IAS1号に基づく記載例が参考になる 見積り開示会計基準案の実務への影響

旬刊経理情報(中央経済社発行)2020年1月1日特大号に IAS1号に基づく記載例が参考になる見積り開示会計基準案の実務への影響に関するあずさ監査法人の解説記事が掲載されました。

旬刊経理情報(中央経済社発行)2020年1月1日特大号に IAS1号に基づく記載例が参考になる見積り開示会計基準案の実務への影響に関するあずさ監査法人の解説記事が掲載されました。

この記事は、「旬刊経理情報2020年1月1日特大号」に掲載したものです。発行元である中央経済社の許可を得て、あずさ監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

ポイント

  • 会計上の見積りの開示に関する項目の識別や開示の詳細さは、各企業が「財務諸表利用者の理解に資する情報を開示する」という開示目的に照らして判断することが提案されている。
  • 本会計基準の開発にあたり参考にされたIAS1号125項に基づく開示や金融庁が公表している好事例集を理解することは、会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)に基づく開示を検討する際に有益であると考えられる。

本章では、企業会計基準公開草案68号「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」(以下、「本公開草案」という)を適用するにあたっての実務上の論点の解説を行う。なお、意見にわたる部分は筆者の個人的意見である。

開示の内容

(1)具体的にどのような項目をどこまで開示すべきかの判断
本公開草案では、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い項目における会計上の見積りの内容について、財務諸表利用者の理解に資する情報を開示することが開示目的とされている。
ただし、本公開草案は、後述の理由から項目の識別の判断のための詳細な規準は示さず(本公開草案20項)、また、開示の詳細さを特段定めないことた(本公開草案28項)とされており、具体的にどのような項目をどこまで開示すべきかについては各企業が開示目的に照らして判断することとされている。

(2)開示すべき項目を判断するにあたり参考となり得る情報
前述の通り、どのような項目をどこまで開示するかに関しては各企業の判断に委ねられていることから、本稿では、当該判断において参考となり得る情報に関して紹介することとしたい。本公開草案13項において、本会計基準の開発にあたり国際会計基準(IAS)1号「財務諸表の表示」125項の定めが参考にされたことから、IAS1号125項に基づく開示を理解することは、本公開草案に基づく開示を検討するうえで有益と考えられる。
ただし、IAS1号125項を出発点としつつも本公開草案の起草の過程でさまざまな修正が行われていることから、本稿で紹介する開示例に捉われることなく、各企業ごとに本公開草案の開示目的や開示要求を踏まえた慎重な判断が必要である。

(3)IAS1号に基づく会計上の見積りに関する具体的な記載例
次では、会計上の見積りの開示を検討するうえでの参考情報として、有限責任あずさ監査法人が発行するIFRS基準に基づく「年次財務諸表ガイド - 開示例 2018年9月」における記載例(抜粋)を紹介する(記載例1~6)。

当資料はKPMGのウェブサイトで公表されている

IFRS財務諸表開示例・ガイド

(記載例1)見積りの不確実性の注記

4.判断及び見積りの使用

B.仮定及び見積りの不確実性

以下の注記には、翌事業年度において資産及び負債の帳簿価額の重要な修正をもたらす重要なリスクのある、2018年12月31日現在の仮定及び見積りの不確実性に関する情報が含まれています。

-注記13(D)(1) - 確定給付制度債務の測定:主要な数理計算上の仮定

-注記14(H) - 繰延税金資産の認識:将来減算一時差異及び繰り越された税務上の欠損金の便益を利用するために必要な将来の課税所得の発生可能性

-注記16(B) - 重要な観察不能のインプットに基づく生物資産の公正価値の算定

-注記20(D) - 重要な観察不能のインプットに基づく処分グループの売却コスト控除後の公正価値の算定

-注記22(C) - 無形資産及びのれんの減損テスト:回収可能価額の基礎となる主要な仮定(開発コストの回収可能性を含む)

