【第17回~TCFDを旅する~】EUタクソノミーとESG・サステナビリティ開示1

【第17回~TCFDを旅する~】EUタクソノミーとESG・サステナビリティ開示1

TCFDを旅する ~サステナビリティを目指して~ 第17回:今回は、2020年6月に成立したEUのタクソノミールール(Taxonomy Regulation : TR)の概要を解説します。

加藤 俊治

KPMG サステナブルバリュー・ジャパン/LEAD of TCFD/Taxonomy group

あずさ監査法人

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1. 最終化されたEUタクソノミー

(1) はじめに

EUでは2019年12月に欧州グリーンディールを公表し、2050年までに気候中立(温暖化ガス排出量の実質ゼロ)を目指すことを表明しました。そのためには産業技術のイノベーションと並んで、それを可能にするための莫大な民間資金が必要になります。そこで、民間資金を環境的にサステナブルな投資案件(金融商品)に確実に誘導するために、何がサステナブルであるかを明確化するためのタクソノミー(分類)に関する規則(Taxonomy Regulation、以下TR)を2020年6月に最終化しました。

民間資金の投資の対象となる経済活動(economic activity)が環境的にサステナブルな案件であると言えるためには、下記の6つの目標と4つの要件を満たさなくてはなりません。これを満たした経済活動が環境的にサステナブルな経済活動としてグリーンラベルの対象となり、その経済活動を営む企業、その経済活動を含む金融商品がグリーンな企業および金融商品としてグリーン志向、ESG志向の民間資金の投資対象となります。

(2) 6つの環境目標

  • 気候変動の緩和
  • 気候変動への適応
  • 水資源等の使用と保全
  • 循環経済等への移行
  • 大気・水・土壌等の汚染防止
  • 植生・森林・希少種などエコシステムの保護

(3)4つの要件

  • 上記6つの環境目標のうち少なくとも1つ以上を対象とし、それに実質的に貢献すること
  • 残りの環境目標について重大な損害をもたらさないこと(do not significantly harm: DNSH)
  • OECD(経済協力開発機構)の多国籍企業行動指針、国連のビジネスと人権に関する指導原則、労働における基本的原則および権利に関するILO(国際労働機関)宣言などに準拠すること(社会(S)とガバナンス(G)に関する最低限のセーフガード規定)
  • 科学的根拠に基づいた一定の技術スクリーニング基準(technical screening criteria : TSC)に準拠すること

(4)3種類の環境的にサステナブルな経済活動

環境的にサステナブルな経済活動は、(1)Own performance : その経済活動そのものが6つの環境目標のうちの1つに実質的に貢献する経済活動(例:低炭素エネルギーの生成、エネルギー効率の高い生産プロセスなど)、(2)Enabling Activity : 他の経済活動を6つの環境目標のうちの1つ以上に実質的に貢献可能とする経済活動(例:低炭素を可能とする製品・機械の生産など)、(3)Transition activity : 技術的・経済的に実行可能な低炭素化のための代替手段がないものの温暖化ガス排出量実質ゼロに近づけることを可能とする経済活動の3種類に分類されています。

当初の案では(1)に限定されていましたが、(2)・(3)を追加することで現実的なアプローチとなっています。

(5)TRによって企業と金融商品に求められる開示

EUタクソノミーの目的は、ESG志向を強める投資家の資金をグリーンな金融商品、例えば社債や投資ファンドなどに誘導することにあります。そして、投資家が安心して投資判断を行うためには開示情報が充実していなくてはなりません。

そこでTRでは、企業と金融商品に関する開示ルールを定めています。

まず企業に対しては、法定開示資料の中の非財務情報として環境的にサステナブル=グリーンな経済活動に関連した売上、資本的支出、収益的支出の割合を開示するように要請しています。

金融商品については、その投資対象とする経済活動(ポートフォリオ)のうち環境的にサステナブル=グリーンな経済活動の割合を開示するよう求めています。

ご紹介:TCFD及びEUタクソノミーに関するKPMGジャパンのサービス等

KPMGジャパンでは、GSDアプローチによるTCFDアドバイザリーサービスを提供しています。
また、EUタクソノミーに関するご相談を受け付けています。
詳細は、ページ内の「お問合せフォーム」もしくは「ご依頼・ご相談 RFP(提案書依頼)」からお問い合わせください。
 

※ GSDアプローチとは、Gap analysis(TCFD最終提言とのギャップ分析)、Scenario analysis(シナリオ分析)、Disclosure analysis(開示内容・手法の妥当性分析)を指します。

執筆者

KPMGジャパン
コーポレートガバナンスCoE LEAD of TCFD group
テクニカルディレクター/公認会計士
加藤 俊治

TCFDを旅する ~サステナビリティを目指して~

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