日本におけるサステナビリティ報告2019

2020年1月の時点で日経225の構成銘柄となっている225社の日本企業が2019年に開示したサステナビリティ情報を対象とし、報告の実態を調査しました。

2020年1月の時点で日経225の構成銘柄となっている225社の日本企業が2019年に開示したサステナビリティ情報を対象とし、報告の実態を調査しました。

サステナビリティ報告の全般的状況

225社のうち218社(97%)がサステナビリティ報告を行っており、この比率は過去3年間と同様の水準にある。

サステナビリティ情報を含むアニュアルレポートと独立したサステナビリティレポートの2種類のレポートを発行している企業が増え、報告企業の78%(171社)となった。サステナビリティ情報を含むアニュアルレポートのみを発行している企業(26社)は減少傾向にある。

非財務情報の信頼性に対する情報利用者の要請の高まりを受け、第三者保証を受ける企業は継続的に増加している。非財務情報に対して第三者保証を受けている企業は133社となり、開示企業の61%となった。

GRIスタンダードへの準拠を明確に宣言している企業は34社であり、昨年(35社)とほぼ同じ結果となった。

情報利用者の要請に応えるべく、多くの日本企業が環境パフォーマンスデータの開示の範囲を拡大している。単体や国内グループ会社だけでなく、海外グループ会社までを含めたグローバルベースで環境パフォーマンスデータを開示している企業は、前年の141社から149社へと拡大している。

重要課題を最初に明確にした上で、それを起点として目標設定を行い、取組や実績を開示するということが日本企業の間でも定着しつつある。重要性の決定プロセスと重要課題を開示する企業は157社となり、開示企業の72%となった。

個別報告項目

177社(81%)の企業が温室効果ガス排出量の削減目標を開示している。自動車、電力・石油・ガス、機械、繊維の4業種で削減目標を開示する企業の割合が100%であるのに対し、銀行・証券・保険・その他金融(47%)やサービス(50%)、鉄鋼(50%)では削減目標を開示している企業の割合が低い。2050年の削減目標を開示している企業は前年から1社増え40社となった。

気候変動に伴うリスクについて、自社がどのように識別、評価、および管理しているかについて説明している企業は58社(27%)、気候変動のリスクと機会がもたらす自社の事業、戦略、財務計画への影響を説明している企業は74社(34%)であった。今後はTCFD提言を踏まえた情報開示を行う企業が増えていくと考えられる。

189社(87%)が水使用量を開示しており、71社(33%)は水使用量に関する目標設定を行っている。

 サプライチェーンにおける人権リスク評価や人権デューデリジェンスのプロセスを開示している企業は89社(41%)、モニタリングの結果を開示している企業は41社(19%)であり、前年からそれぞれ増加した。サプライチェーンにおける人権リスクを重大に捉え、サプライチェーンでの人権配慮への対応を進めている企業が増加していると考えられる。

女性管理職比率を開示している企業は187社(86%)であり、138社(63%)が女性管理職比率の目標値を開示している。一方で、役員の女性比率の目標値を開示している企業は16社(7%)であった。女性の登用に関する取組や目標、各階層の男女比率に関する開示が進むなかで、役員における女性比率の目標開示は進んでいない。

自社活動をSDGsに関連付けて説明している企業は119社(55%)から150社(69%)へと大幅に増加しており、SDGsに基づく重要課題の分析や見直し、SDGsに基づく目標設定を実施している企業も着実に増えている。しかし、既存の取組とSDGsとのマッピングを行うに留まっている企業が多く、SDGsに基づく目標を設定している企業は83社(38%)とまだ少ない。

サステナビリティ報告の開示方法
ESG情報を開示している企業のうち第三者保証を受けている企業数
サステナビリティ報告内容の決定プロセスの説明の有無と重要課題の開示状況

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