-注記31及び40 - 引当金及び偶発事象の認識並びに測定:資源のアウトフローの発生可能性及び規模に関する主要な仮定

-注記32(C)(2) - 営業債権及び契約資産に対する予想信用損失引当金の測定:加重平均損失率を算定する際の主要な仮定

-注記34(A)及び(C) - 子会社の取得:移転された対価(条件付対価を含む)の公正価値、並びに暫定的に測定された取得した資産及び引き受けた負債の公正価値


(記載例2)確定給付制度債務の測定:主要な数理計算上の仮定

13.従業員給付

D.確定給付制度債務

1.数理計算上の仮定

報告日現在の主要な数理計算上の仮定は以下のとおりです(加重平均で表示しています)。

 

2018年

2017年

割引率

5.1%

4.8%

予想昇給率

2.5%

2.5%

将来年金増加率

3.0%

2.0%

医療費の趨勢率

4.5%

4.0%

将来の寿命に関する仮定は、公表された統計値及び死亡率表に基づいています。報告日の確定給付制度債務の価値の基礎となる現在の寿命は以下のとおりです。

 

2018年

2017年

 

プランA  

プランB

プランA

プランB

現在の年金受給者の65歳時点の寿命

男性

18.5

18.2

18.3

18.0

女性

21.0

19.0

21.0

18.8

現在の45歳の加入者の65歳時点の寿命

男性

19.2

19.0

19.0

18.7

女性

22.9

20.5

22.9

20.0

2018年12月31日における確定給付制度債務の加重平均デュレーションは17.1年です(2017年:17.5年)。

※本公開草案では、感応度分析に係る記載はないため、当該注記部分は省略

(記載例3)繰延税金資産の認識:将来減算一時差異及び繰り越された税務上の欠損金の便益を利用するために必要な将来の課税所得の発生可能性

14.法人所得税

H.税務上の繰越欠損金

繰延税金資産を認識していない税務上の欠損金の失効の状況は以下のとおりです。

千ユーロ

2018年

失効日

2017年

失効日

失効する欠損金

644

2022-2024年

520

2022-2023年

失効しない欠損金

-

-

152

-

2018年に当社の英国にある子会社Paper Pabus社が発売した新型の紙が好調であり、長期の供給契約を多数締結しました。その結果、経営陣は将来の課税所得の見積りを見直し、当社グループは過去に認識されていなかった税務上の欠損金のうち152千ユーロに対する税効果を認識しました(税効果:50千ユーロ)。これは、税務上の欠損金の便益を利用するために必要となる将来の課税所得が生じる可能性が高いと経営陣が判断したためです。

 

2017年に当社のデンマークにある子会社Mermaid社が新たな製造ラインを導入し、これにより、今後持続的にコストが著しく軽減され、収益性が改善されることになります。その結果、経営陣は将来の課税所得の見積りを見直し、当社グループは過去に認識されていなかった税務上の欠損金のうち727千ユーロに対する税効果を認識しました(税効果:240千ユーロ)。これは、税務上の欠損金の便益を利用するために必要となる将来の課税所得が生じる可能性が高いと経営陣が判断したためです。Mermaid社は2018年に予想されていた収益を達成したため、経営陣は、税務上の欠損金を回収し関連する繰延税金資産を実現するために必要となる将来の課税所得が生じる可能性が引き続き高いと考えています。

(記載例4)無形資産及びのれんの減損テスト:回収可能価額の基礎となる主要な仮定(開発コストの回収可能性を含む)

22.無形資産及びのれんC.減損テスト

減損損失及びその後の戻入れは、非再生紙事業セグメントの新製品の製造及び木材製品事業の資金生成単位に関連するものであり、以下のように認識しています。

千ユーロ

注記

2018年

2017年

非再生紙事業

工場及び設備、並びに開発費

(2)

(493)

1,408

非再生紙事業セグメントに関連する減損損失及びその後の戻入れは、「売上原価」に含まれています。

千ユーロ

注記

2018年

2017年

木材製品事業

のれん

(3)

116

-

木材製品CGUののれんに係る減損損失は、「その他の費用」に含まれています。

1. 開発費の回収可能性

2018年12月31日現在の開発費の帳簿価額のうち400千ユーロは、当社グループの非再生紙事業セグメントの工場のうちの1つの工場における新工程の開発計画に関連するものです。この新工程の規制当局による認可が先送りされたことに伴い、新工程の便益が従来の予想ほど早く実現しないと考えられたため、経営陣は減損テストを実施しました。

