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半導体企業に不可欠なイノベーションと人材管理 - 成長の実現に必要な新たなスキル

半導体企業に不可欠なイノベーションと人材管理

本レポートは、KPMGが毎年実施する『グローバル半導体業界調査』の第15回調査結果を取りまとめたものです(全3レポート)。パート3では、「戦略上の優先事項・事業の課題」をテーマに、今後3年間における半導体業界にとっての戦略上の優先事項と、直面するであろう課題に焦点を当てて考察します。

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本レポートの調査データは2019年第4四半期に集計しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前における半導体企業のエグゼクティブが考える戦略上の優先事項や業界の課題が反映されています。優先事項の第1位と第2位には、「研究開発(R&D)の革新」および「人材管理」がそれぞれランクイン。新たなビジネスモデルを見出すために新技術が創出、融合され、イノベーションの需要が途絶えることはありません。またCOVID-19の流行前から、すべての求人数を満たすだけの科学者とエンジニアの数は不足しており、人材の需要ギャップの問題はしばらく継続することが予想されます。

さらにCOVID-19の流行により、将来の混乱に対する、より強靭なレジリエンスを伴ったサプライチェーンの構築という半導体企業の今後重要になる課題も明らかになりました。パート3では、これらの今後3年間における半導体業界にとっての戦略上の最優先事項と、直面するであろう課題に焦点を当てています。

ポイント

  • イノベーションとR&Dの拡大が、半導体企業にとって最も重要な戦略上の優先事項となっている。
  • さまざまな方法による異なる技術の融合で半導体の用途が多様化し、半導体メーカーは各用途に特化した製品を製造できるようになる一方で、それら製品をより早く市場に届けなければならないという重圧にさらされている。
  • 半導体企業は収益の増加に向け、コアコンピタンスの規模の拡大と収益性の向上に再注力し、新たな機能分野への進出に取り組んでいる。
  • 半導体に依拠しているテクノロジーは急速に進化しており、M&Aは、企業が自社のサービスを多様化し、現代にふさわしい企業であり続けるための重要なメカニズムとなる。
  • 半導体メーカーがハイテク分野に特化した希少な人材を獲得するために、グローバル規模での人材獲得競争は熾烈を極め、求人に対しての人材の需要ギャップが生まれている。
  • 世界中で保護貿易主義の考え方が強まっていることにより、半導体のグローバルサプライチェーンが複雑化し、より多くのリスクにさらされている。

イノベーションの必要性の高まり

本調査の回答者の半数以上が「イノベーションと研究開発(R&D)の拡大」を優先事項の上位3つに含めており、これが半導体業界にとって今後3年間の明確な戦略上の最優先事項となっています。半導体の用途と末端市場の多様化により、半導体技術の活用機会がさらに創出されます。そのためイノベーションを起こす力は重要な競争優位性となり、戦略的なデザインウィンによって、半導体メーカーは特定の顧客ニーズに合わせて設計した特異な製品を製造できるようになります。

その一方で、「市場への供給スピードの向上」が主要な懸念事項となっています。IoTや5G、自動運転車の重要な成長ドライバーはここにあります。新たに台頭したテクノロジー開発企業は、幅広い新用途に特化して設計された新しい高性能の半導体を必要とし、競合他社より早く製品を市場に投入することが不可欠です。半導体メーカーはこのような顧客の需要に対応することが求められ、R&Dプロトタイプおよびデザインウィン獲得への重圧は日増しに強まっているのです。

今後3年間における半導体企業の戦略上の優先事項

複数回答可(各パーセンテージの合計が100%にならない場合があります)

今後3年間における半導体企業の戦略上の優先事項

出典:『KPMGグローバル半導体業界調査結果』(2020年)

M&Aによる多様化の加速

半導体企業は収益の増加に向けて、コアコンピタンスの規模の拡大と収益性の向上に再注力し、新たな機能分野への進出に取り組んでいます。そこで企業買収や合併、ジョイントベンチャーが戦略の要となっています。半導体企業のエグゼクティブの70%が今後3年間に自社が何らかの重要な取引を行う予定であると回答。IDC(インターナショナル・データ・コーポレーション)はIoTや自動車、AIのような成長テクノロジーに焦点を当てた取引による市場の統合がこの先起こると予想しています。半導体企業は「新たな機能の獲得」「現在のコアコンピタンスの向上」「新たな市場への進出」「隣接市場への参入」という4つの主要な目標を達成するために、M&A活動を行っています。また活動をするなかで、現在の地政学的な動向も、半導体業界におけるM&Aの見通しに影響を与えています。堅調な収益成長予測、低い借入コスト、そのほかの好調な資本市場の景況によって、自社の既存事業の新しい成長分野への多角化につながる資産を購入するのです。

半導体企業が今後3年間に予定しているM&Aの種類および/または売却活動

複数回答可(各パーセンテージの合計が100%にならない場合があります)

半導体企業が今後3年間に予定しているM&Aの種類および/または売却活動

出典:『KPMGグローバル半導体業界調査結果』(2020年)

将来の成長に必要な新しい人材

将来において半導体の研究、設計、製造で勝利するため、半導体メーカーはIoTや5G、AI、自動運転車のような非常に多様な用途に向けた高機能な半導体製品を開発することができる、特殊なスキルを持った科学者やエンジニアを盛んに求めています。またより幅広い顧客のニーズに応え、収益のシェアを拡大可能な、よりサービスを重視した事業モデルに移行しつつあるため、ソフトウェア開発者に対しても高い需要があります。

しかしグローバル規模での人材の獲得競争が熾烈を極め、戦略上の優先事項として「人材開発・人材管理」が優先事項の2位にランクインする一方で、「人材リスク」を最大の課題とする回答も第2位となっています。ハイテク人材の数は少なく、中でも米国のSTEM(科学・技術・工学・数学)関連の人材の求人は大幅に増加する見込みですが、基準を満たす候補者の不足により、人材の需要ギャップが生まれています。

一方、世界中で保護貿易主義の考え方が強まっていることから、国際取引の新しい関税と規制に起因する新たな財政・運営上のリスク管理は、半導体企業にとってますます大きな課題となり、半導体のグローバルサプライチェーンを複雑化し、半導体業界はより多くのリスクにさらされています。

半導体業界が今後3年間で直面する最大の課題

リストの一部を開示

半導体業界が今後3年間で直面する最大の課題

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出典:『KPMGグローバル半導体業界調査結果』(2020年)

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