AI分析で小売業界を変えることはできるのか

AI分析で小売業界を変えることはできるのか

「小売りの明日」第14回 - 「52週販促計画」やアンケートなど、従来、小売流通業界で取られていた調査方法に加え、AIによる市場分析が今や必須となっている。キーワード抽出によるトレンド分析やターゲット別の訴求内容の考察など、AI分析の活用事例を交えながら、その有効性について解説する。

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小売流通業界では、「52週販促計画」は必須だと長年言われてきた。年間52週、各週の催事の動向を調査・分析し、今年ならではの切り口はないか、針の穴を指すような市場の変化を探すのだ。例えば、ハロウィーンはここ数年で子供のイベントから大人も仮装する一大イベントへと拡大し、経済効果は2011年からの4年で2倍以上の約1340億円になったとも言われる。これはバレンタインを上回る規模だ。
これと似た市場の伸びを見せたのが恵方巻きだ。2004年頃は70億円前後だった市場規模が、近年では600億円を超える。ただ、ここ数年伸びは鈍化し、踊り場を迎えているようだ。このような市場で売上を伸ばすには、その年ならではの変化が何かを正確に捉える必要がある。インスタ映えする恵方巻や高級恵方巻、おまけ付き恵方巻など、切り口を挙げればきりがない。

市場の変化をつかむ際、従来通りのアンケート調査なども重要ではある。しかし、今は人工知能(AI)を活用した分析が必須だろう。SNS(交流サイト)で最も書かれたキーワードや、今後のトレンドを示唆するものは何か。AIが対象のメディアやサイトを分析して方向性を出す。
ある家電製品についてAIを使って分析したところ、数分で自社製品がメディアやSNSで支持されている部分と不満を持たれている部分が明確になった。競合の商品の強みを抽出して自社商品との比較にも使える。また、ある総合スーパーにおける実証実験では、人とAIによる発注で1日平均ロス数が18.1個から12.5個と、31%も改善したという。AIの答えがすべてとは言わないが、重要なヒントなのは明らかだ。
またエリアを細分化することも必要だとされる。東京・豊洲エリアを例にとると、30~40代の居住者の割合が46%である一方、60~70代の割合は21%にとどまる。このようなエリアでは折り込みチラシの効果は出づらく、ファミリー向けや単身者向けの訴求内容が重視される。では、そのエリアで必要とされる訴求とはどのようなものなのか、それを人が分析していては途方もない時間とコストを要する。AIによる自動抽出ができればエリアやターゲット別の対応ができる。

配信や効果検証においてもテクノロジーを活用できる。スマートフォン(スマホ)の動きを捕捉するシステムは今やベーシックなものとして普及しつつある。全国約8000万台のスマホを捕捉しているシステムを活用すれば、どれだけの顧客が自店と競合店にそれぞれ来店しているかを算出でき、イベントやセールを展開した後の来店率の変化も数値で把握できる。あるスーパーではこのシステムを活用して、曜日別の折り込みチラシの効果を計測、チラシ配布後に効果のある曜日やエリアを明確にし、配布方法を最適化した。
紙だけ、ウェブサイトだけ、あるいは電子商取引(EC)サイトだけ、店舗だけという時代ではなく、すべてを融合していく時代になったのだ。

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日経MJ 2019年4月8日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

小売りの明日

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