この開発費を含むCGU(新工程を使用する工場)の回収可能価額は、2019年7月までに認可が下りると仮定し、税引前の割引率を12%、2023年以降の永久成長率を2%として、このCGUから生じることが期待されるキャッシュフローの現在価値(使用価値)に基づいて見積りました。その結果、このCGUの回収可能価額は帳簿価額より高いと見積られ、減損処理は不要でした。

経営陣は、規制当局からの認可を得られるのが2020年7月までさらに1年間延期される可能性があると考えています。この遅延により工場の帳簿価額に約100千ユーロの減損が生じると予想されます。

 

(2 は省略)

 

3. のれんを含むCGUの減損テスト

木材製品事業

このCGUの回収可能価額は、使用価値に基づいて、そのCGUを引き続き使用することにより生み出される将来キャッシュフローを割り引いて算定しています。CGUの帳簿価額は回収可能価額である960千ユーロより高いと算定されたため、2018年に116千ユーロの減損損失(2017年:なし)を認識しました。減損損失はすべてのれんに配分し、「その他の費用」に含めています。

使用価値の見積りに用いた主な仮定は以下のとおりです。

(%)

2018年

2017年

割引率

9.6

10.0

永久成長率

1.8

2.0

予想EBITDA成長率(将来5年間の平均)

8.0

9.0

 

割引率は、関連する市場のある国の政府が発行した、CGUのキャッシュフローと同一通貨建の10年物国債の利率を基に、株式投資によるリスクの増加及びCGUに固有の分散不能リスクを反映するリスク・プレミアムを調整した税引前割引率です。

割引キャッシュフロー・モデルには、5年間のキャッシュフローが含まれます。長期成長率に基づく永久成長率は、CGUが事業を行う国の名目GDP率と、経営陣が予測するEBITDAの長期年間平均成長率とのいずれか小さいほうにより決定しています。

予想EBITDAは、収益の増加の見積りを反映し、過去の経験を考慮した将来の結果の予測に基づいています。収益成長率は、過去5年間の実績平均成長水準、並びに今後5年間の売上規模及び価格の上昇の見積りに基づいて予測しました。販売価格の上昇率は、長期の市場価格の趨勢に関する統計的分析を公表している外部ブローカーから入手した情報に従って、今後5年間は予測インフレーションに一定のマージンが上乗せされた形で上昇すると仮定しました。

(記載例5)引当金及び偶発事象の認識並びに測定:資源のアウトフローの発生可能性及び規模に関する主要な仮定

31.引当金

C.土地原状回復

2.ルーマニア

ルーマニアの法律に基づき、ルーマニアにおける当社のグループ子会社は、2021年末までに汚染した土地を原状回復する義務があります。2018年に当社グループはこの目的のために660千ユーロを引当計上しました。

この負債は長期にわたるものであるため、引当金を見積る際に最も不確実なのは、今後の発生費用です。特に当社グループは、現在入手可能な技術及び材料により、この土地を原状回復すると仮定しています。当社グループは、費用の個々の構成要素の価格設定について異なる仮定を反映させると、合理的な発生可能性のある費用総額の範囲は500千ユーロから700千ユーロであるとしています。引当金は、ルーマニアにおけるリスクフリー・レートである5.9%の割引率を用いて算定しています。この原状回復は今後2、3年の間に実施される予定です。

見積コストの変更により、引当金は、当社の2018年6月30日時点の期中財務諸表で報告していた500千ユーロと比較して増加しました。この期中財務諸表の作成時にはルーマニア当局の検査報告が完了していなかったために、必要な原状回復作業の範囲が明確ではありませんでした。その後見積額は、その最終検査報告に基づいて修正しました。

 

40.偶発事象

子会社の1つが、欧州の環境当局からの提訴に対して異議を申し立てています。負債は認識していませんが、もし異議の申立てが却下された場合、罰金及び法的費用の総額は950千ユーロとなり、そのうち250千ユーロは保険契約により補填されます。弁護士の助言に基づき、経営陣は、この異議が認められると考えています。

当社グループはPapyrus社取得の一環として、Papyrus社の1顧客からの契約違約金に関する申立てに関連して20千ユーロの偶発債務を認識しています(注記34(C)を参照)。

