ぶことができるかについて解説しています。

2020年5月11日更新(カテゴリー別の成長インサイト及び新規トラフィックデータに基づく検証)

中国の小売業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により市場好況期に突然客足を奪われるという困難な状況、又、その後の新型コロナとの戦いに対し、オーストラリアの小売市場より2か月程度早く経験しています。中国はCOVID-19の感染拡大を阻止するために課した様々な制限を徐々に緩和し、武漢の都市封鎖の解除を経て4月に正式に回復期へと移行しています。
オーストラリアにとっての希望は、小売業界が中国で行われた様々な創意工夫を学び、活用することで迅速な行動に結びつけ、より進化した回復力のある業界へと変化することが出来る事にあります。公衆衛生や政府による景気刺激策は中国とは異なるものの、オーストラリアの小売業者にとって、中国企業が行った制限下での様々な手法を理解することは大いに役立つでしょう。
同業界は、期待と共に中国の動向を見守っており、オーストラリアの小売業者が回復に向けてのプランニングを開始するのに役立つ重要な考察を以下のように挙げています。

  • 小売業の回復の第一段階は、店舗内及び店舗周辺の安全・安心に対する信頼を再構築することである。
  • 実店舗の再開は、事態収束の直後に開始される。
  • 小売業界は、トップギアで回復期に向かっていく。
  • 地域のショッピング代理業者が強力なチャネルとなってくる。
  • 業界を超えたコラボレーションによって行われるメガセールス・イベントが計画される。
  • 物理的な購買と同様の体験が、オンラインチャネルにおいても提供される。
    私たちは、感染拡大の中でどれほど急速に消費者の好みや期待が大きく変化したかを経験しています。長期的な成長戦略を持つ中国企業はこれらの経験から学び、自らのデジタルトランスフォーメーションを加速し、より機動的な事業モデルの改善を行い、将来の課題に対応するための整備をすでに進めています。

今後に備える

オーストラリアの小売業者は、中国での経験をどのようにして今後の自らの業績回復に活用できるのでしょうか。

  • 顧客と従業員の信頼を得るために、安全に対し慎重であり続けることを示す。
  • 店舗の営業再開の基準を明確にする(事態の収束がみられる場合、制限が解除された場合、客足が特定のレベルに達した場合など)。また、開店時間や時間帯による従業員配置の変更などの対応を検討する。
  • 地域のコミュニティや企業と協調し、共同で開店、業務を行う機会を模索する。
  • 商品構成や価格設定を見直し、商品仕入のサイクルを見直す。
  • 地域のコミュニティや企業を支援するC2Bチャネルを速やかに構築し、成長を促す。
  • 在庫削減に向けた検討を行い、在庫一掃セールイベントなど対応を速やかに行う、または準備をする。
  • 物理的な購買体験の提供における成功をデジタルでの購買体験に変換する方法について創造的な検討を行う。

本稿は、発行時点における状況の見通しや実績に対し意見を述べております。中国の現地通貨で報告されているすべての財務データは、為替の影響を除外し、現地通貨での比較を可能にするために、2020年1月3日時点での為替相場に基づき換算しています。

英語コンテンツ(原文)

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