FVOCI指定した資本性金融商品の組替調整・リース - 改正実務対応報告第18号・24号の適用ポイント

FVOCI指定した資本性金融商品の組替調整・リース - 改正実務対応報告第18号・24号の適用ポイント

企業会計(中央経済社発行)2020年4月号の第1特集 開示例・チェックリストでわかる!2020年3月決算の会計ポイント「(1)2020年3月期からの適用項目 FVOCI指定した資本性金融商品の組替調整・リース-改正実務対応報告第18号・24号の適用ポイント」にあずさ監査法人の解説記事が掲載されました。

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この記事は、「月刊企業会計 2020年4月号」に掲載したものです。発行元である中央経済社の許可を得て、あずさ監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

ポイント

改正実務対応報告第18号では、「資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整」を修正項目として追加し、「リース」に関する基準については新たな修正項目としないことが明確化されている。実務対応報告第18号の当面の取扱いを適用している場合であっても、在外子会社等で適用したIFRS16号およびTopic842に関連する表示および開示について検討する必要がある。

はじめに

2018年および2019年に、企業会計基準委員会(ASBJ)より、改正実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」が公表されている(以下、それぞれ「2018年改正実務対応報告第18号」、「2019年改正実務対応報告第18号」という。)。また、2018年改正実務対応報告第18号に関連して、改正実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」(以下「改正実務対応報告第24号」という。)が公表されている。
2018年改正実務対応報告第18号では、「資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整」を修正項目として追加し、2019年改正実務対応報告第18号では、リースに関する基準について新たな修正項目を追加しないことを明確化している。
本稿では、これらの改正の概要と実務にあたっての留意点について、すでに四半期報告書で開示されている事例を踏まえて紹介する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

I. 2018年改正実務対応報告第18号(FVOCI指定した資本性金融商品の組替調整)

1. 概要

2018年改正実務対応報告第18号では、在外子会社等においてIFRS第9号「金融商品」を適用し、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択(FVOCI指定)をしている場合、連結決算手続上、当該資本性金融商品の売却損益相当額および減損損失相当額を当期の損益として計上することを修正項目に追加している。
IFRS第9号では、FVOCI指定を行った資本性金融商品について、公正価値の変動から生じる利得や損失はその他の包括利益に計上され、売却等があった場合でも純損益への組替調整は禁止されている。
一方、日本基準では、その基本的な考え方に、企業の総合的な業績指標として当期純利益の有用性を保つことが含まれており、売却損益相当額および減損損失相当額を組替調整しないことは、当期純利益の総合的な業績指標としての有用性が低下すると考えられている。
実務対応報告第18号の改正にあたっては、このような我が国の会計基準に共通する考え方と乖離するか否かの観点や実務上の実行可能性の観点に加えて、子会社における取引の発生可能性や子会社において発生する取引の連結財務諸表全体に与える重要性の観点等から修正項目の検討が行われた。
その結果、2018年改正実務対応報告第18号において、「資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整」を修正項目として追加することとされている。
なお、2018年改正実務対応報告第18号では、FVOCI指定をしている資本性金融商品について、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の定めまたはIAS第39号「金融商品:認識及び測定」の定め(IFRS第9号の公表により削除される直前の金融資産の減損の定め)に従って減損処理の検討を行い、減損処理が必要と判断される場合には、連結決算手続上、評価差額を当期の損失として計上するよう修正することとされている。
IFRS第9号の公表により、IAS第39号における金融資産の減損の定めは削除されているが、削除される直前のIAS第39号のうち、資本性金融商品の減損に関連する規定(58項~61項)の概要は次のとおりである。

企業は資本性金融商品に対する投資について、報告期間の末日ごとに金融資産の「減損の客観的証拠」の有無を検討する。
「減損の客観的証拠」には、発行体の重大な財政的困難等の他、経営環境の重大な悪化等で、投資の取得原価が回収できない可能性を示すもの、資本性金融商品の公正価値の著しい下落又は長期にわたる下落等が含まれる。