(記載例6)子会社の取得:移転された対価(条件付対価を含む)の公正価値、並びに暫定的に測定された取得した資産及び引き受けた負債の公正価値

34.子会社の取得

C.識別可能な取得資産及び引受負債

1.公正価値の測定

暫定的に測定された公正価値

以下の金額は、暫定的に測定されています。

-Papyrus社の無形資産(特許技術及び得意先関係)の公正価値は、独立鑑定人による評価が未了であるため暫定的に測定しています。

重要な取得資産の公正価値測定に用いられた評価技法は以下のとおりです。

取得資産

評価技法

有形固定資産

市場比較法及び取得原価法:
この評価モデルでは、入手可能である場合には類似する項目の市場価格を、また適切である場合は償却後の再調達コストを検討します。償却後の再調達コストは、機能的または経済的陳腐化及び物理的な劣化に関する調整を反映します。

無形資産

ロイヤルティ免除法及び複数期間超過収益法:
ロイヤルティ免除法では、特許権を所有することで回避されると見込まれる予想ロイヤルティ使用料の割引後の支払額を検討します。複数期間超過収益法では、拠出資産に関連するキャッシュフローを減額した、顧客との関係から創出されると見込まれるキャッシュフローの純額を検討します。

棚卸資産

市場比較法:
公正価値は、完成までにかかる見積コスト及び見積売却コスト控除後の、通常営業過程における見積販売価格、及びその棚卸資産を完成し売却するために必要な活動に係る合理的な利益率に基づいて算定します。

営業債権は、契約上受け取るべき金額の総額である900千ユーロからなり、そのうち52千ユーロについては取得日に回収不能と予想されています。

暫定的に測定された公正価値

以下の金額は、暫定的に測定されています。

-Papyrus社の無形資産(特許技術及び得意先関係)の公正価値は、独立鑑定人による評価が未了であるため暫定的に測定しています。

-Papyrus社はPapyrus社が不良品を販売したとして1顧客が起こした訴訟の被告となっています。経営陣は、訴訟のもととなる販売契約の解釈及び独立した弁護人による助言に基づき、顧客の訴えの根拠が薄弱であり、和解のため支払いが命じられる可能性は低いと判断しました。法的プロセスにより起こり得る結果を考慮して経営陣が評価したこの偶発負債の公正価値は20千ユーロです(注記40を参照)。  Papyrus社の事業は特定の環境規制の適用対象となっています。当社グループではこれらの規制に起因する土地原状回復引当金について予備調査を実施し、取得時の会計処理において暫定額を認識しています。当社グループは測定期間にわたりこれらに関する検証を継続します。

取得日に存在していた事実及び状況について取得日から1年以内に新たな情報が生じ、上記の金額に修正または追加がある場合は、取得時の会計処理を修正することとなります。

会計上の見積りの開示に関する当局側の動向

(1)記述情報の開示の好事例集(金融庁)
2019年1月31日公表の「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」では、『経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析』で連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、当該見積りおよび当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響など、『経理の状況』に記載した会計方針を補足する情報を記載することとされている(第二号様式 記載上の注意(32)a(g))。
したがって、本公開草案で求められている注記事項に関連して、『経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析』の記載もあわせて検討することが考えられる。

また、金融庁は「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」における提言を踏まえ、2019年3月19日に「記述情報の開示の好事例集」(以下、「好事例集」という)を公表し、2019年11月29日に好事例集を更新している。好事例集には「重要な会計上の見積り」の開示例も含まれる。

開示例の多くは財務諸表注記ではなく、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に関するものであるものの、本公開草案で提案されている注記を行うにあたり参考になると考えられる。

なお、2019年度版の記述情報の開示の好事例集のうち、「5.「重要な会計上の見積り」の開示例」に含まれる内容は図表1の通りである。
 

(図表1)好事例の「重要な会計上の見積り」の開示例に含まれる内容

社名

項目

ソニー(株)

営業権及びその他の(営業権及びその他の無形固定資産に関するコメント)

