自動車利用に関するニューリアリティ - 利用回数、走行距離および自動車保有台数はいずれも減少傾向にあるのか

自動車利用に関するニューリアリティ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、米国では在宅勤務やオンライン・ショッピングが一般化し、自動車の運転機会が減少しています。本稿では自動車利用回数と走行距離の減少、そして自動車保有台数の減少に着目し、自動車業界の新たな課題について考察します。

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過去60年間絶え間なく増加を続けていた米国における自動車での走行マイル数「VMT(vehicle miles traveled)」。しかしCOVID-19の世界的流行は米国人の生活に急激な変化をもたらし、感染拡大抑制のための接触禁止措置や何百万人もの労働者の在宅勤務の開始、店舗の閉鎖によるオンライン・ショッピングの利用増加でその走行マイル数は大幅に減少しました。ロックダウンが最も拡大した2020年4月の1日当たりのVMTは通常時を64%下回り、過去最大の減少を記録しました。COVID-19によって、最も大きくVMTに影響を受けた2つの要因は、通勤と買い物における人々の変化です。私たちを今取り巻く状況に、「自動車利用のニューリアリティはどのようなものになるのか」、「走行マイル数の減少につながった消費者行動の変化は今後も存続するのか」について、問われています。本報告書では、自動車の利用におけるこれらの変化について、自動車業界に与える影響を考察しています。

ポイント

  • COVID-19の流行により、2020年4月、米国の総VMTは大幅に減少。その最も重要な要因は、通勤および買い物のための移動の急激な減少であり、米国人が毎年記録する3兆マイルの走行距離の約40%を占める。
  • 在宅勤務が継続されることにより、通勤による移動距離は年間700~1,400億マイル減少し、買い物のための移動は、年間400~1,300億マイル減少すると考えられる。
  • VMTの減少によって自動車を保有する必要性は低下し、1世帯当たりの自動車保有台数は、1.97台であったところ1.87台にまで減少する可能性がある。
  • 必要な自動車台数の減少による影響は自動車業界にとどまらず、自動車販売の減少、部品交換およびアフターマーケットでの売上の減少、各州では燃料税による税収減少などが考えられる。
  • 一方、Eコマースの利用増加により、配達車両の需要増加が見込まれる。そこで多くの自動車メーカーは配達車両の革新的な設計、新しいパワートレインシステム、自動運転機能などの開発に取り組んでいる。
  • 感染防止のため、通勤における公共交通機関から自家用車への移行や、郊外への移住の増加、自動運転によるモビリティサービスの採用拡大によってVMTが増加する可能性もあり、ニューリアリティを勝ち抜くためには、その影響を幅広く分析することが必要になる。

通勤のための移動:在宅勤務の増加と通勤者の減少

COVID-19の感染拡大を防止するため各州がロックダウンを行うなか、企業は営業停止を余儀なくされました。在宅勤務が可能であり、雇用が継続されていた労働者は迅速な切替えを行い、ビデオ会議のプラットフォームを利用して同僚や顧客と連携するようになりました。そのため、2020年4月には、米国全体で通勤VMTが300億マイルも減少していたと考えられます。

これらの分析および調査により、KPMGは、米国人労働者の10~20%はリモート勤務を継続する可能性があると見積もっています。その結果、通勤のための自動車による移動は、現在の年間VMTの2~5%または年間700~1,400億マイルに相当する減少を記録することとなります。

買い物のための移動:あらゆる買い物をオンラインで

ステイホーム中の消費者は、食料品を含む買い物のニーズにおいて、Eコマースへの依存を大幅に高めました。成人消費者を対象とした調査では、回答者の60%が、COVID-19以降オンラインでの購入の方が店舗での買い物より多くなったと回答し、その回答者の3分の2が、現在オンラインで購入している商品についてはCOVID-19収束後もオンライン購入を継続する意向です。COVID-19によってEコマースの利用が加速されたことは明らかで、2025年には米国リテール業界の売上にEコマースが占める割合は25%へと急増すると予測しています(2018年のリテール業界の売上にEコマースが占める割合は14.4%)。

またオンライン購入された商品の宅配が米国のVMTに及ぼす影響を見積もるため、過去のEコマース普及率と、それが買い物に出掛ける回数の変化にどのように関係しているか、さらに宅配件数の増加によって合計VMTに追加されるべき距離数も検討。その分析では、COVID-19収束後のEコマースの利用拡大により、小包配達のためのVMTが年間50~180億マイル発生すると予測しました。

消費者VMTの増加につながる潜在的要因

KPMGの調査において、通勤および買い物における新たな習慣の定量化可能な影響に基づき、VMTが減少することが示された一方で、VMTを増加させる可能性のある他の変数も存在します。都市部から郊外への移住が進む可能性、通勤において公共交通機関から自家用車に移行するかどうか、サービスとしてのモビリティ(MaaS)利用再開の可能性など、これらの変数の多くは感染防止、コスト、利便性およびスピードの間のトレードオフが伴い、COVID-19の収束後の状況において再検討されることとなるため、容易に定量化することはできません。

長期にわたるVMTの減少による影響

COVID-19の影響は、今後何年も継続すると考えられます。ウイルス対策によって、米国人の自動車利用方法も継続的に変容し、通勤形態およびEコマースの変化は今後も存続すると考えられ、通勤および買い物のための移動が減少することの複合的な影響として、毎年のVMTも減少することが予想されます。それにより、一部の自動車保有者が2台目の自動車を不要と判断することが考えられます。そこでKPMGでは、1世帯当たりの平均自動車保有台数は現在の1.97台から、1.87台にまで減少すると試算しました。

結論として、自動車メーカーや販売会社等の自動車業界に属する企業は、乗用車販売の減少に向けた準備が必要となると考えられ、さらに中古車販売およびアフターマーケットの部品、整備事業にも影響するでしょう。一方で宅配の成長によって商用車の需要が増加する可能性があり、サプライヤーによる配達車両の革新的な設計の採用が加速することが考えられます。こうした自動車の多くは電動パワートレインを採用しているほか、一部は自動操縦が可能で運転者不要のため感染リスクの低減につながります。新興企業はすでにこうした自動車の開発を進めています。

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