特別企画 働き方改革は退職給付会計にどう影響するか - 第4章 子育てや介護で給付減額となる場合は? 育児休業・時短勤務制度と退職給付会計の留意点

子育てや介護で給付減額となる場合は? 育児休業・時短勤務制度と退職給付会計の留意点について解説します。

子育てや介護で給付減額となる場合は? 育児休業・時短勤務制度と退職給付会計の留意点について解説します。

この記事は、「旬刊経理情報2020年3月10日号」に掲載したものです。発行元である中央経済社の許可を得て、あずさ監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

ポイント

  • 育児休業期間中は、一般的に退職給付額の算定期間に含まれない。
  • 時短勤務中は、退職給付額の算定にあたり減額されることは少ない。
  • 退職給付の調整を行う場合は、給付減額に該当し、同意取得の手続等が必要な場合がある。

事案の概要

(1)育児休業中の退職給付

育児休業取得期間については、退職給付支給の対象となる勤続期間に含めない取扱いが一般的と思われる。また、ポイント制退職給付制度適用企業では当該期間のポイント付与を行わないことで対応していることがよく見られる。退職給付は勤務の対価との考え方があるため、前記の取り扱いは差別的な取り扱いとはみなされていない。

(2)時短勤務中の退職給付

子育てや介護等で所定労働時間を短くして勤務をすると、給与や賞与が減額されることがある。しかし、一般的には退職給付に関して直接減額されることは少ないと思われる。
ただし、「勤続期間に応じた額」「退職時給与×退職時までの勤続期間に応じた支給率」で退職給付を定めているような場合には、時短勤務中は勤続期間としてカウントしないケースや時短勤務中は昇給しないケースなど、結果的に退職給付の減額につながるようなケースも散見される。また、ポイント制度の退職給付であれば、時短勤務中のポイント付与額に減額率を設けることもある。

育児休業・時短勤務における退職給付に関する留意事項

すでに、育児休業や時短勤務における退職給付上の取扱いについて定めている会社は特段見直し等が必要ではないと思われる。
一方、これから育児休業中や時短勤務中の退職給付の調整を行う場合は、給付の減額に該当するので、従業員に対する同意取得や理解を得る必要がある点には留意すべきだろう。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
パートナー 公認会計士 年金数理人
三輪 登信(みわ たかのぶ)

シニアマネジャー 年金数理人
渡部 直樹(わたなべ なおき)

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