2. 適用時期等

2018年改正実務対応報告第18号の適用日は、図表1のとおりであり、早期適用の他に遅延適用も認めている点が特徴的である。
IFRS第9号は2018年1月1日以後開始する事業年度から強制適用がすでに開始されているが、にもかかわらず、遅延適用が認められているのは、IFRS第9号が初めて適用される連結会計年度においては、IFRS第9号に対応した帳簿管理と同時に実務対応報告第18号の修正項目への対応のための実務上の大きな負担が在外子会社等において生じることが予想されることに配慮したものと考えられる。

図表1 2020年3月決算会社の2018年改正実務対応報告第18号の適用時期
図表1 2020年3月決算会社の2018年改正実務対応報告第18号の適用時期

また、2018年改正実務対応報告の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うとされている。ただし、会計方針の変更による累積的影響額を当該適用初年度の期首時点の利益剰余金に計上することができるという経過的な取扱いが定められている。

3. 実務上の対応

2018年改正実務対応報告第18号では、新たに修正項目を追加していることから、適用にあたっては、他の修正項目と同様の対応が必要となる。現状、連結決算に必要な情報(財務諸表、注記情報、連結仕訳情報等)については、これらを記載した連結パッケージの提出を連結対象子会社や持分法適用関連会社に求めることが多いと思われる。新たに修正項目に追加されたFVOCI指定した資本性金融商品に関する売却損益相当額および減損損失相当額の情報についても、連結パッケージに追加して、現地から情報を入手することが必要になると思われる。

4. 開示例

2018年改正実務対応報告第18号の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うこととされている。そのため、次に掲げる事項を注記しなければならない(連結財規第14の2および財規8の3(1)、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「過年度遡及会計基準」という。)10項)。

一 当該会計基準等の名称
二 当該会計方針の変更の内容
三 財務諸表の主な科目に対する前事業年度における影響額
四 前事業年度に係る1株当たり情報に対する影響額
五 前事業年度の期首における純資産額に対する累積的影響額


なお、2018年改正実務対応報告第18号では、適用初年度の経過措置として、会計方針の変更による累積的影響額を当該適用初年度の期首時点の利益剰余金に計上することができるとされている。当該経過措置に従って会計処理を行った場合において、遡及適用を行っていないときは、次に掲げる事項を注記しなければならない(連結財規14の2および財規8の3(3)、過年度遡及会計基準10項)。

一 当該会計基準等の名称
二 当該会計方針の変更の内容
三 当該経過措置に従って会計処理を行った旨及び当該経過措置の概要
四 当該経過措置が当事業年度の翌事業年度以降の財務諸表に影響を与える可能性がある場合には、その旨およびその影響額(当該影響額が不明であり、または合理的に見積ることが困難な場合には、その旨)
五 財務諸表の主な科目に対する実務上算定可能な影響額
六 1株当たり情報に対する実務上算定可能な影響額


参考までに、四半期報告書において、会計方針の変更として記載している例を紹介する(開示例1)。なお、四半期報告書における注記では、「1株当たり情報に対する実務上算定可能な影響額」の注記は求められていないので、開示例1では当該情報は記載されていないが、有価証券報告書では、重要性に応じて当該影響額を記載することになるので留意が必要である。

(開示例1)(株)三越伊勢丹ホールディングス

(会計方針の変更)
(連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い等の適用)
「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号 2018年9月14日)及び「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第24号 2018年9月14日)(以下「実務対応報告第18号等」という。)を当第1四半期連結会計期間の期首から適用し、在外子会社等において国際財務報告基準第9号「金融商品」を適用し、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合に、連結決算手続上、当該資本性金融商品の売却損益相当額及び減損損失相当額を当期の損益として修正することとしました。
実務対応報告第18号等の適用については、経過的な取扱いに従っており、会計方針の変更による累積的影響額を当第1四半期連結会計期間の期首の利益剰余金に計上しております。
この結果、利益剰余金の当期首残高に与える影響は軽微であります。