▪ 見積り方法と使用した仮定について具体的に記載

▪ 将来見積キャッシュ・フローについて、報告単位の中期計画や永久成長率などに基づいている旨を具体的に記載

▪ 永久成長率の前提や利用している割引率(類似企業の加重平均資本コストにより算定)について具体的に記載

▪ 割引率や永久成長率について、公正価値を低下させる変動が生じた場合、減損損失が発生する可能性について記載

 

(繰延税金資産の見積りに関するコメント)

▪ 評価性引当金を計上している納税主体を計上金額を含めて記載

▪ 評価性引当金の取崩しの判断において重視されるポイントを記載

▪ 税制や税率の改正、経営環境の変化による移転価格制度を含めた税務戦略の見直しなど、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性がある事象について具体的に記載

 

(金融商品の公正価値判定及び償却原価で測定される債権の減損に関するコメント)

・「金融商品の公正価値判定」において、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプロ - チ等の公正価値の算定方法を具体的に記載

・「償却原価で測定される債権の減損」において、債権管理方法を記載し、各債券に対する貸倒引当金の見積り方法を記載

 

(貸倒引当金及び金融損失引当金に関するコメント)

・セールス・インセンティブという商償行が貸倒引当金の見積りに与える影響を具体的に記載

 

(収益認識(販売奨励金、リベート)に関するコメント)

・見積り方法について、見積りに用いた仮定を含め、経営戦略に関連付けて、具体的に記載

・実績が見積りと乖離した程度を記載し、見積りの正確性について記載

 

(確定給付費用及び確定給付制度債務に関するコメント)

▪ 見積りに用いた仮定(割引率)について、どのような指標を利用しているか具体的に記載

(営業権及びその他の無形固定資産に関するコメント)

▪ 見積り方法と使用した仮定について具体的に記載

▪ 将来見積キャッシュ・フローについて、報告単位の中期計画や永久成長率などに基づいている旨を具体的に記載

▪ 永久成長率の前提や利用している割引率(類似企業の加重平均資本コストにより算定)について具体的に記載

▪ 割引率や永久成長率について、公正価値を低下させる変動が生じた場合、減損損失が発生する可能性について記載

 

(繰延税金資産の見積りに関するコメント)

▪ 評価性引当金を計上している納税主体を計上金額を含めて記載

▪ 評価性引当金の取崩しの判断において重視されるポイントを記載

▪ 税制や税率の改正、経営環境の変化による移転価格制度を含めた税務戦略の見直しなど、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性がある事象について具体的に記載

 

(金融商品の公正価値判定及び償却原価で測定される債権の減損に関するコメント)

・「金融商品の公正価値判定」において、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプロ - チ等の公正価値の算定方法を具体的に記載

・「償却原価で測定される債権の減損」において、債権管理方法を記載し、各債券に対する貸倒引当金の見積り方法を記載

 

(貸倒引当金及び金融損失引当金に関するコメント)

・セールス・インセンティブという商償行が貸倒引当金の見積りに与える影響を具体的に記載

 

(収益認識(販売奨励金、リベート)に関するコメント)

・見積り方法について、見積りに用いた仮定を含め、経営戦略に関連付けて、具体的に記載

・実績が見積りと乖離した程度を記載し、見積りの正確性について記載

 

(確定給付費用及び確定給付制度債務に関するコメント)

▪ 見積りに用いた仮定(割引率)について、どのような指標を利用しているか具体的に記載

(営業権及びその他の無形固定資産に関するコメント)

▪ 見積り方法と使用した仮定について具体的に記載

▪ 将来見積キャッシュ・フローについて、報告単位の中期計画や永久成長率などに基づいている旨を具体的に記載

▪ 永久成長率の前提や利用している割引率(類似企業の加重平均資本コストにより算定)について具体的に記載

▪ 割引率や永久成長率について、公正価値を低下させる変動が生じた場合、減損損失が発生する可能性について記載

 

(繰延税金資産の見積りに関するコメント)

▪ 評価性引当金を計上している納税主体を計上金額を含めて記載

▪ 評価性引当金の取崩しの判断において重視されるポイントを記載

▪ 税制や税率の改正、経営環境の変化による移転価格制度を含めた税務戦略の見直しなど、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性がある事象について具体的に記載

 

(金融商品の公正価値判定及び償却原価で測定される債権の減損に関するコメント)

