企業が勝ち抜いていくための「選択と集中」とは

企業が勝ち抜いていくための「選択と集中」とは

「小売りの明日」第23回 - コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの店舗の減少が話題となる中で、伸びている店舗や企業の存在を見逃してはならない。成果を出している企業に共通する「選択と集中」について、「2025年の崖」問題と併せて解説する。

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米国での2017年以降の店舗の純減数は約1万店となった。ある調査では2018年の店舗の閉鎖面積が1.55億フィート(約1440万平方メートル)。これは日本最大級規模の百貨店約145店舗分がわずか1年で閉店したのに匹敵する。
日本も例外ではない。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、総合スーパー(GMS)、百貨店に至るまであらゆる業態が出店攻勢を繰り返し、人口に対する店舗数が飽和したことで小商圏化が加速した。そしてEC(電子商取引)の台頭で、その出店にも限界を迎える。マイナス要素を挙げれば切りがない。ただ、強調したいのは、数字を直視しつつも、閉店すらプラスに捉えて次に付加する価値を具体的に示していくスタンスの重要性だ。

店舗の減少に話題が集中する中、伸びている店舗や企業の存在を見逃してはならない。作業服を中心としたワークマンは2019年3月期既存店売上前年比14%増を達成した。店舗数も前期比16店舗増加している。これは「ワークマンプラス」という新業態で、商品の機能性に価値を見出したアウトドア層や主婦層という新たなターゲットを付加したことに起因する。
イオングループのドラッグストア事業であるウエルシアの2019年3~8月期連結決算では、営業利益が前年同期比22.4%増だった。イオン本体は中国や東南アジアの商業施設も好調な上、不動産事業や金融事業も好調だという。エリアや事業を付加し続けた成果と言える。
これこそ、事業の「選択と集中」なのだが、実行はそう簡単ではない。そこには現場からの抵抗や経営層が決断に値する情報の不足など課題は複雑さを極める。しかし、経営者にとっての英断は常に求められる。これは企業の根幹とも言える基幹システムについても同じことが言える。

経済産業省が2018年9月に発表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」では、2025年までに基幹システムのブラックボックス状態を解消しつつ、データ活用ができない場合、デジタル化による事業変革であるデジタルトランスフォーメーションが実現できないため「デジタル競争の敗者」となるとある。その場合の経済損失は2025年以降、12兆円にのぼると試算している。
一方で、こうも記されている。「2025年までの間に複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするものなどを仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、デジタルトランスフォーメーションを実現することにより、2030年に実質GDPの130兆円超の押上げを実現」と。
勝者になるためには、既存ビジネスの時流に合わない部分をそぎ落とす覚悟と新たな領域を付加するけん引力の両立が強く求められる。これから6年、企業改革の真価が問われる。

 

日経MJ 2019年10月21日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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小売りの明日

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