(出所)(株)三越伊勢丹ホールディングス 2020年3月期 第1四半期報告書

II. 改正実務対応報告第24号の概要

実務対応報告第24号では、在外関連会社等の財務諸表が国際財務報告基準(IFRS)および米国会計基準等に準拠して作成されている場合については、当面の間、実務対応報告第18号に準じて会計処理を行うことができるとされている。
そのため、改正実務対応報告第24号では、持分法適用関連会社において実務対応報告第18号に準じて会計処理を行う場合には、「資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整」を修正項目とすることとしている。
また、改正実務対応報告第24号では脚注2において、実務対応報告第18号の当面の取扱いに定める項目の修正のために必要な情報の入手が極めて困難と認められる場合も、「統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められるとき」と同様に、修正のために必要な情報の入手が極めて困難と認められる項目については修正を行わないことができる旨の記載を追加している。
なお、改正実務対応報告第24号の適用時期等については、2018年改正実務対応報告第18号と同様とされている。

III. 2019年改正実務対応報告第18号(リース基準関連)

1. 概要

2016 年1 月に国際会計基準審議会(IASB)はIFRS第16 号「リース」を公表し、2016 年2 月に米国会計基準審議会(FASB)は会計基準更新書第2016-02 号「リース(Topic842)」(以下「Topic 842」という。)を公表している。
IFRS 第16 号もTopic 842 も、リースの借手について基本的にすべてのリースに係る使用権資産およびリース負債を認識することとしている。
しかしながら、IFRS 第16 号では、すべてのリースは借手に対する資金提供を含む取引と捉えて、使用権資産の減価償却費と負債に係る金利費用を区別して認識する単一モデルを採用している一方、Topic 842 では、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースを区分して、ファイナンス・リースでは減価償却費と金利費用を区別して認識し、オペレーティング・リースでは単一のリース費用を認識するという2 区分モデルを採用しており、これに伴い使用権資産並びにリース負債についてもファイナンス・リースに関するものとオペレーティング・リースに関するものは違う性格のものとして捉えられている。
IFRS 第16 号は2019 年1 月1 日以後開始する事業年度の期首から適用が開始され、Topic842についても公開事業会社では2018 年12 月15 日より後に開始する事業年度およびその期中期間から適用が開始されている(非公開企業の場合は2020 年12 月15 日より後に開始する事業年度、期中期間についてはその翌事業年度から適用開始)ことから、実務対応報告第18 号におけるIFRS 第16 号およびTopic842の取扱いの明確化を求める意見が聞かれていた。
これらを踏まえ2019年改正実務対応報告第18号では、IFRS第16号およびTopic842を対象に修正項目の検討を行い、その結果、新たな修正項目を追加しないことを明確化している。
2019年改正実務対応報告第18号は、公表日(2019年6月28日)以後適用することとされているため、2020年3月決算の連結財務諸表において適用することとなる。
なお、実務対応報告第18号の「当面の取扱い」には、修正項目以外でも「明らかに合理的でないと認められる場合」には、連結決算手続上で修正を行う必要があるとされている。このため、2019年改正実務対応報告第18号の公開草案に対して、IFRS第16号に準拠した会計処理が「明らかに合理的でないと認められる場合」に該当するかどうか、明確に示す必要があるとの意見が寄せられていた。
このコメントに対して、ASBJでは、「IFRS第16号『リース』及びASU第2016-02 号『リース』については、実務対応報告第18号の『2019年改正』の項において、『審議において、「本実務対応報告の考え方」に基づき、これらの会計基準の基本的な考え方が我が国の会計基準に共通する考え方と乖離するか否かの観点から検討を行った結果、新たな修正項目の追加は行わないこととした。』としていることから、個々の企業において『明らかに合理的でないと認められる場合』に該当するか否かの検討を行うことは原則として求められないものと考えられる。」とされている(注:ASBJ ホームページ参照)。