・「金融商品の公正価値判定」において、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプロ - チ等の公正価値の算定方法を具体的に記載

・「償却原価で測定される債権の減損」において、債権管理方法を記載し、各債券に対する貸倒引当金の見積り方法を記載

 

(貸倒引当金及び金融損失引当金に関するコメント)

・セールス・インセンティブという商償行が貸倒引当金の見積りに与える影響を具体的に記載

 

(収益認識(販売奨励金、リベート)に関するコメント)

・見積り方法について、見積りに用いた仮定を含め、経営戦略に関連付けて、具体的に記載

・実績が見積りと乖離した程度を記載し、見積りの正確性について記載

 

(確定給付費用及び確定給付制度債務に関するコメント)

▪ 見積りに用いた仮定(割引率)について、どのような指標を利用しているか具体的に記載無形固定資産(減損)

繰延税金資産の評価

三菱商事(株)

金融商品の公正価値測定

償却原価で測定される債権の減損

トヨタ自動車(株)

貸倒引当金および金融損失引当金

京セラ(株)

収益認識(販売奨励金、リベート)

三井物産(株)

確定給付費用及び確定給付制度債務

好事例集に取り上げられた事例では、主に図表2の記載が好事例として着目したポイントとしてコメントが付されている。

(図表2)好事例集の着目ポイント

(営業権及びその他の無形固定資産に関するコメント)

  • 見積り方法と使用した仮定について具体的に記載
  • 将来見積キャッシュ・フローについて、報告単位の中期計画や永久成長率などに基づいている旨を具体的に記載
  • 永久成長率の前提や利用している割引率(類似企業の加重平均資本コストにより算定)について具体的に記載
  • 割引率や永久成長率について、公正価値を低下させる変動が生じた場合、減損損失が発生する可能性について記載

 

(繰延税金資産の見積りに関するコメント)

  • 評価性引当金を計上している納税主体を計上金額を含めて記載
  • 評価性引当金の取崩しの判断において重視されるポイントを記載
  • 税制や税率の改正、経営環境の変化による移転価格制度を含めた税務戦略の見直しなど、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性がある事象について具体的に記載

 

(金融商品の公正価値判定及び償却原価で測定される債権の減損に関するコメント)

  • 「金融商品の公正価値判定」において、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプロ - チ等の公正価値の算定方法を具体的に記載
  • 「償却原価で測定される債権の減損」において、債権管理方法を記載し、各債券に対する貸倒引当金の見積り方法を記載

 

(貸倒引当金及び金融損失引当金に関するコメント)

  • セールス・インセンティブという商償行が貸倒引当金の見積りに与える影響を具体的に記載

 

(収益認識(販売奨励金、リベート)に関するコメント)

  • 見積り方法について、見積りに用いた仮定を含め、経営戦略に関連付けて、具体的に記載
  • 実績が見積りと乖離した程度を記載し、見積りの正確性について記載

 

(確定給付費用及び確定給付制度債務に関するコメント)

  • 見積りに用いた仮定(割引率)について、どのような指標を利用しているか具体的に記載

(営業権及びその他の無形固定資産に関するコメント)

  • 見積り方法と使用した仮定について具体的に記載
  • 将来見積キャッシュ・フローについて、報告単位の中期計画や永久成長率などに基づいている旨を具体的に記載
  • 永久成長率の前提や利用している割引率(類似企業の加重平均資本コストにより算定)について具体的に記載
  • 割引率や永久成長率について、公正価値を低下させる変動が生じた場合、減損損失が発生する可能性について記載

 

(繰延税金資産の見積りに関するコメント)

  • 評価性引当金を計上している納税主体を計上金額を含めて記載
  • 評価性引当金の取崩しの判断において重視されるポイントを記載
  • 税制や税率の改正、経営環境の変化による移転価格制度を含めた税務戦略の見直しなど、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性がある事象について具体的に記載

(金融商品の公正価値判定及び償却原価で測定される債権の減損に関するコメント)

  • 「金融商品の公正価値判定」において、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプロ - チ等の公正価値の算定方法を具体的に記載
  • 「償却原価で測定される債権の減損」において、債権管理方法を記載し、各債券に対する貸倒引当金の見積り方法を記載

