製造業におけるCOVID-19の危機フェーズ

製造業におけるCOVID-19の危機フェーズは、現在Recoveryです。

危機フェーズ

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製造業におけるマクロトレンド

重電セクター

 

現在の危機のフェーズ Recovery

 

重電業界の大きな製品供給先である航空事業は依然として耐え忍ぶことが求められそうです。IATA(国際航空運送協会)は、当初2020年10-12月期に需要回復を見通していましたが、この度欧州を中心として新型コロナが再拡大したことから、需要回復がさらに遅れ、2024年の需要回復と1年遅れでの予測を出しました。よって、重電メーカーはコングロマリットの事業構造の中、埋め合わせの“代替事業”の探索が急務となっています。
リモート・非接触ニーズは継続して高まっており、ロボット分野は物流、建設、医療、食品業界で産業用ロボットのニーズが世界的に高まっています。特に遠隔地からのサポートが期待されています。現場で稼働しているロボットシステムを仮想空間上で構築し、現場のデータを取得し、現場のロボットと同じ動作をデジタルツインで実装する。こうしたソリューションにより、リアルな事象をバーチャル上で予めシミュレーションすることで、インシデントが起こる前に原因を特定するといったことが可能になります。
こうした事業機会におけるキーワードが「自動化・省力化・電装化」です。いずれのキーワードにも共通することが、「OTとITの融合」です。Industry4.0、Industrial Internetの推進の流れに5Gを組み合わせたHyper Connected Manufacturingがキーワードになるでしょう。日本でも「5G利活用型社会デザイン推進コンソーシアム」が2020年9月24日に設立されましたが、こうした業界の垣根を超えた取り組みを促進することが、Hyper Connected Manufacturing実現の蓋然性を高めるでしょう。

 

工作・産業機械

 

現在の危機のフェーズ Recovery

 

工作・産業機械業界(FA・制御機器、工作機械、産業用ロボット)は、2020年度の第2四半期(7 - 9月)で底を打ち、第3四半期から回復傾向を見せています。特にいち早く経済活動を再開させてきた中国向けが好調であり、5G向けスマートフォンや半導体製造、自動車関係を中心に、受注環境は回復傾向に転じています。第3四半期(10-12月)の制御機器の出荷総額は、日本電気制御機器工業会(NECA)によると、7-9月から163億円増の11.7%増の1,560億円となり、5期ぶりに前期を上回りました。工作機械の受注総額は、日本工作機械工業会によると、前期比・前年比ともに上回る2,699億円。特に外需が好調で、前年比15%増の1,821億円となっています。また産業用ロボットも、日本ロボット工業会によると、受注台数は前年比24%増の5万9824台、金額は35.4%増の2,222億円となっており、中国への年間輸出額は、市場が好調だった17年・18年をも上回る2,368億円を記録しています。
更に2021年度は、製造業各社における部品調達地の変更や内製化による工場新設、設備立ち上げが進むことが想定され、工作・産業機械メーカーにとっては一定の設備投資需要が期待できます。以前から課題であった、必要部品の安定調達のためのサプライチェーン再構築が、より一層重要なテーマとなっています。
また、2021年以降の中長期戦略としては技術革新が重要なテーマとなります。顧客先の(1)製造現場の各種作業の高度自動化(2)製造現場の「見える化」(3)製造現場における「つなぐ化」の強化を進めるため、3Dプリンタ、IoT、先進CAM技術、インダストリー4.0などの最先端技術を自社製品に如何に組み込めるかがカギとなっています。工作・産業機械メーカー各社は技術革新を達成すると同時に、製品とソリューションを組み合わせたPSS(Product Service System)を志向しないと生き残れないと考えられます。
このような動きを受け、コネクティビティの向上とスマートファクトリーの推進(デジタル化、IoT化、スマート化への対応)、製品ポートフォリオの見直しの早期着手(旧来技術から最新技術を活用した製品への転換)、デジタル化に対応した人材育成/登用(データ・アナリティクス、アーキテクチャ、ソフトウエア開発などの人材)などに取り組むことは、業界における喫緊の課題となっています。