2. 連結財務諸表での表示および注記の論点

(1) 会計方針の変更の注記

実務対応報告第18号の当面の取扱いに従って、IFRSおよび米国会計基準等に準拠して作成された在外子会社等の財務諸表を連結決算手続上利用している場合で、当該在外子会社等が会計方針の変更を行うときは、過年度遡及会計基準10項から12項に準じて注記を行うこととされている(実務対応報告第18号「当面の取扱い」なお書き)。したがって、在外子会社等が適用する会計基準であっても、会計方針の変更による影響等が重要である場合には、会計方針の変更に関する注記が要求される。

(2) リース基準に関連する表示および注記の取扱い

2019年改正実務対応報告第18号では、新たな修正項目を追加していないため、実務対応報告第18号の当面の取扱いを適用している場合、IFRS16号およびTopic842に準拠して作成された在外子会社等の財務諸表を日本基準の連結決算手続上そのまま利用することになると考えられる。
ただし、そのまま利用されるのは、会計処理だけであり、表示および注記については特に定められていない。この点、ASBJは、2019年実務対応報告第18号の公開草案に寄せられたコメントに対して、「これまで、修正項目としなかったIFRS及び米国会計基準について、在外子会社等の財務諸表が連結財務諸表に取り込まれた場合の表示及び注記の取扱いは、内容が様々であるため、特段の定めを設けておらず、各社の実情に応じて適切な開示がなされてきたものと考えられる。」とし、会計基準上、特段の対応はしないこととしている。
そのため、親会社の日本基準の連結財務諸表上、IFRS16号およびTopic842を適用した在外子会社等の財務諸表に含まれるリース関連数値について、どのように表示および注記するかが論点となる。具体的には、リースの借手にとって図表2に掲げた項目が主な論点になると考えられるが、必ずしも回答が明確なものばかりというわけではない。
なお、連結子会社が採用する会計方針が連結財務諸表提出会社の採用する会計方針と異なる場合、連結財務諸表規則ガイドライン13-1-4では、重要性に応じて、その差異の概要を注記することとされている。在外子会社等におけるリースに関する開示が、連結財務諸表に重要な影響を与える場合、財務諸表利用者の投資の意思決定に影響を与える可能性もあるのに対し、その作成方針は企業によって異なることも考えられるため、開示についてもこの規定に準じて注記を行うべきか検討する必要があると考えられる。

図表2 在外子会社等のIFRS第16号適用に伴う表示および注記の論点

表示および注記 論点
連結貸借対照表 使用権資産およびリース負債を日本基準の連結貸借対照表上どのように表示するか。
連結キャッシュ・フロー計算書 IFRS第16号によると、リース負債の元本の返済は、財務活動によるキャッシュ・フローに表示するが、従来オペレーティング・リースとされていたリース負債の支払いについて、日本基準に合わせて営業活動によるキャッシュ・フローに含めて処理することが認められるか。
注記事項(未経過リース料) 日本基準上、オペレーティング・リース取引のうち解約不能のリース取引に係る未経過リース料は注記を行うこととされているが(連結財務諸表規則15条の3)、従来、オペレーティング・リースとされていたものが、IFRSおよび米国会計基準を適用する在外子会社等の財務諸表でオンバランスされている場合、当該注記の対象とすべきか。