 

(貸倒引当金及び金融損失引当金に関するコメント)

  • セールス・インセンティブという商償行が貸倒引当金の見積りに与える影響を具体的に記載

 

(収益認識(販売奨励金、リベート)に関するコメント)

  • 見積り方法について、見積りに用いた仮定を含め、経営戦略に関連付けて、具体的に記載
  • 実績が見積りと乖離した程度を記載し、見積りの正確性について記載

 

(確定給付費用及び確定給付制度債務に関するコメント)

  • 見積りに用いた仮定(割引率)について、どのような指標を利用しているか具体的に記載

(営業権及びその他の無形固定資産に関するコメント)

  • 見積り方法と使用した仮定について具体的に記載
  • 将来見積キャッシュ・フローについて、報告単位の中期計画や永久成長率などに基づいている旨を具体的に記載
  • 永久成長率の前提や利用している割引率(類似企業の加重平均資本コストにより算定)について具体的に記載
  • 割引率や永久成長率について、公正価値を低下させる変動が生じた場合、減損損失が発生する可能性について記載

 

(繰延税金資産の見積りに関するコメント)

  • 評価性引当金を計上している納税主体を計上金額を含めて記載
  • 評価性引当金の取崩しの判断において重視されるポイントを記載
  • 税制や税率の改正、経営環境の変化による移転価格制度を含めた税務戦略の見直しなど、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性がある事象について具体的に記載

(金融商品の公正価値判定及び償却原価で測定される債権の減損に関するコメント)

  • 「金融商品の公正価値判定」において、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプロ - チ等の公正価値の算定方法を具体的に記載
  • 「償却原価で測定される債権の減損」において、債権管理方法を記載し、各債券に対する貸倒引当金の見積り方法を記載

(貸倒引当金及び金融損失引当金に関するコメント)

  • セールス・インセンティブという商償行が貸倒引当金の見積りに与える影響を具体的に記載

(収益認識(販売奨励金、リベート)に関するコメント)

  • 見積り方法について、見積りに用いた仮定を含め、経営戦略に関連付けて、具体的に記載
  • 実績が見積りと乖離した程度を記載し、見積りの正確性について記載

(確定給付費用及び確定給付制度債務に関するコメント)

  • 見積りに用いた仮定(割引率)について、どのような指標を利用しているか具体的に記載

(2)会計上の見積りの注記に係る各国規制当局等の動向
各国の証券規制当局は、証券監督者国際機構(IOSCO)等の枠組みを通じて連携を深め、会計上の判断および見積りを重要な開示事項と位置づけ、継続的な改善に取り組んでいる。

欧州では、英国財務報告評議会(FRC)や欧州証券市場監督局(ESMA)が、財務諸表に最も重要な影響を与える経営者の判断および見積りの不確実性の発生要因について、開示実務に照らした留意事項を公表している。

これらの指摘は日本基準に基づくものではないため、本公開草案で提案されている会計上の見積りの開示に直接影響するものではない。しかしながら、会計上の見積りが将来金融庁による重点審査項目として取り扱われる際の当局側の視点を理解する上で役に立つ可能性がある。

FRCが2017 年11 月に公表したCORPORATE REPORTING THEMATIC REVIEW JUDGEMENTS AND ESTIMATESにおいて、会計上の判断および見積りの不確実性に関して、要求事項の整理、判断・見積りの主要な開示分野とあわせ、実務上の課題と好事例の紹介等がなされている。

特に、以下のような内容となっているか否かが重要とされている。

  • 明確かつ企業固有の開示か
  • 開示内容や前提条件は定量的か 等

また、FRCがレビューした開示において、会計上の見積りの開示として図表3の項目の開示が行われていたということである。どのような項目が会計上の見積りの開示対象となりやすいかを知るうえで参考となると考えられる。

(図表3)FRCがレビューした開示における会計上の見積りの開示に関する項目別の件数

項目

件数

減損

16件

税金資産・負債

11件

退職給付債務

10件

従業員給付

8件

耐用年数

7件

その他の負債

7件

企業結合における取得価額配分

6件

無形資産の評価

4件

収益認識関連

3件

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
マネジャー 公認会計士
吉原 智子(よしはら ともこ)

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