デバイスセクター

 

現在の危機のフェーズ Recovery

 

電子部品・デバイス業界は、2020年にはコロナの影響を受けつつも、主力部品では、受動部品(コンデンサ等)、電源部品や高周波部品の需要増加、地域別では、中国の堅調な需要に下支えされ、対前年比では、▲7%程度(2020年8月)で推移しており、回復基調にあると考えられます。その影響もあり、日本主力企業の一部では、2020年度通期見通しを上方修正する企業も出始めております。(2020年第二四半期現在)。2021年も通信関連やEV化への対応部品の需要は堅調に推移するものと予想されますが、同時に、変換部品(スイッチやコネクター等)では需要が減少傾向にあり、製品ポートフォリオにおける選択と集中は、より一層明確な意思決定が求められると想定されます。 とくにファーウェイなどの中国向け通信機器に大きく依存してきたメーカーは、経営状況悪化のインパクトが大きいため、中長期的な成長が期待され、顧客もグローバルに存在している電動自動車向けの製品展開による事業ポートフォリオ強化が一つの解決策となるでしょう。
また、部品・デバイス開発技術の強みを活かし、部品だけでなく、ユニットやモジュール、または最終製品を開発、販売することで、より利益率の高い市場に参入することも中長期的な戦略の方向性となりえます。加えて、日本の主力企業は、従来の顧客課題解決型のビジネスモデルから社会課題解決型のビジネスモデルへの変革が強く求められる社会に突入した事を意識した統合報告書を発表しています。これをより具体的な検討・説明及び、実行に移す必要があり、新規事業(収益源獲得/含:パートナーシップの構築)創出と既存事業における部品・デバイスの開発力強化の両立を図る事が中期経営計画のメインテーマとなるでしょう。

金属素材/ケミカルセクター

 

現在の危機のフェーズ Recovery

 

金属素材/ケミカル業界は、米中貿易摩擦の影響により自動車用途を中心に需要が低迷したことに加え、COVID-19の影響により経済活動が抑制され、厳しい状況下におかれていましたが、自動車を中心とした製造業や早期に経済回復をした中国市場への需要回復、5Gや次世代技術材料の需要拡大もあり、2020年4~6月期を底として、自動車生産や石化市況の回復、鋼材需要持ち直し、5Gや次世代技術材料の需要拡大および早期に経済回復をした中国市場への需要回復などもあり、下期以降の事業環境の改善を織り込み、通期業績予想を上方修正する企業も見受けられます。

  • 鉄鋼業界

国内需要が頭打ちであることに加え、国際市場においても供給過剰状態にあり、国内鉄鋼メーカーは需要に応じた生産設備の削減が喫緊の中、COVID-19の影響による高炉の一時停止も自動車を中心とした製造業向けの鋼材需要回復を受け段階的に再稼働しつつあり、さらなる生産体制の見直しや変動費改善・固定費圧縮、効果的な設備投資による黒字化を早期に目指す方向にあります。また、グローバルでの事業再編や提携が進む中、高付加価値製品への選択と集中、2050年カーボンニュートラル政策に向けた脱炭素戦略も求められています。今後も不透明な状況が続くこととなりますが、デジタル技術の活用による業務・生産プロセス改善や設備保全・稼働の高度化による生産性の向上といった競争力強化が変革の要素となると推測されます。

  • 非鉄金属

COVID-19感染拡大による自働車、航空機用途の需要減を懸念し、非鉄金属価格は低迷する中で、事業ポートフォリオの見直しと設備投資の優先順位付けが喫緊の課題となります。鉄鋼業界同様、自動車を中心とした製造業向けの需要回復を受けたワイヤーハーネスや、5Gによる通信インフラおよびスマートデバイス向けの半導体用薄膜材料や高機能素材の需要拡大が見込まれています。不採算事業からの撤退や構造改革による収益改善といった企業体質強化と同時に、川上戦略としては鉱山開発や金属リサイクル(都市鉱山)事業・環境ビジネスへの投資、川下戦略としてワイヤーハーネス、電力向け超高圧ケーブル、5G向け光関連部品の需要は今後堅調に推移すると見込まれ、これら事業の成長戦略カギとなります。