(3) 連結貸借対照表

IFRS第16号では、使用権資産は、他の資産と区分して「使用権資産」として表示する、もしくは、どの表示項目に含まれているのかを注記することを前提に、対応する原資産が自社所有であったとした場合に表示されるであろう表示項目(有形固定資産など)に含めることとされている。
Topic842でも、使用権資産およびリース負債は、それぞれ他の資産・負債とは別に表示する、もしくは注記することとされているが、IFRS16号と異なり、借手の会計処理においてもファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類するという考え方が維持されており、かつ、リース分類が異なる使用権資産・リース負債の一括表示は不可とされている。
日本基準では、連結財務諸表規則26条において、有形固定資産の中に区分表示する項目に「リース資産」が挙げられている。しかしながら、当該リース資産は、「連結会社がファイナンス・リース取引におけるリース物件の借主である資産」とされ、対象は「ファイナンス・リース」とされている。
この点、IFRS第16号では借手の会計処理においてファイナンス・リースとオペレーティング・リースといった概念がない点を重視すると、IFRS第16号の下での使用権資産を「リース資産」として表示することは必ずしも適当とはいえないと考えられる。また、2019年改正実務対応報告第18号では、IFRS第16号を修正項目としなかった点を考慮すると、使用権資産として表示されているリースを、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分して、ファイナンス・リースに係る使用権資産を「リース資産」として修正することは、必ずしも求められていないと考えられる。
一方、Topic842では、ファイナンス・リースに係る使用権資産については、日本基準の「リース資産」と親和性が高いものの、オペレーティング・リースに係る使用権資産は、償却費を発生させない資産とされており、日本基準の「リース資産」と異なるオペレーティング・リースに係る使用権資産を「リース資産」に含めて表示することは必ずしも適当とはいえないと考えられる。
実務上は、それぞれ個々の企業における金額的重要性等に基づき判断することになるが、2020年3月期決算会社の第1四半期で開示している事例では、「使用権資産」(有形固定資産「その他」)として区分表示している事例の他に有形固定資産の各科目に含めている事例も一定程度見受けられる(開示例2、開示例3)。
なお、Topic842について、2018 年12 月15 日より後に開始する事業年度に適用するとしているのは公開事業会社であり、非公開企業では適用時期の延期が公表されていることから、米国会計基準を適用している在外子会社等での今後の適用時期に留意が必要である。

(開示例2)(株)吉野家ホールディングス(使用権資産として別掲している例)

(会計方針の変更)
在外連結子会社
(IFRS第16号「リース」の適用)
当社グループのIFRS適用子会社は、第1四半期連結会計期間より、IFRS第16号「リース」(2016年1月公表)を適用しております。これにより、借手としてのリース取引については、原則としてすべてのリースについて資産及び負債を認識しております。
本基準の適用にあたっては、経過措置として認められている、本基準の適用による累積的影響を適用開始日に認識する方法を採用しております。
この結果、第1四半期連結会計期間の期首の使用権資産が32億15百万円増加、リース債務(流動)が14億7百万円増加、リース債務(固定)が28億80百万円増加、非支配株主持分が39百万円減少、利益剰余金が10億33百万円減少しております。なお、当第3四半期連結累計期間の営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益に与える影響は軽微であります。

(出所)(株)吉野家ホールディングス 2020年2月期第3四半期報告書

(開示例3)日本郵船(株)(有形固定資産の各科目に含めている例)

(会計方針の変更)
(IFRS第16号「リース」の適用)
国際財務報告基準に準拠した財務諸表を作成している関係会社において、第1四半期連結会計期間よりIFRS第16号「リース」を適用しています。これにより原則として、借手におけるすべてのリースを四半期連結貸借対照表に資産及び負債として計上しています。また、適用にあたっては遡及修正による累積的影響額を適用開始日時点で認識する方法に従っています。
当該会計基準の適用により、第1四半期連結会計期間の期首において、主として船舶が19,346百万円、建物及び構築物が35,821百万円、土地が20,600百万円、リース債務が87,369百万円増加しています。利益剰余金に与える影響は軽微です。
なお、当第2四半期連結累計期間の営業利益が1,267百万円増加し、経常利益及び税金等調整前四半期純利益が1,912百万円減少しています。

