消費者の健康意識とともに高まるIoTへの期待

「小売りの明日」第25回 - 消費者の健康への意識が高まる中、IoTがどう貢献できるのか、健康をサポートするソリューションやサービスと併せて解説する。

消費者の健康への意識が高まる中、IoTがどう貢献できるのか、健康をサポートするソリューションやサービスと併せて解説する。

最近、健康への意識が高まっているのは言うまでもない。毎日のように放映される健康関連のテレビ番組、オーガニック・糖質制限食材の普及、フィットネス・調剤薬局の店舗数の拡大など枚挙にいとまがない。それに伴い、健康に関して、あらゆるモノがネットにつながるIoT関連機器も増えている。多くはアプリで自身の歩行数や消費カロリー、心拍数などを管理するものや、高齢者の見守り機能として異常や長期の未アクセスが検知されると家族にアラートが届くものだ。十分利便性の高いものばかりだが、今後は生活全般に関わるような健康サポート機器が求められようとしている。
というのは、生活のあらゆる行動で健康は重要視され、どれか一部分だけを切り出して管理しても課題解決には至らないからだ。住まい、フィットネス、交通、買い物、車、育児・教育、食事、観光、病院、介護、宅配に至るまで、健康が関連し、それらをどうつなげていくかが重要になる。
例えば、今週の食事は健康面でどんなメリットがあり、何が不足しているか、買い物のデータだけを見るのではなく、運動量や各自が抱えている病気の状態なども含めて管理することが望ましい。補給した方がよい栄養に関するレシピがレコメンドされ、そのレシピは冷蔵庫のディスプレイに表示、選択したレシピはオーブンレンジにも連携され食材を入れればスイッチ1つで自動調理が始まる。食材が足りなければ画面をタップし、翌日に宅配される。このように家電と健康管理は密接になるだろう。

健康情報管理ソリューション「健康からだコンパス LifeRoute」を提供するキーウェアソリューションズは2019年11月、女性体温計など、NFC(近距離無線通信規格)対応機器の一部で、iPhoneをかざすだけでデータ連携する対応を始めた。このサービスは日々の食事や健康情報、日常生活を記録するだけでなく、サポーターと呼ばれる医療従事者や栄養士に情報公開することで健康に関するアドバイスを得られる仕組みを備えている。これらのアドバイスは食生活の改善やフィットネスの推進、病院への早期受診へとつながっていく。

IoT機器の普及で活用できるデータの幅が広がり、個人ごとにカスタマイズされた良質なサービスを享受できる「スマートライフ」を目指す一般社団法人、環境共創イニシアチブ(東京・中央)は、「LIFE UPプロモーション」というイベントを開催した。東京都世田谷区の「二子玉川 蔦屋家電」で開催されたイベントでは、実際にIoT家電を展示、機器を使った生活が紹介され、具体的な使用シーンが思い浮かべられるような提案がされていた。消費者の健康にIoTがどう貢献できるのかを分かりやすく伝える好事例と言える。

 

日経MJ 2019年12月23日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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