  • 化学

化学業界の中でもヘルスケア事業や医薬品事業はCOVID-19の影響下においても堅調に推移しており、その他の事業分野においても2020年4~6月期を底として7~9月期から下期にかけて自動車、住宅設備関連などの幅広い産業の需要回復と早期に経済再開した中国市場向けに徐々に需要の回復基調が見込まれています。COVID-19以前の状況までの回復には来期以降まで時間を要しますが、IoTデータ分析・活用による工場・プラントの予知保全や製品品質・生産性の向上、次世代技術の積極的な活用、COVID-19で分断されたサプライチェーンの最適化による既存事業の競争力確保、次世代事業の創出が今後の差別化要因になると推察されます。

  • 繊維製品

消費行動停滞の影響により、アパレル関連製品の需要が急減しています。今後、回復基調を辿ることを前提としてもNew RealityにおいてはCOVID-19以前の行動様式とはならず、需要回復のペースは緩やかにとどまるでしょう。産業用では自動車関連製品の需要回復もありエアバック基布や内装用、タイヤ補強材の需要が回復しつつあります。炭素繊維は航空機産業の低迷のより需要は低減しているが自動車用部材や他用途への早急な転換を図る事業展開と収益確保が必要になるでしょう。化学繊維の用途は多岐にわたるため、技術力を生かした高品質製品のニーズの強い分野への製品ポートフォリオの再構築、デジタルマーケティングやMI(Materials Informatics)による材料開発が喫緊の課題となるでしょう。

いずれの業界においても収益構造改善に向け、コスト競争力の強化が必須ですが、的確な市場分析と自社のポジショニング、コアコンピタンスの再認識、コア事業への経営資源配分など「新常識」に向けた企業変革が求められています。そのためにも競争力のある技術による差別化、データ活用による設備保全の高度化や新機軸の創出などに向けたDX推進の必要性は高まると考えます。

課題とKPMGジャパンの提供サービス

サブセクター 現在の課題 KPMG提供サービス
重電セクター
  • 航空・自動車事業の埋め合わせの“代替事業”の探索に際しての事業機会分析
  • 当該領域での事業戦略
  • 1-1:火力発電事業のグローバルトレンドと事業機会探索分析
  • 1-2:ロボット事業の用途市場の具体的な活用用途探索と事業機会の示唆
  • 2上記の1を踏まえた事業戦略の策定
  • COVID-19 克服に向けたDAソリューション
工作・産業機械
  • サプライチェーンの見直し/調達先候補の洗い出し
  • コネクティビティの向上とスマートファクトリー化の推進
  • 製品ポートフォリオの見直しの早期着手
  • デジタル化に対応した人材の育成/登用
  • 調達先の探索&調達先候補の評価の仕組み構築
  • BCPを含むサプライチェーンの再構築
  • スマートファクトリー化の先進事例分析、スマートファクトリー化の構想策定
  • 技術調査、IoT製品・サービス開発、製品ポートフォリオ再構築
  • デジタル化人材育成研修、デジタル化人材登用のための報酬制度の策定

(関連サービス)

デバイスセクター
  • 事業ポートフォリオ再構築
  • 事業機会探索のための市場調査
  • 事業戦略の策定
  • 事業戦略を実行するためのM&A、提携戦略の策定
金属素材/ケミカルセクター
  • グローバル需給のバランスを踏まえた事業戦略
  • 成長産業における投資対効果の最大化
  • 1:グローバルサプライチェーンの再評価、見直しと再配置
  • 2-1:新たな事業収益モデルの企画・構築支援
  • 2-2:経営データのデジタルプラットフォーム構築
  • インテリジェンスオートメーション、サイバーセキュリティ

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