(出所)日本郵船(株) 2020年3月期第2四半期報告書

(4) 連結キャッシュ・フロー計算書

IFRS第16号によると、リース負債の元本の返済は、財務活動によるキャッシュ・フローに表示するとされている。
従来オペレーティング・リースとされていたリース負債の支払いについて、日本基準に合わせて営業活動によるキャッシュ・フローに含めて処理することが認められるかが論点になる。
連結貸借対照表および連結損益計算書との整合性や資金調達というリース負債の性質を考えた場合にはリース負債の元本の返済を財務活動によるキャッシュ・フローに表示することになるが、キャッシュ・フロー計算書の処理が実務対応報告第18号でそのまま取り込むとされる「会計処理」に該当するのか、各社の実情に応じて組み替える「表示」として取り扱われるのかは明確ではないと考えられる。
第2四半期報告書の会計方針の変更の注記で、キャッシュ・フローへの影響を記載している例が見受けられるので紹介する(開示例4)。
なお、Topic842では、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースに係るリース料支払い額は、営業活動キャッシュ・フローとして計上されるので、この論点は対象にならない。

(開示例4)山九(株)(財務活動によるキャッシュ・フローに含めている例)

国際財務報告基準を適用している在外連結子会社は、第1四半期連結会計期間より、国際財務報告基準第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という。)を適用しております。これにより、リースの借手は、原則としてすべてのリースを貸借対照表に資産および負債として計上することとしました。IFRS第16号の適用については、経過的な取扱いに従っており、会計方針の変更による累積的影響額を適用開始日に認識する方法を採用しております。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の有形固定資産の「その他」が11,182百万円、流動負債の「その他」が2,344百万円および固定負債の「その他」が5,517百万円増加し、流動資産の「その他」が105百万円および投資その他の資産の「その他」が3,249百万円減少しております。また、当第2四半期連結累計期間の損益に与える影響は軽微であります。 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は、営業活動によるキャッシュ・フローの支出が1,584百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が1,584百万円増加しております。

(出所)山九(株) 2020年3月期第2四半期報告書

(5) 注記(未経過リース料)

日本基準上、オペレーティング・リース取引のうち解約不能のリース取引に係る未経過リース料は注記を行うこととされている(連結財規15の3)。従来、オペレーティング・リースとされていたが、在外子会社等でオンバランスされている取引について、当該注記の対象とすべきかが論点となる。
オペレーティング・リース取引における解約不能の未経過リース料の注記の趣旨をどのように考えるかによるが、オフバランスの潜在的な債務を開示するということが趣旨であると考えた場合、オンバランスされているリース負債について、当該注記の対象とすることは却ってミスリードする可能性があるため、未経過リース料の金額に含めていない旨を記載の上で当該注記事項に含めないことも考えられる。

図表3 改正点を中心とした記載のチェックリスト

テーマ チェックポイント
1【FVOCI指定した資本性金融商品の組替調整】
(I,II参照)
  • IFRS第9号を適用し、FVOCI指定した資本性金融商品を保有している連結子会社および持分法適用関連会社を網羅的に把握しているか。
  • 修正金額(売却損益相当額および減損損失相当額)を把握できるよう連結パッケージを改定しているか。
  • 減損処理の検討にあたっては、金融商品に関する会計基準の定めまたはIAS第39号の定めに従って行っているか。
  • 会計方針の変更による注記すべき事項が重要な場合、会計方針の変更に関する注記を行っているか。
  • IFRS第9号が未適用の場合で重要な場合、未適用の会計基準等に関する注記を行っているか。
2【リース】
(III参照)
  • IFRS第16号およびTopic842を新たに適用した連結子会社および持分法適用関連会社を網羅的に把握しているか。
  • IFRS第16号およびTopic842を採用した連結子会社および持分法適用関連会社別に、表示および注記項目を把握し、それぞれの基準に対応した表示および注記の検討を行っているか。
  • 会計方針の変更による注記すべき事項が重要な場合、会計方針の変更に関する注記を行っているか。
  • IFRS第16号およびTopic842が未適用の場合で重要な場合、未適用の会計基準等に関する注記を行っているか。

執筆者

有限責任あずさ監査法人
シニアマネジャー 公認会計士
三宮 朋広

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